世界を護る者達:毒戰寒流

蓮實長治

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第七章:Cold Pursuit

アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (7)

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「ふざけるな……何のつもりだ? そんなハッタリには乗らんぞ」
 その時、国防戦機から声がする。
「なるほど……アレを遠隔操作してる誰かに聞こえるように、わざと大声で言ったのか……」
 レンジャー隊の副隊長ブルーパワー型イエローが、そう言った。
「ハッタリじゃない証拠を見せればいいか?」
 副店長は、そう言うと……妙に棘だらけの実用性に問題が有りそうなナイフを抜いて……。
「がっ?」
 一気に走り出すと、手近に居たゾンビ化した機動隊員に突き刺す。
 ナイフは、機動隊員の防具を、あっさりと貫いた。
「面白いものを作ったようだが、それがどうした?」
「簡単だ。こっちも、あんたが機動隊員をゾンビ化する可能性を考慮して、これを用意してた」
「何?」
「こっちにも、あんたの考えを読める奴が居る。そいつが、この状況で、どう行動するか……あんたなら判る筈だ。自分が、そいつの立場なら、どうするかを考えればな……」
「ふ……ふざけ……」
 その時……。
「え?」
 国防戦機が地面に沈み始める。
「マズい、ここを離れろ……」
 地面のアスファルトやコンクリに出来たヒビから泥水が吹き出している。
「何すか、これ?」
「地面の液状化だ」
 その時、爆発音。
 国防戦機の背中のランドセルみて~な感じのバカデカい部品が落下。
 そして、国防戦機は、さっきまでのノロノロ具合が信じられねえ程のスピードで走り去る。
「何が起きてる、一体……?」
「えっと……あれって……」
 あたしが指差した方向に居たのは、相棒と一緒に居る筈の3人。
『向こうの国防戦機は引っ掛ってくれたか?』
 続いて、相棒から無線通話。
「おい、お前1人でアレを引き付けるつもりか?」
『そっちの状況は判ってる。いい意味で予想外の事が起きてくれた』
「え? 何だよ、それ」
「あれだ」
 遠隔操作されてるロボットが、国防戦機が落としていったランドセルを指差す。
「へっ?」
「体が軽くなればいいってものじゃない。あれは、本来は操縦席だ。国防戦機の制御AIからすれば、あそこに人間数人分以上の火薬が詰っているのも、あれが丸ごと無くなるのも、想定から大きく外れた重量バランスになる点では同じだ」
「あ……あの……」
 その時、ミカエルが妙に上擦った声を出す。
「な……何だ? 私か?」
 巨大ロボットが、そう答える。
「あ……後の方がいいかな? えっと、それの話を聞いた時から、ずっと……その……」
 完全にダンスや歌が好きな奴が、憧れてる韓流アイドルに出会したような感じだ。
 ああ、そうか、こいつの表の顔は、高専の機械科の学生だった。
 なるほど……このロボットを一から作った奴と会えるのを楽しみにしてた訳か……本人と直接会ってるつ~より、ロボットごしだけど。
「自慢出来るようなモノじゃない。工業製品としては完全な失敗作だ」
「へっ?」
「戦闘能力は有るが、改造のやり過ぎで、調整や修理は、私や仲間以外には出来ん。その時点で欠陥品だ。一から設計しなおす機会が有れば、こんなモノは二度と作らん」
「は……はぁ……」
 一緒に来た2人は、「こんな場合、何て言やいいんだ?」的な感じになってる。
「おい、しかし、またやったのかよ? これ、復旧に何ヶ月もかかるぞ」
 副店長が地面から溢れ出すドロ水に足まで漬かって動けなくなってるゾンビどもを指差して、水神ヴァルナにそう言っていた。
「他に方法無かったし……えっと……」
 なるほど……これが「神様系」なんて、チート能力者が居るのに、魔法使い系に科学系に、その他色々な奴らが必要な理由か……。
 どんなに無茶苦茶な力でも、軍事テロを鎮圧出来るが、鎮圧の副作用で、軍事テロと同じ程度の被害が出る、なんて使い勝手が悪いにも程が有る。
「あれ、使えるかも知れなんで、何とか取り出せるか?」
「無茶言うなよ」
 大牟田チームのロボットと高速移動能力者が、そう話をしている。
 ロボットが指差す先に有るのは……国防戦機が落としていったランドセル。
 多分、中に火薬が詰ってるヤツ。ただし、今は、液状化した地面に沈みかけて……。
 ドンっ‼
 その音と共に、氷の柱が出現。
 その氷の柱が、国防戦機のランドセルを持ち上げた。
「これでいい?」
 水神ヴァルナが脳天気な口調で、そう言った。
「よし、じゃあ、分解して火薬を取り出すぞ」
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