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第40話
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「ゼマさんっ!」
これには当然、ララクも気がついた。偶然にも彼女との距離は近く、一度集合しようと移動を始めた。
ララクは援軍の登場に歓喜と安心を抱いたが、それとは真逆のリアクションをハライノスはとっていた。
「嘘だろ!? マベラがやられたっていうのか??」
鼻を尖がらせて驚愕するハライノス。女戦士マベラの実力はもちろん知っているので、1対1で負ける姿など想像できなかったのだ。
これには闇使いシットニンも驚いたが、彼はいち早く、ゼマの後ろを追いかける人物に気が付いた。
「大丈夫? なのかな?」
自慢の長双剣を両サイドに展開し、鬼のような形相でゼマを追いかけていた。その顔面には、大きな火傷が残っている。
「っは、なんだよいんじゃねぇか!」
重傷を負ってはいるが、気迫あふれるその姿にハライノスは安堵する。ゼマが増えてしまったのは面倒くさそうと感じていたが、マベラがいればこっちに有利と考えている。
「ララク~。こっちきてぇ~」
「了解です!」
ゼマは大声を出しながら、クリスタルロッドの【伸縮自在】を上手く利用して移動し続けていた。
ララクも一度、ハライノスたちから目を離し、彼女との合流を優先した。
そしてララクとゼマが近付いた瞬間、ゼマはララクに何やら耳打ちをする。それを聞いたララクは短く頷き、そのまま枝移りを続けていった。
そのやりとりを見て、ハライノスとシットニンは気がついた。今一番、危険な状況にいるのはマベラであるという事を。
「まずいっ! マベラ、そいつから逃げろっ!」
ハライノスは手を振り上げて危険信号を送るが、マベラには全く眼中になかった。
マベラがロックオンしているのは、ゼマだけだ。ララクが近づいて来ても、なにも脅威には感じていなかった。
ララクとは、一度長双剣と斧で刃を交り合わせている。
そこで自分よりも接近戦は劣っていると判断した。
「邪魔だぁぁぁぁぁぁ! わたしにあいつを! 斬らせろぉぉぉ!」
歯を剥き出しにして目をぎらつかせるマベラ。ララクはそれと対面して、一瞬だけ恐怖を感じるが、ゼマに言われたことを実行しに近づいていく。
マベラとララク、両者は同時に枝を蹴って空中に飛び出す。
長双剣を構えるマベラに対して、ララクは丸腰。武器があったとしても通用するかは分からず、武器を作り出しても【ディスキル】で消される可能性はある。
だがそれでも、彼にはまだまだ、敵の知らないスキルを多数所持している。
「【ディープスリープ】」
彼がスキルを発動すると、マベラの顔面に濃い水色をした液体のようなものが直撃する。それを受けた瞬間、マベラの脳内に特殊なエキスが分泌されていく。
「っくそ! 【ディスキル】!」
この時、ハライノスはララクの放った【ディープスリープ】に対して【ディスキル】を放つ。が、少し距離があったので、ノータイムとはいかず、マベラにスキルがヒットした後に封印効果が発動した。
マベラの顔に振りかかった液体はすぐに消えたが、もう【ディープスリープ】の効果は発動していた。
このスキルは強制的に相手を眠りに誘うスキルだ。攻撃性能がない分、睡眠効果に特化した即効性がある。
「わ、わたしに、な……に、を……」
訳も分からないまま、マベラは白目を剥いてしまった。脳に直接睡眠薬をぶち込まれたようなもので、それに抗うのは難しい。防御力を無視できる優秀で強力なスキルだが、当たれば必ず眠るわけではない。
眠気に抗うために、脳と体が激しく抵抗する。一番このスキルがかかりにくいのは、相手が冷静でいる瞬間。あとは、興奮しすぎていると、睡魔が入り込む余地がないこともある。
今回のマベラは後者のケースともいえるが、彼女はすでに【ホーリースイング】を頭に受けて、本来なら気絶していてもおかしくはない。
脳を酷使している状態に、睡魔で襲うことで一気に睡眠まで持っていくことが可能になったのだ。
眠りというよりは、気を失った状態に近いマベラは、長双剣を掴む握力も失い、剣を放り出してしまう。
そして完全に脳と視界がシャットアウトすると、真っ逆さまに落ちていく。
これには当然、ララクも気がついた。偶然にも彼女との距離は近く、一度集合しようと移動を始めた。
ララクは援軍の登場に歓喜と安心を抱いたが、それとは真逆のリアクションをハライノスはとっていた。
「嘘だろ!? マベラがやられたっていうのか??」
鼻を尖がらせて驚愕するハライノス。女戦士マベラの実力はもちろん知っているので、1対1で負ける姿など想像できなかったのだ。
これには闇使いシットニンも驚いたが、彼はいち早く、ゼマの後ろを追いかける人物に気が付いた。
「大丈夫? なのかな?」
自慢の長双剣を両サイドに展開し、鬼のような形相でゼマを追いかけていた。その顔面には、大きな火傷が残っている。
「っは、なんだよいんじゃねぇか!」
重傷を負ってはいるが、気迫あふれるその姿にハライノスは安堵する。ゼマが増えてしまったのは面倒くさそうと感じていたが、マベラがいればこっちに有利と考えている。
「ララク~。こっちきてぇ~」
「了解です!」
ゼマは大声を出しながら、クリスタルロッドの【伸縮自在】を上手く利用して移動し続けていた。
ララクも一度、ハライノスたちから目を離し、彼女との合流を優先した。
そしてララクとゼマが近付いた瞬間、ゼマはララクに何やら耳打ちをする。それを聞いたララクは短く頷き、そのまま枝移りを続けていった。
そのやりとりを見て、ハライノスとシットニンは気がついた。今一番、危険な状況にいるのはマベラであるという事を。
「まずいっ! マベラ、そいつから逃げろっ!」
ハライノスは手を振り上げて危険信号を送るが、マベラには全く眼中になかった。
マベラがロックオンしているのは、ゼマだけだ。ララクが近づいて来ても、なにも脅威には感じていなかった。
ララクとは、一度長双剣と斧で刃を交り合わせている。
そこで自分よりも接近戦は劣っていると判断した。
「邪魔だぁぁぁぁぁぁ! わたしにあいつを! 斬らせろぉぉぉ!」
歯を剥き出しにして目をぎらつかせるマベラ。ララクはそれと対面して、一瞬だけ恐怖を感じるが、ゼマに言われたことを実行しに近づいていく。
マベラとララク、両者は同時に枝を蹴って空中に飛び出す。
長双剣を構えるマベラに対して、ララクは丸腰。武器があったとしても通用するかは分からず、武器を作り出しても【ディスキル】で消される可能性はある。
だがそれでも、彼にはまだまだ、敵の知らないスキルを多数所持している。
「【ディープスリープ】」
彼がスキルを発動すると、マベラの顔面に濃い水色をした液体のようなものが直撃する。それを受けた瞬間、マベラの脳内に特殊なエキスが分泌されていく。
「っくそ! 【ディスキル】!」
この時、ハライノスはララクの放った【ディープスリープ】に対して【ディスキル】を放つ。が、少し距離があったので、ノータイムとはいかず、マベラにスキルがヒットした後に封印効果が発動した。
マベラの顔に振りかかった液体はすぐに消えたが、もう【ディープスリープ】の効果は発動していた。
このスキルは強制的に相手を眠りに誘うスキルだ。攻撃性能がない分、睡眠効果に特化した即効性がある。
「わ、わたしに、な……に、を……」
訳も分からないまま、マベラは白目を剥いてしまった。脳に直接睡眠薬をぶち込まれたようなもので、それに抗うのは難しい。防御力を無視できる優秀で強力なスキルだが、当たれば必ず眠るわけではない。
眠気に抗うために、脳と体が激しく抵抗する。一番このスキルがかかりにくいのは、相手が冷静でいる瞬間。あとは、興奮しすぎていると、睡魔が入り込む余地がないこともある。
今回のマベラは後者のケースともいえるが、彼女はすでに【ホーリースイング】を頭に受けて、本来なら気絶していてもおかしくはない。
脳を酷使している状態に、睡魔で襲うことで一気に睡眠まで持っていくことが可能になったのだ。
眠りというよりは、気を失った状態に近いマベラは、長双剣を掴む握力も失い、剣を放り出してしまう。
そして完全に脳と視界がシャットアウトすると、真っ逆さまに落ちていく。
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