兵隊の足に合った軍靴を用意するのではなく、軍靴に兵隊の足を合わせろッッ!!!!

蓮實長治

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兵隊の足に合った軍靴を用意するのではなく、軍靴に兵隊の足を合わせろッッ!!!!

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「ねえ…スマホに代る新しい携帯電話って、もう開発されないの?」
 定年退職前の最後の仕事……その判決の日の打ち合わせで部下にそう訊いた。
 ある医大の男子学生が、同じ医大の同期の女子学生を強姦し、その結果、女子学生が自殺する、と云う悲惨な事件……しかし、「負ける要素が無い」裁判だったので、多少の気の緩みは有った。
「えっ?」
「今日、朝食を取った喫茶店チェーンもそうだよ……内装も店で流れてるBGMも私が若かった頃から何も変ってない」
「どうしたんですか?」
「いや……何日か前に、コンビニでさ、マンガの『自滅の棍棒』とのコラボ・キャンペーンをやってたんだよ。あれ、私が子供の頃の作品だよ。調べてみたら、今、流行ってるマンガやアニメって……『AI革命』の直前ぐらいのモノの流行が三〇年ぐらい続いてるモノばっかりで……その間、新しく流行ったマンガやアニメって、ほぼ無いんだよ」
 怪訝そうな顔をする部下達……そう言えば……男性ばかりだ。
 いつからだろう……あの「AI革命」の頃から、女性検事がどんどん減っていった気がするが……そう言えば、何故なのだ?

「AIの判断では『被告の将来の社会貢献度の予測値は、もし被害者が死ななかった場合の被害者のそれより遥かに大きくなる』となりました。よって、被告は懲役5年、執行猶予6ヶ月とします」
 下された判決は、執行猶予付き、かつ、起訴された罪状で許される最低の刑期となった。
「待って下さい。『被告の将来の社会貢献度の予測値』と云うのであれば、被害者の成績は学年トップで、被告の成績は留年ギリギリだった筈です」
 私は流石に抗議した。
「医療関係者であれば、男性が女性より遥かに『社会貢献度の予測値』が高くなります。それがAIの出した結論です」
 裁判長は諭すようにそう言った。
「納得出来ません。そんな事は、社会が変れば……」
「待って下さい。検事がそのような危険思想を公言するのはどうなのですか?」
「えっ?」
「これだから、貴方の世代は困る。いいですか、今の社会はAIに大きく依存しており、AIの本質は極めて高度な統計なのですよ」
「それが何なのですか?」
「社会が大きく変れば、現在のAIは変ってしまった社会に対応出来なくなり、再学習の為に時間を含めた多大なコストが必要になります。最早、今の時代、社会を維持する為には社会の制度や慣習を変える事は許されないのですよ」
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