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究極のチート小説を書いてみた
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「ところでさ……アメコミのX-MENが生まれた切っ掛けって知ってる?」
小説投稿サイトに投稿する小説のアイデアに煮詰って友人に相談にのってもらった時、その友人は、そう言った。
「えっ?」
「都市伝説かも知れないんだけど、編集者のスタン・リーが、ヒーローの能力の起源を考えるのが面倒臭くなったみたいなんだよ。ほら、キャップは超人血清だとか、スパディは変な蜘蛛に噛まれたからだとかさ……」
「なるほど……」
「で『初めから超能力を持ってる連中が居ます』って事にすればさ……」
「でもチート能力を得た理由が『血統』とか『遺伝子』つ~のもさぁ……。例えば、チートな主人公に兄弟とか親類が居たら……」
「だから、俺は、お前が悩んでる『主人公がチート能力を持ってる理由』なんて、そんなに難しく考える必要ない、って言いたいの。何だったら……」
「何?」
「『主人公が未来において英雄になる事が決っているので、その世界の歴史とか運命とかが、自動的に主人公に味方してくれる』とかでも良くね?」
「はぁ? いや、でも、いくら何でも無茶苦茶だろ」
「いや、チートものの面白さって、そんな感じじゃないの?」
「いや、お前こそ、チートものを甘く見過ぎだろ」
とは言え、俺は、その友人の一言で、何かふっきれた……。
その開き直りが巧く作用したのか、俺は、その友人が言ってくれたアイデアを元にした小説を一気に書き上げ……それは、結構なPVを稼ぎ……書籍化され……アニメ化され……。
何か、俺がチートものの主人公になったような錯覚を覚えるような数年が過ぎた後……ある事に気付いた……。
俺に、成功と大金を与えてくれた商業デビュー作が生まれる切っ掛けになった友人が……どこの誰だったか、全く思い出せないのだ。
「で……何で、こんな事をする必要が有ったんですか?」
私は上司にそう聞いた。
後に有名ラノベ作家になる若い男に、私がそいつの友人だと云う錯覚を与えた上で、後に彼のデビュー作になるラノベのアイデアを提供したのだ。
「すまん……私も、我々の時代そのものが存在する条件の1つが、彼が、あのラノベを書いて、それがヒットする事だ、としか聞いていない」
「えっ?」
「どうやら、我々の任務は、我々自身が『何故、それをやらねばならないか?』を知ってしまうと……確実に失敗してしまう性質が有るらしいのだ……。だから、引退するまで『何故』は禁句だ。さて、次の任務だが……時代は前回の7年前だ。この漫画家の絵柄を変えるように仕向けてくれ」
その漫画家は、彼のラノベの挿絵を描いた人物だった。
我々の時代には忘れ去られた、このラノベの存在が、一体全体、何故、この時代を存在させる必須条件なのか……私には想像も付かなかった。
小説投稿サイトに投稿する小説のアイデアに煮詰って友人に相談にのってもらった時、その友人は、そう言った。
「えっ?」
「都市伝説かも知れないんだけど、編集者のスタン・リーが、ヒーローの能力の起源を考えるのが面倒臭くなったみたいなんだよ。ほら、キャップは超人血清だとか、スパディは変な蜘蛛に噛まれたからだとかさ……」
「なるほど……」
「で『初めから超能力を持ってる連中が居ます』って事にすればさ……」
「でもチート能力を得た理由が『血統』とか『遺伝子』つ~のもさぁ……。例えば、チートな主人公に兄弟とか親類が居たら……」
「だから、俺は、お前が悩んでる『主人公がチート能力を持ってる理由』なんて、そんなに難しく考える必要ない、って言いたいの。何だったら……」
「何?」
「『主人公が未来において英雄になる事が決っているので、その世界の歴史とか運命とかが、自動的に主人公に味方してくれる』とかでも良くね?」
「はぁ? いや、でも、いくら何でも無茶苦茶だろ」
「いや、チートものの面白さって、そんな感じじゃないの?」
「いや、お前こそ、チートものを甘く見過ぎだろ」
とは言え、俺は、その友人の一言で、何かふっきれた……。
その開き直りが巧く作用したのか、俺は、その友人が言ってくれたアイデアを元にした小説を一気に書き上げ……それは、結構なPVを稼ぎ……書籍化され……アニメ化され……。
何か、俺がチートものの主人公になったような錯覚を覚えるような数年が過ぎた後……ある事に気付いた……。
俺に、成功と大金を与えてくれた商業デビュー作が生まれる切っ掛けになった友人が……どこの誰だったか、全く思い出せないのだ。
「で……何で、こんな事をする必要が有ったんですか?」
私は上司にそう聞いた。
後に有名ラノベ作家になる若い男に、私がそいつの友人だと云う錯覚を与えた上で、後に彼のデビュー作になるラノベのアイデアを提供したのだ。
「すまん……私も、我々の時代そのものが存在する条件の1つが、彼が、あのラノベを書いて、それがヒットする事だ、としか聞いていない」
「えっ?」
「どうやら、我々の任務は、我々自身が『何故、それをやらねばならないか?』を知ってしまうと……確実に失敗してしまう性質が有るらしいのだ……。だから、引退するまで『何故』は禁句だ。さて、次の任務だが……時代は前回の7年前だ。この漫画家の絵柄を変えるように仕向けてくれ」
その漫画家は、彼のラノベの挿絵を描いた人物だった。
我々の時代には忘れ去られた、このラノベの存在が、一体全体、何故、この時代を存在させる必須条件なのか……私には想像も付かなかった。
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