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悪夢の自動アップデート型「誰も傷付けないマンガ」
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『おい、お前が投稿したアレ、何か変だぞ。何の意図が有るんだ?』
プログラマーをやってる知人が、SNSのダイレクトメッセージで、そんな話を送って来たのは、話題になったマンガ「リスン・フォワード」が人権屋どものクレームのせいで修正される羽目になった数日後だった。
こんな事が許されれば、小人プロレスのように、また1つ娯楽ジャンルが人権屋どもに潰される事になる。
そう思った俺は、この件を揶揄するつもりで、「誰も傷付けないマンガ」と称して白一色の画像をSNSにUPし、そして、それが、そこそこは話題になっていた。
『何の事だ?』
『以前、一緒に飲んだ時に話した画像に暗号を入れる手法を使ってるだろ、あの画像』
『はあ?』
『だから、お前がSNSにUPした「誰も傷付けないマンガ」を正規化したら、こうなったんだよ』
そう言って知り合いがダイレクトメッセージに貼り付けた画像は……。
『正規化って……何だよ? 何の事だ? 知らん、この画像、どうなっている?』
『おい、本当に判んないなら、お前のSNSアカウント、誰かに乗っ取られてる……ってか、このメッセージも、お前のアカウントを乗っ取った誰かに見られてる。すぐにSNSのパスワードを変えろ』
言われた通りにSNSのアカウントのパスワードを変えて、俺が投稿した「誰も傷付けないマンガ」の画像を確認してみた。
変だ……どうなってる?
俺が投稿した「誰も傷付けないマンガ」の画像は、正方形だった筈だ……。
しかし、いつの間にか、画像の縦横比は……一般的なマンガ原稿用紙と、ほぼ同じになっていた。
そして、いつの間にか改竄されていた真っ白の筈の画像を自分のPCに落して……画像処理アプリで「コントラスト伸長」。
プログラマーをやってる知人の言った通りだった。
一見、白一色に見える画像には、完全な白の部分と、人間の目では白に見える白に限り無く近い灰色の部分が有った。
そして……白地に「限りなく白に近い灰色」でコマ割りが描かれていた。
気持ち悪いが……いわゆる「いいね」依存症になっていた俺は、「いいね」が付き続ける「誰も傷付けないマンガ」の画像を、そのままにしておいた。
だが……数日後、例のプログラマーの知人の親から連絡が有った。
「先日、ウチの息子が、例の伝染病で他界しまして……」
「えっ?」
それだけでも驚いたのに……例のプログラマーの知人は、俺にSNSのダイレクトメッセージを送った時点では、意識不明になりICUに入っていたのだった。
「お……おい……どうなってんだよ、これ?」
俺の記憶違いじゃないかと思って、死んだ知人から送られたSNSのダイレクトメッセージを確認……。
ダイレクトメッセージに貼られている画像が変っていた。
まるで、マンガの回想シーンでよくあるようになアレに……。
俺の「誰も傷付けないマンガ」の画像を、もう一度、自分のPCに落として、再び、画像処理アプリで、完全に白い部分は白のまま、人間の目では白と見分けが付かなくてもデータ上は白じゃない部分は黒に置き換え……同じだった。
俺がSNSに投稿した「誰も傷付けないマンガ」の内容は、再び変っていた。
白いコマの中には何も描かれていないままだが……コマの以外の部分は「黒」になっていた。
流石に気味が悪くなり……「誰も傷付けないマンガ」の投稿を削除……えっ?
エラーになって削除出来ない。
なら……アカウントごと……おい、これもエラーだ。
どうなってんだよ、助けてくれ……。
そして、十年以上が過ぎた。
俺は、SNSには何も投稿しなくなり……そして、そのSNSも廃れ……多くの人達は別のSNSを使うようになっていた。
俺が投稿した「誰も傷付けないマンガ」の事など誰も覚えておらず……そして、マンガの在り方も変っていった。
紙の本のマンガは廃れ、マンガはスマホで読むのが、一般的になっていった。
だが、俺が投稿した「誰も傷付けないマンガ」の改竄は今も続いていた。
いつしか、画像の縦横比は、紙の本向けのマンガ原稿用紙のものから……スマホの画面のモノに変り……。
そして、「人間の目で見ると白と区別が付かないがデータ上は白でない色」で描かれたコマ割りは……かつての「紙の本のマンガ」でよく有ったモノではなく、スマホ用の縦スクロールのマンガで良く有るタイプのコマ割に変っていた。
プログラマーをやってる知人が、SNSのダイレクトメッセージで、そんな話を送って来たのは、話題になったマンガ「リスン・フォワード」が人権屋どものクレームのせいで修正される羽目になった数日後だった。
こんな事が許されれば、小人プロレスのように、また1つ娯楽ジャンルが人権屋どもに潰される事になる。
そう思った俺は、この件を揶揄するつもりで、「誰も傷付けないマンガ」と称して白一色の画像をSNSにUPし、そして、それが、そこそこは話題になっていた。
『何の事だ?』
『以前、一緒に飲んだ時に話した画像に暗号を入れる手法を使ってるだろ、あの画像』
『はあ?』
『だから、お前がSNSにUPした「誰も傷付けないマンガ」を正規化したら、こうなったんだよ』
そう言って知り合いがダイレクトメッセージに貼り付けた画像は……。
『正規化って……何だよ? 何の事だ? 知らん、この画像、どうなっている?』
『おい、本当に判んないなら、お前のSNSアカウント、誰かに乗っ取られてる……ってか、このメッセージも、お前のアカウントを乗っ取った誰かに見られてる。すぐにSNSのパスワードを変えろ』
言われた通りにSNSのアカウントのパスワードを変えて、俺が投稿した「誰も傷付けないマンガ」の画像を確認してみた。
変だ……どうなってる?
俺が投稿した「誰も傷付けないマンガ」の画像は、正方形だった筈だ……。
しかし、いつの間にか、画像の縦横比は……一般的なマンガ原稿用紙と、ほぼ同じになっていた。
そして、いつの間にか改竄されていた真っ白の筈の画像を自分のPCに落して……画像処理アプリで「コントラスト伸長」。
プログラマーをやってる知人の言った通りだった。
一見、白一色に見える画像には、完全な白の部分と、人間の目では白に見える白に限り無く近い灰色の部分が有った。
そして……白地に「限りなく白に近い灰色」でコマ割りが描かれていた。
気持ち悪いが……いわゆる「いいね」依存症になっていた俺は、「いいね」が付き続ける「誰も傷付けないマンガ」の画像を、そのままにしておいた。
だが……数日後、例のプログラマーの知人の親から連絡が有った。
「先日、ウチの息子が、例の伝染病で他界しまして……」
「えっ?」
それだけでも驚いたのに……例のプログラマーの知人は、俺にSNSのダイレクトメッセージを送った時点では、意識不明になりICUに入っていたのだった。
「お……おい……どうなってんだよ、これ?」
俺の記憶違いじゃないかと思って、死んだ知人から送られたSNSのダイレクトメッセージを確認……。
ダイレクトメッセージに貼られている画像が変っていた。
まるで、マンガの回想シーンでよくあるようになアレに……。
俺の「誰も傷付けないマンガ」の画像を、もう一度、自分のPCに落として、再び、画像処理アプリで、完全に白い部分は白のまま、人間の目では白と見分けが付かなくてもデータ上は白じゃない部分は黒に置き換え……同じだった。
俺がSNSに投稿した「誰も傷付けないマンガ」の内容は、再び変っていた。
白いコマの中には何も描かれていないままだが……コマの以外の部分は「黒」になっていた。
流石に気味が悪くなり……「誰も傷付けないマンガ」の投稿を削除……えっ?
エラーになって削除出来ない。
なら……アカウントごと……おい、これもエラーだ。
どうなってんだよ、助けてくれ……。
そして、十年以上が過ぎた。
俺は、SNSには何も投稿しなくなり……そして、そのSNSも廃れ……多くの人達は別のSNSを使うようになっていた。
俺が投稿した「誰も傷付けないマンガ」の事など誰も覚えておらず……そして、マンガの在り方も変っていった。
紙の本のマンガは廃れ、マンガはスマホで読むのが、一般的になっていった。
だが、俺が投稿した「誰も傷付けないマンガ」の改竄は今も続いていた。
いつしか、画像の縦横比は、紙の本向けのマンガ原稿用紙のものから……スマホの画面のモノに変り……。
そして、「人間の目で見ると白と区別が付かないがデータ上は白でない色」で描かれたコマ割りは……かつての「紙の本のマンガ」でよく有ったモノではなく、スマホ用の縦スクロールのマンガで良く有るタイプのコマ割に変っていた。
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