爆誕!! 世にもみじめな二代目「論破の帝王」!!

蓮實長治

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爆誕!! 世にもみじめな二代目「論破の帝王」!!

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「やめろ、やめろ、やめろ、ここではやめろ、今やるのはやめろ、絶対にやめろ」
 僕にしか見えない「魔法の論破アドバイザー」は耳元で、そう叫び続けた。
 待ってくれ、もう……僕は……手を上げて……。
「何か質問か?」
 ニッキョーソの思想に毒された日本史の教師は、僕にそう言った。
「え……えっと……」

「あの……悪魔のあたしがこんな事を言うの何ですけど……自分の魂を安売りするもんじゃないですよ」
 twitterで見付けた「悪魔との取引で願いを叶えよう‼ 代償は、あなたの魂だけ‼」と云うプロモをタップすると現われた幼女悪魔は、僕が願いを言った途端、そう答えた。
「い……いや……でも……僕は……あの『論破の帝王』みたいに……」
「誰かの二番煎じの人生って、虚しくないですか? どう頑張っても、あなたが憧れてる『論破の帝王』以上の人間には成れませんよ。だって、所詮は二番煎じなんだから」
「あの人より凄い人は居ない。僕は二番煎じでもいいから……あの人みたいになりたいんです」
「はぁ……わかりました……。じゃあ、あなたの魂と引き換えに、あなたにしか見えない『魔法の論破アドバイザー』を差し上げましょう。その『論破アドバイザー』の言う通りにやれば、相手を論破出来る筈です。『論破アドバイザー』のアドバイスは……あなたが憧れてる『論破の帝王』のやり方メソッドを元にしてます」
「あ……ありがとう、ございます」
 けど……幼女悪魔は……消える瞬間に、気になる事を言っていた……。
「困ったな……また……先輩に怒られるよ……。こんな馬鹿の魂なんて、大した価値ないし……」

 日本史の教師が言っていた「関東大震災時の朝鮮人虐殺」はサヨクがデッチ上げた嘘だ……僕はクラスのみんなが見ている中で、そう言ってやった。
 でも、僕は……ニッキョーソ野郎のクソ教師の論破に失敗し……泣きじゃくっていた。
 授業は終り……休み時間。
 ……クラスのみんなは……僕を変な目で見てる。
 でも……そんな事を気にする心の余裕さえない。
「何でだよ……何でアドバイスしてくれなかったんだよ」
 僕は「魔法の論破アドバイザー」に、そう言った。
「アドバイスしただろ。『やめろ』って」
「でも、相手を論破する方法をアドバイスしてくれるのが君の役目だろ」
「そうだ……。でも、俺は、ネットやTVで『論破の帝王』とか呼ばれてる奴のやり方メソッドしか知らないんでな」
「あの人のやり方なら……あんなサヨク教師、簡単に論破出来るだろ」
「無理だ」
「何で?」
「あの『論破の帝王』とか云う奴は……実際には誰も論破した事は無い」
「う……嘘だ……。ネットでもTVでも……」
「馬鹿か? あいつは……自分を好意的に見てくれる『観客』が居る場所で、自分のやり方でなら『観客』が『論破した』と思ってくれる相手にしか喧嘩をフッかけてないだろ」
「え……?」
「たとえば……あいつが、どこかの大学のセンセイに喧嘩をフッけた時の事を良く思い出せ。ワイドショーやSNSみたいな時間や文字数に制限が有る場で、『番組スタッフ』や『観客』や『フォロワー』が自分に好意的な場合だけだろ。そのセンセイの研究室まで出向いて、そのセンセイの教え子達の前で時間制限無しで議論を挑んだ訳じゃない」
「ちょ……ちょっと……待って……あの……『論破の帝王』が誰かを論破したってのは……」
「お前らの思い込みだ」
「う……うそ……」
「残念ながら、『論破の帝王』とやらのやり方メソッドを解析した結果だ。お前は、クラス中から舐められてる奴で……あの教師はお前より遥かに知識も有るし頭の回転も速い。しかも、授業の最初の方で、あんな事を言いやがったんで……時間制限も、ほぼ、無しだ。『論破の帝王』のやり方メソッドを使うと逆に不利になる。お前が例の『論破の帝王』とやらなら、あの状況では、あの教師を論破しようとなどしない筈だ」
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