世界を護る者達:毒戰寒流

蓮實長治

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第八章:鉄拳掃毒

ニルリティ/高木 瀾(らん) (1)

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 麻薬ならぬ魔薬の原料を栽培してる農場の近くまで到着したは良いが……複数台のトラックが道を塞いでいる。
「ここからは歩きか……」
 だが、次の瞬間……銃撃。
「煙幕弾と催涙ガス弾を射出」
 私は四輪バギーATV「チタニウム・タイガー」に指示。
 チタニウム・タイガーと、私が着装している強化装甲服パワード・スーツ「護国軍鬼」の装甲の素材である「不均一超微細結晶合金」……複合素材と合金の中間と言うべき特殊鋼……は、短時間ならば軍用装甲車級の防弾効果が有る。
 煙幕弾と催涙ガス弾が、放物線を描いてトラックの背後に着弾し、煙が上がり……。
「うわあああッ‼」
 悲鳴と呼ぶには、どこか攻撃的な感じがする絶叫。
 両手が銃になった河童に率いられ、鉈や短機関銃を持った河童達が煙の中から、こちらに突撃してくる。
 一番火力が高いのは、両手を改造された奴。両手の銃の威力は、短機関銃サブマシンガンよりは上、自動小銃アサルト・ライフルよりは下、と言った所か。
「余剰エネルギー排出口、背部全開」
 時折、脚部のパイルを地面に突き刺して方向転換しながら、ジグザグに敵に接近。
 手にしていた「長巻」は攻撃寸前に展開し……。
「え……?」
 先頭に居た河童の銃 兼 義手を斬り落す。
「て……てめえ……」
 妙に甲高い……泣いているような……怒っているような金切り声。
 そいつの目には、明らかな憎しみの炎。しかし、同時に、その血走った目からは涙が流れている。
 うらやましい……。
 我ながら、サイコな感想が脳裏に受かぶ。
 恐怖と憎悪を同じ対象に同時に抱く……恐怖という感情を生まれ付き欠いている私には出来ない事だ。
「お前……ひょっとして、この間、私が両腕を斬り落した奴か?」
「ああああ……があああ……」
 意味不明な絶叫だが、私の質問に対する回答にはなっている。
「あの時はすまなかったな。謝罪の代りに最高級の義手をプレゼントしよう。どこに送ればいい?」
「ふ……ふざけ……あ……? あ……? あああああ……ぐわああああッ‼」
「ついでだ。義足も付けよう……おい、お前たち、自分の仲間を見捨てて、どこへ行く気だ? 応急手当ぐらいしてやれ」
 残りの河童達は、慌てふためいて……散り散りに……まぁ、もっとも、敵が1人(つまり私だ)しか居ない状況では、全員が一斉に同じ奉方向に逃げるより、バラバラの方向に逃げるというのは良い判断かも知れない。
「仕方ない。私が止血してやろう」
 私は義手代りの銃と、を斬り落された河童に(いや、やったのは私だが)、そう声をかける。
 返答は、よく意味が判らない絶叫。
 チタニウム・タイガーのトランクから救急キットを取り出していると、銃撃音が響く。
 私が来た方向に逃げた河童の頭が吹き飛んでいた。
「おい、何やってる?」
 相棒の声だった。
「何と言われても……」
「お前、もう2度と絶対に戦闘中に阿呆なギャグをかますなッ‼ 敵を怖がらせる時以外はなッ‼」
「あ……えっと……」
「お前がギャグのつもりでやってる事は普通に怖いんだよッ‼」
「そ……そうか?」
「初めて、お前と会った時も、お前やらかしただろ。魔法使い系の奴を恐怖で暴走させて……あん時、あやうく……」
「『あやうく』じゃない。本当に町1つ心霊スポットになりかけた」
 続く声の主は……。
「何で、この2人が居る?」
「ここまで白バイで先導してきた」
 そう答えたのは、対異能力犯罪広域警察レコンキスタ・久留米レンジャー隊の副隊長ブルーパワー型イエロー
「お前の相棒が着装してるのは、新型なんでな。最初の実運用に立ち会う必要が有るだろ」
 続いて無茶な理屈を言ったのは……強化装甲服パワード・スーツ水城みずき」のアンチNBCモデルを着装した門司工房の副責任者であるコードネーム「北の港のカフェの副店長」だった。
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