3 / 3
中国人投資家
しおりを挟む
数年ぶりに日本に来たら……何故か、逮捕状を持った刑事2人がホテルにやって来た。
私の国が日本の公的機関に仕掛けたサイバー攻撃に、私が関わっている、と云う容疑だった。
仕事で日本に長期滞在していた時に使っていたレンタル・サーバが、その「サイバー攻撃」の「踏み台」に使われたらしい。
しかも、いつの間にか、日本では、私が熱烈な共産党員だと云う報道がされているらしい。
「弁護士と大使館に連絡したいのですが……」
私が、そう言った次の瞬間、刑事の片方が派手に転倒した。
……おい……まさか……これが話に聞く……あれか?
私は逃亡を試みて刑事に暴行を働いた、と云う理由で刑事達から暴行を受け逮捕された。
ひょっとしたら、日本の社会体制は思っていたよりも我が国に似ており、日本人は、案外、簡単に我が国の社会体制に順応出来るのでは無いか?
そんな馬鹿な考えが脳裏を過った。
取調べ室の外から怒鳴り声が聞こえる。
「申し訳ありません……。手違いが有ったようで……」
部屋に入って来たのは、素人目にも、刑事とはどこか雰囲気が違うように思える三十代後半の男だった。
その男を一目見た時に違和感を覚えた。まるで、浮浪者の格好をした金持ちか……逆に、金持ちに見える格好をした浮浪者か……そんな奇妙な人物を目にしたような気がした。
違和感の正体を探る為に、その男を観察してみる。
背広は……そこそこのモノに思えるが……くたびれている。
高級そうなワイシャツの襟には、微かな汚れ。
多分……最後に髭を剃ってから2~3日は経っている。
眼鏡は……偶然にも、私が今使っているものと同じだった。……つまり、いい値段の高級ブランド。
髪は……見苦しくない程度には手入れされているが……良く見るとフケが浮かんでいる。
ここ何日か、自宅に帰れないほどの忙しい状況にある高級官僚。
それが、私が推理した、その男の正体だった。
後に北朝鮮の総書記となる金正日が若い頃、自国の映画産業を育てる為に、韓国の映画監督を拉致した。しかし……「良く有る手違い」のせいでVIP待遇で迎えるつもりだった映画監督は、何年も政治犯収容所にブチ込まれる事になった。
私は……その「嘘のような実話」を思い浮かべた。
「実は……ご相談が有りまして……貴方に、ある日本企業の株式を買収して欲しいのですよ。OKしていただけるなら、買収費用の何割かを我々が負担します」
「身分は明かせない」とは言っていたが……どうやら高級官僚らしいその男は、そう言った。
我が国と日本の現在の関係は……どう考えても「悪い」。
だが、男が渡したリストは……。
「マスコミ関係ですか?」
「ええ」
「OKをしないと、ここから出られない訳でしょう? 私に選択肢が有りますか?」
それから数ヶ月後、例の汚染水海洋放出問題で、日本政府を批判している報道機関は我が国の政府の傀儡と化している、と云う噂が日本人の間で広まっているらしかった。
日本では「日本へのサイバー攻撃に関与している熱烈な中国共産党員」と云う事になっている私が、それらの報道機関の株式の一部を持っていたせいで。
私の国が日本の公的機関に仕掛けたサイバー攻撃に、私が関わっている、と云う容疑だった。
仕事で日本に長期滞在していた時に使っていたレンタル・サーバが、その「サイバー攻撃」の「踏み台」に使われたらしい。
しかも、いつの間にか、日本では、私が熱烈な共産党員だと云う報道がされているらしい。
「弁護士と大使館に連絡したいのですが……」
私が、そう言った次の瞬間、刑事の片方が派手に転倒した。
……おい……まさか……これが話に聞く……あれか?
私は逃亡を試みて刑事に暴行を働いた、と云う理由で刑事達から暴行を受け逮捕された。
ひょっとしたら、日本の社会体制は思っていたよりも我が国に似ており、日本人は、案外、簡単に我が国の社会体制に順応出来るのでは無いか?
そんな馬鹿な考えが脳裏を過った。
取調べ室の外から怒鳴り声が聞こえる。
「申し訳ありません……。手違いが有ったようで……」
部屋に入って来たのは、素人目にも、刑事とはどこか雰囲気が違うように思える三十代後半の男だった。
その男を一目見た時に違和感を覚えた。まるで、浮浪者の格好をした金持ちか……逆に、金持ちに見える格好をした浮浪者か……そんな奇妙な人物を目にしたような気がした。
違和感の正体を探る為に、その男を観察してみる。
背広は……そこそこのモノに思えるが……くたびれている。
高級そうなワイシャツの襟には、微かな汚れ。
多分……最後に髭を剃ってから2~3日は経っている。
眼鏡は……偶然にも、私が今使っているものと同じだった。……つまり、いい値段の高級ブランド。
髪は……見苦しくない程度には手入れされているが……良く見るとフケが浮かんでいる。
ここ何日か、自宅に帰れないほどの忙しい状況にある高級官僚。
それが、私が推理した、その男の正体だった。
後に北朝鮮の総書記となる金正日が若い頃、自国の映画産業を育てる為に、韓国の映画監督を拉致した。しかし……「良く有る手違い」のせいでVIP待遇で迎えるつもりだった映画監督は、何年も政治犯収容所にブチ込まれる事になった。
私は……その「嘘のような実話」を思い浮かべた。
「実は……ご相談が有りまして……貴方に、ある日本企業の株式を買収して欲しいのですよ。OKしていただけるなら、買収費用の何割かを我々が負担します」
「身分は明かせない」とは言っていたが……どうやら高級官僚らしいその男は、そう言った。
我が国と日本の現在の関係は……どう考えても「悪い」。
だが、男が渡したリストは……。
「マスコミ関係ですか?」
「ええ」
「OKをしないと、ここから出られない訳でしょう? 私に選択肢が有りますか?」
それから数ヶ月後、例の汚染水海洋放出問題で、日本政府を批判している報道機関は我が国の政府の傀儡と化している、と云う噂が日本人の間で広まっているらしかった。
日本では「日本へのサイバー攻撃に関与している熱烈な中国共産党員」と云う事になっている私が、それらの報道機関の株式の一部を持っていたせいで。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる