世界を護る者達:毒戰寒流

蓮實長治

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第八章:鉄拳掃毒

ニルリティ/高木 瀾(らん) (5)

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「待ちくたびれたぞ。ようやく来たか……しかも、その人数で何をするつもりだ?」
 いくつものビニールハウスが建てられた場所にまで辿り着くと……奴の声が響く。
 しかし……声がするのは、農園内の各所に有る屋外用小型スピーカーから。
「居場所は判るか?」
「そこら中から、ゾンビの邪気。その邪気が邪魔して……待てよ……」
 そう言うと、相棒は呪符を取り出す。
「奴の居場所は判らねえが……一番、強い邪気の発生源は判るかも知れねえ」
 呪符は宙を舞いながら……。
「一番多くの呪符が向かう先が……ゾンビの大本おおもとか……」
「ああ」
 とは言え、当然のように、ビニールハウスからゾンビが出て来る。
 ご丁寧に防弾チョッキ付の奴まで居る。
 相棒が放った呪符の一部は、そいつらに引き付けられる。
「がっ……」
 大口を開けた奴の口を狙い銃弾を撃ち込む。続いて、別のゾンビの目を狙う。
 ゾンビの体内で砕けた霊力入りの弾丸は、ゾンビの動きを一時的とは言え止めてくれる。
「くそ、次から次へと……」
 ビニールハウス内に居たゾンビは、一度に出て来る訳ではないらしく、タイミングをずらしているようだ。
「押えろ……ただし、ブッ壊さねえ程度にな」
「ああ……」
 レンジャー隊の副隊長ブルーパワー型イエローの金属腕がゾンビの一体の動きを封じ、副店長がゾンビの口に拳銃の銃口を捩じ込むと、霊力を込めた弾丸を発射。
「魔法系の力が効かない相手に魔法使い系が対抗するなら……物量作戦か……凡庸な手だ。この半年で2回目ぐらいだな」
「でも、その物量が半端無さ過ぎるぞ」
 気付いた時には、ゾンビに囲まれ……。
「ここに爆弾でもブチ込まれたら一巻の終わりだな……」
「ああ、だが……そんな真似をしたら奴も商売のタネが……待てよ……」
「その手が有ったな……」
 私と副店長は、ほぼ同時に、散弾銃を手にすると、これまた、ほぼ同時に銃弾を簡易焼夷弾ドラゴン・ブレスに入れ替える。
「おい、そいつらを焼いても……」
「焼くのは、こいつらじゃない。適当なのをビニールハウスに向けて放り投げてくれ。なるべく高くな」
 レンジャー隊の副隊長ブルーパワー型イエローの指摘に、私は、そう回答する。
「へっ? まぁ、やってみるが……」
 大型の金属腕が、ゾンビの内の1体を掴み、宙に放り投げた瞬間、私は空中のゾンビに向けて、簡易焼夷弾ドラゴン・ブレスを発射。
 火に包まれたゾンビはビニールハウスに激突し……。
「思ったより、良く燃えるな……」
 ビニールハウスの中では、スプリンクラーが作動したらしいが……どうやら、消火用ではなく、農作業用らしいので火の勢いは、ほんの少し減少しただけだ。
「おい、ちょっと待て、下手したら、あたしらも火に包まれるんじゃないのか、これ?」
 レンジャー隊の副隊長ブルーパワー型イエローが、そう言った。
 周囲では、炎が次々といくつものビニールハウスに燃え移っている。
「大丈夫だ。私達の強化装甲服パワードスーツは……ちょっと待て、まさか……」
「こっちのは、火災現場対応じゃないんだよッ‼」
「とりあえず、ゾンビどもが向かってる方法に行ってみるか……多分、親玉が居るのは、そっちだ」
 副店長が、そう言いながら、逃げていくゾンビ達を指差した。
「その不良品、リコール出来ないのか? どう考えても設計ミスだろ?」
 私は、レンジャー隊の副隊長ブルーパワー型イエロー強化装甲服パワードスーツを指差して、そう指摘。
「あのな、こっちは、一応、お役所なの。今の装備に問題が有っても、代りのが支給されるまで何年もかかんの」
「あ……そ……」
「あと、『何年も』ってのは『早くても何年も』だな」
めちまえ、そんな警察機構カイシャ
「はいはい、民間は気楽でいいな」
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