世界を護る者達:毒戰寒流

蓮實長治

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第八章:鉄拳掃毒

ニルリティ/高木 瀾(らん) (4)

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「どうした?」
 私が、動きを封じられているゾンビに近付くのを見て、副店長が声をかける。
「気になる事が有る。……予想通りだなら、吐き気がする所の話じゃないから、覚悟しといてくれ」
 そう言って、私は、ゾンビに変えられた三〇後半~四〇前半ぐらいに見える男が被っていたニット帽子を取り……。
 額に有ったのは……「LJG Subject:」の文字と……何桁もの数字とアルファベットからなるシリアル番号らしい文字列。
「うそ……だろ……子供もかよ……」
 副店長は、ゾンビ化した女の子の前髪をめくると、天を仰いで絶望的な声を出した。
 「本当の関東」のテロ・犯罪組織「正統日本政府」が「販売」している他の犯罪組織向けの「主力商品」の「従民サブジェクト」……奴隷労働用の「脳改造人間」だ。
 早い話が、一種のロボトミー手術により、自由意志を不可逆的に奪われた人間……作業機械を導入したり工場などであれば生産ラインを効率化するよりも、この「従民サブジェクト」を次々と使い潰す方が安く付く場合も有るらしい。
 個性も、それまでの人生も全て奪われ「代りなど、いくらでも居る」使い捨ての「生きた機械」になり……そして、その末路がこれか……。
「大丈夫か?」
 彼等と同じ「関東難民」である相棒に、そう声をかける。
「ああ……」
 相棒のバイタルは……平常のまま。
「心配すんな。あたしは……少しばっかり頭に血が上った方が調子が良いんだ。お前だって知ってるだろ」
「そうだったな……」
「けど……あたしには苦手な事が有るんで、ちょっと考えといてくれ……」
「何をだ?」
「こんな真似をやりくさった外道どもに……これまでの人生の全てを後悔させてやるには……どうすりゃいいかだよ……」
 相棒は、そう言いながら……山道を歩いていく。
「おい……お前の相棒、大丈夫か?」
 副店長が、そう訊いてきた。
 レンジャー隊の副隊長ブルーパワー型イエローも……露出している顔の下半分を見る限りでは……何か……困惑しているような感じだ。
「どう云う事だ?」
「あたしは……お前と違って……一般人並の『霊感』ってヤツが残ってる」
「それで……?」
「妙だ……何か……変なモノが見えた気がする」
「何がだ? 判るように説明してくれ」
「……仏像……あたしには、そう見えた」
 レンジャー隊の副隊長ブルーパワー型イエローが、妙な事を言い出した。
「はぁ?」
「穏かな顔の仏像が……3つか4つ見えた気がした……」
「おい、何やってる? 行くぞ」
 その時、相棒の声がした。
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