あなたは、このイラスト投稿サイトで、最も「うまいけど○○が無い絵師」と判定されました

蓮實長治

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あなたは、このイラスト投稿サイトで、最も「うまいけど○○が無い絵師」と判定されました

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「どう云う事ですか? 一体全体、俺の絵を真似たんじゃないのに、何で、これだけ俺の絵柄に似てんですか?」
 俺は、俺の絵柄そっくりの絵をイラスト投稿サイト「牡蠣渋」にUPしていたAIが有ったので運営に訴えたのだが……何と、そのAIを作ったのは「牡蠣渋」の運営の技術開発部門だったのだ。
 「牡蠣渋」の運営は、何故か、俺を本社に招いて説明をやると言い出して、しかも、更に何故か、案内メールには「貴方にとって非常に残念なお報せが有るかも知れません」という、謎の一文が有った。
「どうも、当社の技術開発部のAI部門の主任をやっている者です。早速ですが……えっと……失礼ですが……あのAI絵師のアカウントの説明を読まれましたか?」
「はあ?」
 そう言って「牡蠣渋」のエンジニアは、PCのモニターに問題のAI絵師のアカウントを表示した。
『みんなで育てるAI絵師』
「なんですか、この紹介文?」
「ええ、ですから……」
 エンジニアがPCを操作すると……通常の新しい絵が先に表示される状態から、古い絵が先に表示される状態に切り替わり……。
「な……なんだ、こりゃ?」
「まず、最初は、ウチの部署の者が描いた絵を学習データにしました」
 最初の方の絵は……素人が描いたような絵だった……。
 ただ……素人絵なのに、単純な下手さとは違う……言わば「不気味さ」みたいなモノが感じられる。
 何だ、この……言葉にしがたい……変な……。
「変な絵でしょ? 単なる素人絵じゃなくて……素人の絵なのに個性がない」
 あ……そうだ、そう云う感じだ。
「あくまで絵は素人の複数の人間が描いたものを学習させたんで……こんな感じになったんですよ」
 そう言って、エンジニアは絵の1つを開き……。
「こ……これは?」
 コメント欄には、どこが下手だと思ったかの意見がズラズラと並び……。
「で、このコメントを別の文章解析専門のAIが、このAI絵師が理解可能な形に変換……いわば翻訳していったんですよ。そして、それをAI絵師が学習していき……」
 再び画面は一覧に戻る。
 段々とAI絵師の絵は巧くなり……しかし……たしかに、どこか「個性が感じられない」絵のままだ。
 AIの絵に「個性が感じられない」理由は……AIに詳しくない俺でも何となく想像が付いた。
 不特定多数の色んな意見を絵柄に反映させていけばいくほど……AIの絵は「巧いが無個性な絵」になっていき……。
 そして、段々と……。
 お……おい、まさか……。
「えっと……御理解いただけたようですね……」
 エンジニアは俺の顔色から、俺が……俺にとって嫌な答を出してしまった事を察したようだった。
「残念なお報せです。我々が作ったAIの絵が、貴方の絵柄に似たのは偶然です。そして、貴方は……あくまで結果的にではありますが……
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