魔導兇犬録:Deliver Us from Evil

蓮實長治

文字の大きさ
3 / 5
第一章:アンダードッグ

(2)

しおりを挟む
「こちら第『ホ』班。ターゲットKR01発見」
 リーダー格らしい五分刈りの髪を緑に染めたアラサーぐらいの女は、淡々とした口調でどこかと通話。
 「寛永寺僧伽」の奴が3人に、「入谷七福神」の奴が4人。
 寛永寺僧伽スキンヘッドの内2人は密教系らしき印を組む。
 入谷七福神スカジャンの内の1人は、日蓮宗の法具「木剣」を取り出し、別の1人はは江戸時代の懐剣のようなこしらえのような短刀を抜く。
 残りの寛永寺僧伽スキンヘッド1人と入谷七福神スカジャン2人は俺達の方に駆け出し……。
 マズい。
 「魔法使い」としての能力ちからを、ほぼ失なっている俺でも判る。
 全員が「魔法使い」か、気・魔力・霊力などを使う近接戦闘術……俗に言う「降魔武術」の使い手。
「おっちゃん、目ぇ潰れ」
 何故か俺を助けてくれてる謎のメスガキの声。
「えっ?」
 次の瞬間、閃光と轟音。
 誰かが俺の手を取る。
 多分、謎のメスガキだと思うが……視覚も聴覚も麻痺している。
 いや……待て……。
 多分、スタン・グレネードのたぐいだと思うが……だ……大丈夫だよな……一生、このままヘレン・ケラーなんて事はねえよな……。
 って、いつまで、このまま何だ?
 今、この暗闇の中、どんだけの時間が過ぎた?
 たすけて……。
 うわっ?
 くそ、暗闇の中を猛ダッシュで走ってるから……転びそうにな……痛い……あ、本当に転んだのか?
 うげっ⁉
 腹に蹴りが入る。
 どうなってる?
 わけがわかんねえよ……。
 ああ……あいつらに捕まった方がマシだったのか、ひょっとして。
 最悪でも楽に死ねる。
 ちくしょう。なまじ「生き残れる希望」が有るだけ……今の方が酷い。
 どん底に居る奴をどん底に突き落す事は出来ない。
 どん底に居る奴をどん底に突き落すには……まずは、引き上げてやる必要が有る。
 ああ、畜生。全て読めた。
 あのメスガキ、どう考えても、俺に怨みかなんか有りそうだから……くそ、俺をどん底に突き落す為に、わざとどん底から掬い上げやがったのかた……。
「ふざけんじゃねえっ‼ 何で俺を地獄のズンドコから助けやがった‼ クソ、あのメスガキっ‼ 地獄の獄卒オニどもに追い回される位なら、大人しく地獄に居た方がマシだったじゃねえかッ‼」
 ん?
「耳は回復したようだな、おっちゃん。お望み通り、地獄に送り返してやる前に、1つ聞きたい事が有る」
「……な……何だ……?」
「あんた達『英霊顕彰会』が日本のあっちこっちから強奪してた『呪具』が有っただろ……」
 あ……それが目的か……マズい。
 目も……ぼんやりとだが回復。
 おい、メスガキ、手に持ってるのは何だ?
 まさか、俺を覚醒剤シャブ依存症ちゅうにした上で自由の身にするとか、エグい事考えてなんて……。
「ごめんなさい……知りません。助けて下さい。覚醒剤シャブ漬けだけは勘弁して……」
「何、勘違いしてる? それに、あんたの所属組織は、覚醒剤の密売もやってただろうがッ⁉」
「密売なんてやってません。だから勘弁して……」
「おい、散々、ニュースになってた事の1割しかホントじゃなくても、やってただろ。台東区SITE04から来た連中が、あんた達んとこの倉庫から見付けた白い粉は何だ? 粉砂糖か? 高級天然塩か? それともタピオカ粉か片栗粉か?」
「たしかに、覚醒剤シャブは売ってたんで……覚醒剤シャブ依存症ちゅうの末路は知ってます。だから、覚醒剤シャブ依存症ちゅうだけは勘弁して……」
「い……いや……売ってたのに密売じゃない、ってどうなってる?」
「密売はしてません。堂々と売ってました」
「想像以上に腐ってんな、あんたの組織は……。まぁいい。これは、そんな薬じゃない。あんたの口を軽くするだけの薬だ」
「えっ?」
 おい……このメスガキ。
 「気」の感じから判るが……お前も同業者魔法使いだろッ‼
 同業者魔法使いの誇りはねえのかッ⁉
 最初は催涙ガスで、次はスタン・グレネード、今度は……だと。
 ぷすっ。
 ふにゃ~……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

日露戦争の真実

蔵屋
歴史・時代
 私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。 日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。  日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。  帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。  日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。 ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。  ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。  深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。  この物語の始まりです。 『神知りて 人の幸せ 祈るのみ 神の伝えし 愛善の道』 この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。 作家 蔵屋日唱

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

恋愛リベンジャーズ

廣瀬純七
SF
拓也は、かつての恋人・純への後悔を抱えたまま生きてきた。ある日、過去へ戻れる不思議なアプリを手に入れるが戻った先で彼を待っていたのは、若き日の純ではなく――純そのものになってしまった自分自身だった。かつての恋人とやり直すはずが、過去の自分を相手に恋をするという奇妙で切ない関係が始まっていく。時間と心が交差する、不思議な男女入れ替わりストーリー。

処理中です...