御注文通りのモノを作成しました

蓮實長治

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御注文通りのモノを作成しました

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「でさぁ、そのデータをE×celでいじれるようにしてもらえる?」
「えっ……と……E×celですか?」
「うん……選挙事務所の職員さん達も、E×celなら、ほぼ使えるから」
「あ……あの……直接データをいじれるようにするだけじゃなくて……何で……役所の人達だけじゃなくて……え~っと、そもそも、選挙事務所って何ですか?」
「いや、だから、登録した人の中で、与党の議員の後援会の役員さんなんかの優先度を上げられるようにしたいんだよ。それやるには、与党の議員の選挙事務所からデータをいじれるようにするのが一番効率的な訳。判った?」
「は……はぁ……判りました、大臣……」

「あのさぁ……何だよ、この設計?」
「いや……こうするしか無いでしょ」
「でも、おかしいだろ。登録されたデータを、データベースじゃなくて、こんなモノで管理するなんて……」
「課長、文句は、こんな条件の仕事を受注した親会社の偉いさんに言って下さい」

『次のニュースです。処理の異様なまでの遅さ、度重たびかさなるシステムのハングアップ、明らかにおかしい内容を入力しても受け付けてしまう、画面では登録処理完了と表示されるのに、実際には登録されていなどの多数の不具合が指摘されている抗ゾンビ化薬注射の予約システムですが、G○○gle Drive上で、これまでに登録された予約データそのものがMicr○s○ftの表計算ソフトE×cel用のファイルとして公開されている事が判明しました。このニュースにつきまして、ITジャーナリストの孫名そんな はかなさんに解説をお願いしました』
『い……いえ……。私にも何が何だか……。たしかに、今まで起きた不具合は、これで全て説明可能なんですか……いくらなんでも、こんな馬鹿げた設計のシステムを作る人なんて、居る訳……きゃあっ‼』
『なにが「きゃあっ」だ、このブス婆ァが』
『ちょっと待て、あんた達、誰だ?』
『うるさい。不正アクセス防止法違反の現行犯で全員逮捕だ』
『不正アクセスって……インターネット上で公開されてる……誰でも好きに見る事も書き換える事も出来るファイル……』
『言い訳は取調べ室でやれ。おい、そこのカメラマン、すぐにカメラを止めろ』
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