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第一章:Berandal

平田優奈 (3)

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「マズい‼ 散れ‼」
 妬陰帝龍ツインテールのリーダーがそう指示を出す。
 乱戦になれば銃が武器の妬陰帝龍ツインテールは不利になる。味方を誤射しかねない状況で銃を使う馬鹿は居ない。
 下っ端達は銃撃をしながら散開しようとするが……。
 あたしは、体を倒して銃弾を避け、サッカーのスライディング・タックルの要領で、妬陰帝龍ツインテールのメンバーの1人の足に蹴りを入れる。
 もちろん、蹴りと同時に「霊力」を叩き込む。
 物理的な威力より、霊力の効果で、そいつは体……少なくとも足に変調を来たし倒れ込む。
 どう見ても受け身も取れてない倒れ方だったので、ただでは済まないだろうけど……気にしてる暇は無い。
 続いて、地面スレスレの廻し蹴り。
 近くに居た2人を、ほぼ同時に倒す。
「フンっ‼」
 立ち上りながら、額に生えている「霊力の角」を更に伸ばす。
「うわああああ……」
 「霊力の角」は、妬陰帝龍ツインテールのリーダーに突き刺さり……どうやら、多少の「霊感」は有るらしい、そいつは悲鳴を上げ……。
 だが、そいつの強化服パワードスーツに奇妙な文様が浮かび上がる。
 いわゆる「神代文字」の1つ「カタカムナ文字」に似た文様だ……。
 どうやら、自分の強化服パワードスーツにだけは「防御魔法」をかけていたようだ。
 何故、後世……それも第2次大戦後の……の捏造とされてるインチキな「古代文字」に魔法的な効果が有るのか不明だが……魔法とは、そう云うモノだから仕方ない。
 どうやら、あたしのような先天的魔法使い≒超能力者や……実在すると言われているがあたしは見た事が無い「魔法に似て非なる魔法を超えた『神の力』」を除いて、「魔法」は「術者が何かのシンボルや教義ドグマを『効果が有る』『意味が有る』と信じる」事で効力を上げられるが、それらがインチキか本当に意味が有るモノかは……あまり重要では無いらしい。
 ともかく、あたしの「霊力の角」と妬陰帝龍ツインテールのリーダーの防御魔法は、しばらくの間、拮抗を続け……。
「あっ……」
 妬陰帝龍ツインテールのリーダーが、ようやく「そもそも、防御魔法は強化服パワードスーツにかけられているので、防御魔法の効果を受けながら別の事が出来る」と云う事に気付いたらしい。
 要は、ヤツはあたし目掛けて銃口を向け……。
 次の瞬間、何とも気味の悪い「体の大部分が人間のモノに見えない事もない頭。その頭の大半がバカデカい口」と云うように見える謎の霊体が、どこからともなく飛んで来て、妬陰帝龍ツインテールのリーダーの防御魔法を噛み砕いた。
 いや……霊体なので、あたしにそう見えただけで……何者かの「使い魔」が妬陰帝龍ツインテールのリーダーの防御魔法を打ち破っただけだろうが……。
 だが……次の瞬間……。
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