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黒い水着軍団、チーム”ブラックバード”差し人不明の手紙。薬指の約束。
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僕は黒字に白のラインがはいった水着に着替えて、
炎天下のプールサイドに出てアツアツの青いベンチの上にバスタオルを敷いて座った。
普段は僕たちが泳いでいる、
屋外プールに水飛沫をあげて、東南高校の水泳部員が泳いでいる。
みんなとても美しいフォーム。そして全員女子。
東南高校は、女子しか存在しない女子校なのだ。
女子ばっかり。僕はいつもよりドキドキしている自分の胸に手のひらを置いた。
「落ち着いて、落ち着いて、落ち着こう」
僕は、小学校の時いらい女子(三次元の)とほとんど会話したことがない。
僕たち西南高校の部員はまだ誰も来ない。
一人で待っているのが辛い。
緊張のために背中に脂汗がたらりと滴り落ちていった。
ばしゃばしゃと水の音をさせながら、
3メートルほど先のプールで泳いでいる東南高校の水泳部員のようすをぜったいに
気づかれないように横目でぬすみ見た。
“東南高校”とマジックインクで書かれた赤いトレーニングウエアを着たさっきの女子は、
まだ濡れている髪をポニーテイルに束ねて首から五つもストップウオッチを下げて、
右手にバインダーを抱えてプールサイドに立っていた。
「ラスト、ファイナルナップ」
車椅子に座り、
右足を石膏で固めた長い艶のある黒髪をした顧問らしき女性の先生が、
手に持ったベルを鳴らしてプールで泳ぐ部員たちに声をかける。
扉萌子は首から下げたストップウオッチを起用に操って選手が泳ぎきって壁に手をつくと、
タイムをつぎつぎ記録していく。
やがてすっかり水の音が止まった。
水の音が止んだプールから水滴を落としながら
真っ黒いスイムウエアと真っ黒のキャップをかぶった、
東南高校水泳部員がつぎつぎと上がってきた。
僕はずっと顔を伏せて時間がすぎるのをまった。
ミランダが僕の前にいる。そう考えると心臓が飛び出そうなるくらいはやく鼓動を打った。
女子部員ばかりの東南高校水泳部、細身の体に強靭なメンタル、通称“ブラックバード”と呼ばれる美少女チーム。
率いるのは、カミソリとあだ名される黒髪の闘将茂世丘村雨(もよおかむらさめ)先生。
練習を終えたばかりの東南高校、チーム“ブラックバード”の7名は、
プールに向かって深々と頭を下げてから、
キャップを外して、僕の前を通ってロッカールームに戻っていく。
皆、僕の前を通り過ぎるときに、一礼していく。
僕はその度に顔を伏せたまま会釈する。
そのたびに、石鹸のようないいにおいの風がやってくる。
僕の体は緊張でますます硬くなってしまう。
最後にひときわ強い花の香りのような芳しい香りが漂ってきて、
僕の前を誰かが通り過ぎていった。
顔を上げると西邑扉萌子が
茂世丘村雨(もよおかむらさめ)先生の車椅子を押して僕の前を横切って行った後だった。
僕は遠ざかる扉萌子の小さな背中をずっと見ていた。
「さあ、練習するか」
僕が立ち上がると、僕の座っていたベンチの
の隣に一通の手紙が落ちていて、裏返してみると宛先には僕の名前が書いてあった。
ふと顔を上げると、遠くの方にロッカーを出た西邑扉萌子が立っている。
紺色の制服に着替えた扉萌子は、肩まである髪を揺らしながら、
ちらりと僕の方を見て微笑んだような気がした。
扉萌子の顔を見た途端、僕は吹き飛ばされそうなくらい何か強い衝撃を胸に感じた。
「わあ」
僕は、自分の胸を見て、ひだり手で触れてみた。
僕の左手の薬指に、
覚えのない赤い毛糸が巻き付けてあった。
「どういうこと?」
僕はつぶやいた。
そして手紙をあげてみると、赤い文字で
”助けて”
と書いてあった。
炎天下のプールサイドに出てアツアツの青いベンチの上にバスタオルを敷いて座った。
普段は僕たちが泳いでいる、
屋外プールに水飛沫をあげて、東南高校の水泳部員が泳いでいる。
みんなとても美しいフォーム。そして全員女子。
東南高校は、女子しか存在しない女子校なのだ。
女子ばっかり。僕はいつもよりドキドキしている自分の胸に手のひらを置いた。
「落ち着いて、落ち着いて、落ち着こう」
僕は、小学校の時いらい女子(三次元の)とほとんど会話したことがない。
僕たち西南高校の部員はまだ誰も来ない。
一人で待っているのが辛い。
緊張のために背中に脂汗がたらりと滴り落ちていった。
ばしゃばしゃと水の音をさせながら、
3メートルほど先のプールで泳いでいる東南高校の水泳部員のようすをぜったいに
気づかれないように横目でぬすみ見た。
“東南高校”とマジックインクで書かれた赤いトレーニングウエアを着たさっきの女子は、
まだ濡れている髪をポニーテイルに束ねて首から五つもストップウオッチを下げて、
右手にバインダーを抱えてプールサイドに立っていた。
「ラスト、ファイナルナップ」
車椅子に座り、
右足を石膏で固めた長い艶のある黒髪をした顧問らしき女性の先生が、
手に持ったベルを鳴らしてプールで泳ぐ部員たちに声をかける。
扉萌子は首から下げたストップウオッチを起用に操って選手が泳ぎきって壁に手をつくと、
タイムをつぎつぎ記録していく。
やがてすっかり水の音が止まった。
水の音が止んだプールから水滴を落としながら
真っ黒いスイムウエアと真っ黒のキャップをかぶった、
東南高校水泳部員がつぎつぎと上がってきた。
僕はずっと顔を伏せて時間がすぎるのをまった。
ミランダが僕の前にいる。そう考えると心臓が飛び出そうなるくらいはやく鼓動を打った。
女子部員ばかりの東南高校水泳部、細身の体に強靭なメンタル、通称“ブラックバード”と呼ばれる美少女チーム。
率いるのは、カミソリとあだ名される黒髪の闘将茂世丘村雨(もよおかむらさめ)先生。
練習を終えたばかりの東南高校、チーム“ブラックバード”の7名は、
プールに向かって深々と頭を下げてから、
キャップを外して、僕の前を通ってロッカールームに戻っていく。
皆、僕の前を通り過ぎるときに、一礼していく。
僕はその度に顔を伏せたまま会釈する。
そのたびに、石鹸のようないいにおいの風がやってくる。
僕の体は緊張でますます硬くなってしまう。
最後にひときわ強い花の香りのような芳しい香りが漂ってきて、
僕の前を誰かが通り過ぎていった。
顔を上げると西邑扉萌子が
茂世丘村雨(もよおかむらさめ)先生の車椅子を押して僕の前を横切って行った後だった。
僕は遠ざかる扉萌子の小さな背中をずっと見ていた。
「さあ、練習するか」
僕が立ち上がると、僕の座っていたベンチの
の隣に一通の手紙が落ちていて、裏返してみると宛先には僕の名前が書いてあった。
ふと顔を上げると、遠くの方にロッカーを出た西邑扉萌子が立っている。
紺色の制服に着替えた扉萌子は、肩まである髪を揺らしながら、
ちらりと僕の方を見て微笑んだような気がした。
扉萌子の顔を見た途端、僕は吹き飛ばされそうなくらい何か強い衝撃を胸に感じた。
「わあ」
僕は、自分の胸を見て、ひだり手で触れてみた。
僕の左手の薬指に、
覚えのない赤い毛糸が巻き付けてあった。
「どういうこと?」
僕はつぶやいた。
そして手紙をあげてみると、赤い文字で
”助けて”
と書いてあった。
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