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第二章:Fair Game

スカーレット・モンク(1)

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『どう報道されようと関係ない。
 政治家や大衆にどう言われようと関係ない。
 国中が間違いを正しい事だと言い張ろうと関係ない。
 僕達は、勝算や結果どうであれ、
 自分の信念の為にこそ立ち上がらねばならない。
 それこそが、この国を建てた最初のいしずえなんだ。
 もし、大衆が、報道機関が、そして全世界が、
 君に「そこをどけ」と言ってきたなら、
 君は、真実の川の岸辺の大木のように揺ぎなく立ち、
 全世界に向ってこう言い返してやればいい。
 「断る。君達こそ、そこをどけ」と』
キャプテン・アメリカ(コミック版)

「今、は持ってるか?」
「ああ」
 てるが羽織型のジャケットの前を大きく開くと……ガンベルトにテイザーガンと拳銃が各一丁、折り畳み型のナイフと鎌型短刀カランビットが各2つ。そしてジャケットの内側に拳銃用の弾倉マガジンが計6つ。
 更に背負っていたリュックの隠しポケットから片耳イヤホン型の通信機を取り出し耳に付ける。
「後は……」
 てるは羽織型のジャケットの袖を揺らすが……良く見ると揺れ型が不自然だ。多分、大き目の袖の中に何かを隠している。
「応援と合流するまで、何も起きなけりゃ、応援に引き継ぐ。何か起きても、応援が来るまで、あの2人が無事なら、成功だ」
 あたしも自分の通信機を耳に、小型カメラを胸に付ける。
「随分、あっさり始まった『初仕事』だな……」
「まぁ、そんなモノだ」
 そう言って、あたしは通信機をONにする。
「通信リンク確認。チームコードネーム『Storm Breakers』。個人コードネーム『スカーレット・モンク』」
「通信リンク確認。チームコードネーム『Storm Breakers』。個人コードネーム『シルバー・ローニン』」
『後方支援要員。現場メンバーとの通信リンクを確認。チームコードネーム「Storm Breakers」。個人コードネーム「羅刹女ニルリティ」』
『後方支援要員。現場メンバーとの通信リンクを確認。チームコードネーム「台南工房」。個人コードネーム「ミカエル」。手伝ってあげたいけど……』
「判ってます。あたし達で何とか頑張ってみます」
 今回、後方支援に回る2人は……「無意識の内に大抵の『魔法』を『呪詛返し』してしまう」ような化物チートだけど、何せ、あの精神操作能力者らしき男の子が「具合が悪く」なった原因だ。
 下手に、あの2人が、あの男の子に近付けば、「最終目的は病人の治療なのに、当の病人の病状を悪化させる」ような本末転倒な事になりかねない。
「行くか」
 そして、あたし達はバイクに乗り、発進。
 国道3号線に入る。
 やがて、筑後川を渡り終えた頃、TCAから来た3人を運んでいるレスキュー隊のバンに追い付いた。
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