SNSに似た場所

蓮實長治

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SNSに似た場所

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「おい、今日、死刑執行だ。これから刑場に移動するぞ」
 拘置所の職員は朝一番にそう言った。
「にしても、思い残す事は無さそうな顔だな……」
「ええ、だって、結局、ボクが正しくて、ボクが楽にしてやった奴らは死ぬべき命だって事を証明出来たようなモノですから」
「はぁ?」
「ほら、ボクを取材する為に、何人ものジャーナリストや記者がやって来ましたけど……誰1人、ボクを論破出来なかったじゃないですか」

「で、死刑囚が犯行を行なう以前にSNSで何度も論争されたと言う事ですが……」
「何度もじゃないですよ。お前の言ってる事は、歴史上、何度も論破されてきた事だ、と言って参考文献をいくつか提示したら……」
「すぐにブロックされたんですか?」
「ええ、その通りです。よく判りましたね」
「私も、取材してた時に、そう云う人物だと云う印象を受けましたので……」
 あの忌しい事件を起こした死刑囚に関する取材をやっていたその日、臨時ニュースで、当の死刑囚が処刑されたと云うニュースが流れた。
 しかし、私は別の理由から、かなり前から彼と面会するのは不可能になっていた。
 あの死刑囚が事件を起す前にSNSで論争していた人物が死刑囚に教えた本……そのいくつかは、私が彼に差し入れたのと同じモノだった。

「そりゃ、取材に来た記者がお前を論破するのは難しいだろうよ。……お前は、自分が論破されそうな雰囲気を感じたら……次からは、その相手との接見を拒否したんだからよ」
 ヤツの処刑が終って、職場拘置所に戻る途中、俺は心の中でそう言った。
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