「Dystopia Now!!」:第一部「模倣遊戯」

蓮實長治

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第一章:シュミラクラ

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「明後日の朝まで、この部屋ですごしていただきます。何か問題が有れば、そこの備え付けの電話で連絡して下さい」
 その自称「レスキュー隊員」が言った通り……その部屋には、この時代にも関わらず固定電話が有った。
 そして、私の頭には……「お前の頭の中に正体不明の電子機器が埋め込まれている」と言われたと思ったら、今度は正体不明の電子機器が付いたヘッドギアを装着させられていた。
 着せられたのは……病院の入院着を思わせる服。
「食事の内容に何か御注文は有りますか? アレルギーや宗教上のタブーなどは?」
「い……いや、特に無い」
「了解しました」
 そう言うと、自称「レスキュー隊員」は部屋から出て行った。
 例によって、部屋のドアは……私には開ける事が出来ないようだ。
 数字の書かれたボタンが並んだ開錠用の装置らしきモノが……ドアの内側に付いていてる。
「え……ええっと……」
 ヘッドギアを自分で取り外すのは……困難なようだ。
 ヘッドギアからはケーブルが延びていて……どうやらLANケーブルの一種らしくケーブルの端は部屋の壁に有る有線LANの口に差し込まれているが……金具で固定されていて、工具が無ければ抜くのは無理だろう。
 4畳半ほどの部屋にトイレと洗面台が有る。
 ヘッドギアから延びているケーブルは……私の目では角度的に見えないが、巻取機構でも有るらしく……一応はトイレや洗面所までは行けるようだ。
 もっとも、トイレはドアを完全に閉めずにやるしか無いようだが……。
 部屋の中には机にベッドと……後はTV。
 TVからもLAN線が延びているので、地上波だけでなくネット配信の番組も見る事が出来る……かも知れない。
 私は自称「レスキュー隊員」が出て行った後、机の上の固定電話を取る。
『少々、お待ち下さい』
 録音されたものらしい声が何回か繰り返された後……。
『はい』
「え……えっと……もし可能ならPCか携帯電話を……」
『今回の実験の目的上、無線通信を行なう機器を渡す事は出来ません』
「じゃあ、部屋に有るTVは何だ?」
『ケーブルTVです』
「あ……ああ、そうか……。じゃあ、TV以外に退屈凌ぎになるモノは……」
『雑誌や新聞なら有りますが……御希望のものは有りますか?』
「何でもいい、適当に持って来てくれ」
『判りました。他に御質問は?』
「食事は?」
『夕食を一八時から一九時の間にお持ちします。飲み物や夜食やおやつも、この電話で注文して下さい。ただし必ずしも御希望に沿えるとは限りません。特に酒類などは』
「わかった……あと、風呂は?」
『明後日の朝、ここを出る前にヘッドギアを外した後なら入浴は可能です』
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