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文字通りの「連続殺人鬼」
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アメリカでドナルド・トランプ大統領の4回目の大統領選出馬が確実になった頃……どうやら、俺の居た世界は丸ごと消えちまったらしい。
気付いたら、俺の魂は平行世界版の俺の体に宿っていた。
元々、居た世界に良く似ている別の世界。
同じ大学の同じ学部の同じ学科に通い……ただ、「この世界の俺」の知り合いは……ほとんどが元の世界では知り合いではなかった。
もしくは、そもそも、元の世界には存在していない人間だったか……。
だが……脳内に残ってる「この世界の俺」の記憶で、何とか日常生活は送る事は出来た。
時々、元の世界ってのは俺の妄想なんじゃないかと思う事が有る。
スマホが存在しない代りに、昔の携帯ゲーム機がスマホ的な機能を持つ方向に進化したようなNフォンと呼ばれる携帯電話が使われている。
元の世界で使っていたノートPCを買った博多の天神の中古PC屋に行くと……そこに並んでいるのは聞いた事も無いメーカーの見た事も無い機種ばかり……。いや、「携帯PC」ではあるが「ノートPC」とは呼べない形のモノも結構有る。
子供の頃に起きた、あの震災も……全世界で流行したあの疫病も存在しない。……その代りに富士山の噴火で日本の首都圏が壊滅し……国連機関と「株式会社・日本再建機構」が日本政府の代りをやっている世界。
そして……アメコミか昔のマンガの「ヒロアカ」みたいに、数々の「特異能力者」が存在し、その中のある者は犯罪者になり、別の者は犯罪を取締る側に回っている世界。
この世界が唯一の世界で……頭のおかしい金持ちが3回もアメリカの大統領になった世界など、俺の妄想なのかも知れない。
嫌に鮮明な妄想も有ったものだが……。
ああ、そうだ。ついでに、この世界のアメリカは……2つに分裂していた。俺の妄想かも知れない「元の世界」でアメリカがいずれそうなるんじゃないか? と心配されてたように……。
どうやら……この世界の俺も気付いてなかった「特異能力」が俺には有ったらしい。
大学の友達と飲みに行った時、酔っ払ったサラリーマン風の親父どもに因縁を付けられ……元の世界の常識からすると、色々とツッコミ所が有る状況だが、こっちの世界の「日本社会」には「キれる中高年男性サラリーマン」が一定数居る理由が色々と有るのだ……喧嘩になった時に、急に体が速く動くようになり、力も強くなり……挙句に手から「かめはめ波」みたいなモノまで出やがった。
最初は……強い恐怖や怒りを感じた時しか、その能力は使えなかったが、一ヶ月ほど色々とやってる内に、使いたいと思った時には、いつでも、その能力を発動出来るようになっていた。
携帯電話に入っている「災害情報アプリ」に通知が有ったのは……JR久留米駅近辺で復旧に数ヶ月かかる程の被害が出た「特異能力者」同士の抗争が有ってから一月半ほど後のある夜の事だった。
携帯電話の画面を確認してみると……「連続殺人鬼」の情報。……こ……これ、「災害」なのか?
一応、目撃情報も書かれている。
そろそろ上着が要らなくなってる時期なのに……フード付の迷彩模様のジャケット。
同じ柄のカーゴパンツ。
使い古した編み上げ靴。
手には黒い革手袋。
一八〇㎝ぐらいの身長の……肩幅の広い筋肉質の若い男……。
おやっ? ……何故か、俺の跡をつけてるっぽい男に良く似て……って、おいっ‼
「があああっ‼」
フードの下の男の顔は……染めたかのような真っ赤な髪。見開いた大きな目。長い牙が有るデカい口。そして……青い肌。
角が無い以外は、どう見ても、昔話に出て来る……。
おい……「連続殺人鬼」って、そう云う意味かよっ?
「うわああああっ‼」
俺は能力を発動。
スピードは……鬼の方が一枚上手。逃げられない。
「くそぉっ‼」
俺は鬼を殴り付け……。
「うぎゃああああっ‼」
あっさりパンチを受け止められ……ヤツの手に握られた俺の片手がミシミシと嫌な音を立て、とんでもない痛みが走る。
「ちくしょうっ‼」
最後の手段……「かめはめ波」もどきを放ち……。
ヤツは……鬼のクセに妙に人間臭い表情を浮かべやがった。「なんかやったのかな?」とでも言いたげな小馬鹿にした表情が……。
だが……次の瞬間……。
「ぐへっ?」
鬼の首を白い毛だらけの太い腕が締め上げていた。
「おい……『若社長』。逃げた実験体を捕獲した。警察や『御当地ヒーロー』が来ない内に回収チームを寄越してくれ」
鬼を裸絞で絞め落した鬼より更に一回りデカい銀色の狼男は、どこかに電話をかけていた。
「おい……」
「は……はい」
「お前、『先天的魔法使い』か?」
「あっ……ええっと……た……多分」
「こいつらには大概の『魔法』は効かねぇから、次からは気を付けるんだな」
「は……はい……」
「治療費と慰謝料だ……。取っとけ。そして……今晩の事は忘れろ」
電子決済が主流になってる筈のこの世界で……結構な額の「紙のお金」を渡された俺は……慌てて、その場から逃げ出した……。
どうやら……俺が異世界転生した世界が……どこまで無茶苦茶な世界なのか……認識が甘かったようだ。
気付いたら、俺の魂は平行世界版の俺の体に宿っていた。
元々、居た世界に良く似ている別の世界。
同じ大学の同じ学部の同じ学科に通い……ただ、「この世界の俺」の知り合いは……ほとんどが元の世界では知り合いではなかった。
もしくは、そもそも、元の世界には存在していない人間だったか……。
だが……脳内に残ってる「この世界の俺」の記憶で、何とか日常生活は送る事は出来た。
時々、元の世界ってのは俺の妄想なんじゃないかと思う事が有る。
スマホが存在しない代りに、昔の携帯ゲーム機がスマホ的な機能を持つ方向に進化したようなNフォンと呼ばれる携帯電話が使われている。
元の世界で使っていたノートPCを買った博多の天神の中古PC屋に行くと……そこに並んでいるのは聞いた事も無いメーカーの見た事も無い機種ばかり……。いや、「携帯PC」ではあるが「ノートPC」とは呼べない形のモノも結構有る。
子供の頃に起きた、あの震災も……全世界で流行したあの疫病も存在しない。……その代りに富士山の噴火で日本の首都圏が壊滅し……国連機関と「株式会社・日本再建機構」が日本政府の代りをやっている世界。
そして……アメコミか昔のマンガの「ヒロアカ」みたいに、数々の「特異能力者」が存在し、その中のある者は犯罪者になり、別の者は犯罪を取締る側に回っている世界。
この世界が唯一の世界で……頭のおかしい金持ちが3回もアメリカの大統領になった世界など、俺の妄想なのかも知れない。
嫌に鮮明な妄想も有ったものだが……。
ああ、そうだ。ついでに、この世界のアメリカは……2つに分裂していた。俺の妄想かも知れない「元の世界」でアメリカがいずれそうなるんじゃないか? と心配されてたように……。
どうやら……この世界の俺も気付いてなかった「特異能力」が俺には有ったらしい。
大学の友達と飲みに行った時、酔っ払ったサラリーマン風の親父どもに因縁を付けられ……元の世界の常識からすると、色々とツッコミ所が有る状況だが、こっちの世界の「日本社会」には「キれる中高年男性サラリーマン」が一定数居る理由が色々と有るのだ……喧嘩になった時に、急に体が速く動くようになり、力も強くなり……挙句に手から「かめはめ波」みたいなモノまで出やがった。
最初は……強い恐怖や怒りを感じた時しか、その能力は使えなかったが、一ヶ月ほど色々とやってる内に、使いたいと思った時には、いつでも、その能力を発動出来るようになっていた。
携帯電話に入っている「災害情報アプリ」に通知が有ったのは……JR久留米駅近辺で復旧に数ヶ月かかる程の被害が出た「特異能力者」同士の抗争が有ってから一月半ほど後のある夜の事だった。
携帯電話の画面を確認してみると……「連続殺人鬼」の情報。……こ……これ、「災害」なのか?
一応、目撃情報も書かれている。
そろそろ上着が要らなくなってる時期なのに……フード付の迷彩模様のジャケット。
同じ柄のカーゴパンツ。
使い古した編み上げ靴。
手には黒い革手袋。
一八〇㎝ぐらいの身長の……肩幅の広い筋肉質の若い男……。
おやっ? ……何故か、俺の跡をつけてるっぽい男に良く似て……って、おいっ‼
「があああっ‼」
フードの下の男の顔は……染めたかのような真っ赤な髪。見開いた大きな目。長い牙が有るデカい口。そして……青い肌。
角が無い以外は、どう見ても、昔話に出て来る……。
おい……「連続殺人鬼」って、そう云う意味かよっ?
「うわああああっ‼」
俺は能力を発動。
スピードは……鬼の方が一枚上手。逃げられない。
「くそぉっ‼」
俺は鬼を殴り付け……。
「うぎゃああああっ‼」
あっさりパンチを受け止められ……ヤツの手に握られた俺の片手がミシミシと嫌な音を立て、とんでもない痛みが走る。
「ちくしょうっ‼」
最後の手段……「かめはめ波」もどきを放ち……。
ヤツは……鬼のクセに妙に人間臭い表情を浮かべやがった。「なんかやったのかな?」とでも言いたげな小馬鹿にした表情が……。
だが……次の瞬間……。
「ぐへっ?」
鬼の首を白い毛だらけの太い腕が締め上げていた。
「おい……『若社長』。逃げた実験体を捕獲した。警察や『御当地ヒーロー』が来ない内に回収チームを寄越してくれ」
鬼を裸絞で絞め落した鬼より更に一回りデカい銀色の狼男は、どこかに電話をかけていた。
「おい……」
「は……はい」
「お前、『先天的魔法使い』か?」
「あっ……ええっと……た……多分」
「こいつらには大概の『魔法』は効かねぇから、次からは気を付けるんだな」
「は……はい……」
「治療費と慰謝料だ……。取っとけ。そして……今晩の事は忘れろ」
電子決済が主流になってる筈のこの世界で……結構な額の「紙のお金」を渡された俺は……慌てて、その場から逃げ出した……。
どうやら……俺が異世界転生した世界が……どこまで無茶苦茶な世界なのか……認識が甘かったようだ。
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