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第一部:来たるべき種族─The Coming Race─
第一章:大連(七)
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山口に斬撃を躱された男は、地面に着地する。濡れた地面を滑ったが、男が体のバランスを崩した様子は無かった。
男は、山口に山刀の切っ先を向け、ゆっくりと横に動く。それに応じて、山口も動きながら体の向きを変える。
山刀の高さは少しづづ変り、それに応じて、山口の両手の高さも変る。
「大丈夫なのか?」
協和服の子供は、そう、木村に問うた。
2人の足跡は、いつしか、円弧を描いていた。
「わからん……」
まず、男の突き。しかし、山口は、それを左手で捌く。
男は、わずかによろめいた。そして、次の瞬間、両者は険しい表情で互いを凝視めた。
男は山刀を右手で持ち、左半身を前に出す。
山口は、わずかに横に動く。それに対して、男は自分の体で刀身を隠すように体の向きを変える。
両者は、時に近付き、時に離れる。
そして、男の山刀の水平の斬撃。山口は斬撃をギリギリで躱し、一歩踏み込む。
だが、山口が目の前に晒された男の右脇腹に拳を撃ち込もうとした刹那……山刀の切り返しが山口の首を狙う。
次の瞬間、山口の体が宙に浮き、男の腹に蹴りを撃ち込んだ。その反動で距離で両者は離れる。
男は山刀を逆手に持ち替え、右半身を前に出し、左半身を引いた前屈みになると、左足を浮かせ、右足に体重をかける。
続いて、山口が様子を見るように、やや、前に出たと同時に……男はまるで肉食獣が獲物に跳び掛るような姿勢で宙に浮き山口に突撃した。
山口は前蹴りを男の腹に叩き込んだが、男は、手にした山刀で猶も山口を狙う。
だが……山刀の先端が斬り裂いたのは山口の上着の肩口だった。山口は一歩前に出て、男の襟首を掴むと……。
「うおおお‼」
山口は、男を柔道の巴投げの要領で投げ飛ばす。
男の体は道端の露店の中に投げ込まれた。
「しもた……」
滅茶苦茶になった露店を見て、山口は、そう呟く。
男は、山刀を手にフラフラと立ち上がるも……。
「ふんッ‼」
山口は男の鳩尾に正拳を叩き込んだ。
「何者ですか、こいつは?」
ようやく、気を失なった男を見て、木村はそう問うた。
「判らん……世の中は広かな……」
男は、山口に山刀の切っ先を向け、ゆっくりと横に動く。それに応じて、山口も動きながら体の向きを変える。
山刀の高さは少しづづ変り、それに応じて、山口の両手の高さも変る。
「大丈夫なのか?」
協和服の子供は、そう、木村に問うた。
2人の足跡は、いつしか、円弧を描いていた。
「わからん……」
まず、男の突き。しかし、山口は、それを左手で捌く。
男は、わずかによろめいた。そして、次の瞬間、両者は険しい表情で互いを凝視めた。
男は山刀を右手で持ち、左半身を前に出す。
山口は、わずかに横に動く。それに対して、男は自分の体で刀身を隠すように体の向きを変える。
両者は、時に近付き、時に離れる。
そして、男の山刀の水平の斬撃。山口は斬撃をギリギリで躱し、一歩踏み込む。
だが、山口が目の前に晒された男の右脇腹に拳を撃ち込もうとした刹那……山刀の切り返しが山口の首を狙う。
次の瞬間、山口の体が宙に浮き、男の腹に蹴りを撃ち込んだ。その反動で距離で両者は離れる。
男は山刀を逆手に持ち替え、右半身を前に出し、左半身を引いた前屈みになると、左足を浮かせ、右足に体重をかける。
続いて、山口が様子を見るように、やや、前に出たと同時に……男はまるで肉食獣が獲物に跳び掛るような姿勢で宙に浮き山口に突撃した。
山口は前蹴りを男の腹に叩き込んだが、男は、手にした山刀で猶も山口を狙う。
だが……山刀の先端が斬り裂いたのは山口の上着の肩口だった。山口は一歩前に出て、男の襟首を掴むと……。
「うおおお‼」
山口は、男を柔道の巴投げの要領で投げ飛ばす。
男の体は道端の露店の中に投げ込まれた。
「しもた……」
滅茶苦茶になった露店を見て、山口は、そう呟く。
男は、山刀を手にフラフラと立ち上がるも……。
「ふんッ‼」
山口は男の鳩尾に正拳を叩き込んだ。
「何者ですか、こいつは?」
ようやく、気を失なった男を見て、木村はそう問うた。
「判らん……世の中は広かな……」
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