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三章 王都滞在中
25話 王城からの呼び出し
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「王城の財務の部署に来てほしいそうだ。
書類の受け取りと面接を兼ねるらしい」
帰ってきたばかりのジーンがパレットを訪ねてきたかと思えば、顔を見るなりそう言った。
「え、面接?」
「詳しくは知らん。
俺は伝言されただけだ」
それだけ言うとジーンは立ち去る。
――私、一庶民でしかないんですけど
一体何を期待されているのはわからないまま次の日になり、パレットは王城へと向かう。
今度はちゃんと、アカレアの領主館の文官の服装である。
今日は前回訪れた時のようなこともなく、すんなりと案内された。
そして王城の財務を扱う中の一部署へと通された。
正面の立派な机に、ひょろりと痩せた中年男性が座っている。
黒髪には白いものが結構な割合で混じっており、碧眼は分厚い眼鏡に覆われていた。
おそらく彼がここで最も偉い人だろう。
「よく来た、私が管理室の室長フレデリック・クレイグだ」
室長だという男性に、パレットは深々と頭を下げる。
「あの、これがアカレアの領主様からの書類です」
王都に来たばかりの際、誰にも私そびれていた書類を、パレットはようやく渡すことができた。
預かりものをいつまでも所持しているのは、心理的に良くない。
失くしはしないかと、いつもビクビクしていた。
「確かに受け取った」
室長は受け取った書類を机に置くと、その隣に無造作に積まれている紙束から、一番上のものを取ってパレットに差し出した。
「君、この書類をどう思う」
なにを求められているのか知らないが、パレットはとりあえず差し出したものを受け取る。
「……失礼します」
さらっとその内容を読む。
それに書いてあるのはほんの三行だ。
――予算請求項目、備品整備費、大金貨十枚、以上ってふざけてるのかしら
下手したら商会一つ分の年商となる金額を、備品整備費で済ませるとは馬鹿じゃなかろうか。
アカレアの領主館でも、これほどにひどい予算請求書類を見たことがない。
備品整備費とやらの細かい内訳を書いてくれなくては、上司に持っていけば叱られる書類だ。
サインを確認すると、どうやら騎士団長が出した書類のようだ。
「どうかね?」
室長に感想を催促され、仕方なくパレットは最も気になったことを口にした。
「高価な紙を、このようなおふざけで使ってほしくありませんね」
「ああ、まともな感性に出会うと感動するね。
私も末期だ」
室長が眼鏡を外して目頭を押さえる。
よく見ると震えている。
――え、そんなに感動するところ?
パレットはどうすればいいのかわからず、立っているしかできない。
「全く連中ときたら、予算は言い値が請求できるものだと勘違いしている」
室長の愚痴ともいえる発言に、パレットは眉を顰める。
「……王城では、この予算請求がまかり通るのですか?」
パレットの質問に、室長はため息を漏らす。
「一領主の方が、健全な経営をしているとは涙が出るな」
否定の答えが返ってこないことに、パレットは驚く。
――こんな出来の書類が王城の中枢にまで上がるなんて、ここの文官は仕事してるの?
「えっと王城って、そんなに人がいないのですか?」
パレットはだいぶ発言を和らげて聞いてみたが、自分で言いながらそれはないと思う。
この部屋に来るまでにも、大勢の文官らしき人とすれ違った。
これに、室長は真面目な顔で答えた。
「人数が足りているかという質問であれば、無駄に余っていると言えるな」
だが室長の言い分は、以前聞いた王妃様の言葉と矛盾する。
王妃様は財務は人手が足りていないと言っていた。
――人数が足りていないのか、それとも使える人材がいないのか、どちらでも大問題ね
なにせここは王城、国の中枢だ。
「領主館で働いていたそなたからすると、不思議だろうな」
なんとも言えない表情をしているパレットを見て、室長は苦笑した。
「現在の王城の役職は貴族の世襲であり、ろくに学ぶこともせずにただ肩書を欲する者ばかりだ」
王城で働いている者の割合は、役職持ち貴族に金と引き換えに押し付けられた、名ばかり役人が大半なのだという。
――大半って、多くない?
パレットは先日不快な思いをさせられた文官を思い出す。
彼の言葉の端々から、自分が選ばれた人間であるという傲慢さがうかがえた。
それは貴族であるからではなく、世襲の一族であるということからなのかもしれない。
室長が言うには、彼もそういった者の一人だそうだ。
――知人からの紹介とか、お世話になった人の息子だとか、そういうのって当たり外れがあるのよね
アカレアの領主館でも一定数そのような人物はいたので、そこは理解できる。
ただ問題は、王城にはそういった紹介で働く人が多すぎることだ。
「そして連中は派閥争いにうつつを抜かし、政治をおろそかにしている。
そんな中で陛下は王城の機能を回すのに苦労されている」
見れば室長の目の下には隈ができている。
王城で普通に働く人は忙しいのかもしれない。
――どうしてそういう人たちを放っておくんだろう
国王は一番偉いのだから、一言命令すればなんでもできるのではないだろうか。
そんな疑問が顔に出ていたのか、室長は真剣な眼差しをパレットに向けた。
「隣国ルドルファンの内乱騒動を、君は知っているか?」
「……昔父から、少しだけ聞いたことがあります」
それは二人の王子の王位争いに端を発した内乱で、国中を混乱に陥れた黒歴史だ。
話によると、当時のルドルファン国上層部は金ずくの政治が横行していたのだそうだ。
兵として若い男手をとられ、徴税は高くなっていくばかり。
こうした長い内乱により疲弊した民を憂い、王城内の腐敗を一層して国を建て直したのが、現国王とその弟である宰相であるのだとか。
「当時の国境には、隣国からの亡命者が毎日長蛇の列を作っていたとか」
「その通りだ。
そして当時のルドルファンの王城の内情は、現在の我が国に非常に似通っている」
室長の言葉に、パレットは息を飲んだ。
――王位争いをしているっていうの?
現在の国王には王子が一人だけと聞いている。
だがここでパレットは自分が実家を家出した件を思い出した。
――もしかして、王様の兄弟と?
さっと顔色を悪くしたパレットに、室長は頷いた。
「キミは王都から離れたアカレアにいたから疎いようだな。
しかし今の話は王都で情報通の者ならば知っていることだ。
そして現在王都から離れる商人が増えている」
利に敏い商人が動くということは、王都が悪いことになると思っているからだろう。
難しい顔で室長は続ける。
「我が国も、ルドルファンの悪しき歴史を辿ろうとしている。
しかし建て直された隣国のように、我が国も建て直るのだとどうして保証できる?」
パレットは王都の治安を守るべき最大戦力を思い出す。
まずあのお飾り騎士団では、民衆の反乱が起きたらあっという間に制圧されるだろう。
そして兵士が貴族たちを取り押さえることなどできるはずもない。
内乱になれば、やりたい放題になるのは必至だろう。
「この国は平和に慣れ過ぎた。
例えれば腐り落ちる寸前の果実のようなものだ。
今腐った部分をそぎ落として踏みとどまらねば、落ちるばかりなのだよ」
この王城は、内乱を起こした時点で終わりなのだ。
書類の受け取りと面接を兼ねるらしい」
帰ってきたばかりのジーンがパレットを訪ねてきたかと思えば、顔を見るなりそう言った。
「え、面接?」
「詳しくは知らん。
俺は伝言されただけだ」
それだけ言うとジーンは立ち去る。
――私、一庶民でしかないんですけど
一体何を期待されているのはわからないまま次の日になり、パレットは王城へと向かう。
今度はちゃんと、アカレアの領主館の文官の服装である。
今日は前回訪れた時のようなこともなく、すんなりと案内された。
そして王城の財務を扱う中の一部署へと通された。
正面の立派な机に、ひょろりと痩せた中年男性が座っている。
黒髪には白いものが結構な割合で混じっており、碧眼は分厚い眼鏡に覆われていた。
おそらく彼がここで最も偉い人だろう。
「よく来た、私が管理室の室長フレデリック・クレイグだ」
室長だという男性に、パレットは深々と頭を下げる。
「あの、これがアカレアの領主様からの書類です」
王都に来たばかりの際、誰にも私そびれていた書類を、パレットはようやく渡すことができた。
預かりものをいつまでも所持しているのは、心理的に良くない。
失くしはしないかと、いつもビクビクしていた。
「確かに受け取った」
室長は受け取った書類を机に置くと、その隣に無造作に積まれている紙束から、一番上のものを取ってパレットに差し出した。
「君、この書類をどう思う」
なにを求められているのか知らないが、パレットはとりあえず差し出したものを受け取る。
「……失礼します」
さらっとその内容を読む。
それに書いてあるのはほんの三行だ。
――予算請求項目、備品整備費、大金貨十枚、以上ってふざけてるのかしら
下手したら商会一つ分の年商となる金額を、備品整備費で済ませるとは馬鹿じゃなかろうか。
アカレアの領主館でも、これほどにひどい予算請求書類を見たことがない。
備品整備費とやらの細かい内訳を書いてくれなくては、上司に持っていけば叱られる書類だ。
サインを確認すると、どうやら騎士団長が出した書類のようだ。
「どうかね?」
室長に感想を催促され、仕方なくパレットは最も気になったことを口にした。
「高価な紙を、このようなおふざけで使ってほしくありませんね」
「ああ、まともな感性に出会うと感動するね。
私も末期だ」
室長が眼鏡を外して目頭を押さえる。
よく見ると震えている。
――え、そんなに感動するところ?
パレットはどうすればいいのかわからず、立っているしかできない。
「全く連中ときたら、予算は言い値が請求できるものだと勘違いしている」
室長の愚痴ともいえる発言に、パレットは眉を顰める。
「……王城では、この予算請求がまかり通るのですか?」
パレットの質問に、室長はため息を漏らす。
「一領主の方が、健全な経営をしているとは涙が出るな」
否定の答えが返ってこないことに、パレットは驚く。
――こんな出来の書類が王城の中枢にまで上がるなんて、ここの文官は仕事してるの?
「えっと王城って、そんなに人がいないのですか?」
パレットはだいぶ発言を和らげて聞いてみたが、自分で言いながらそれはないと思う。
この部屋に来るまでにも、大勢の文官らしき人とすれ違った。
これに、室長は真面目な顔で答えた。
「人数が足りているかという質問であれば、無駄に余っていると言えるな」
だが室長の言い分は、以前聞いた王妃様の言葉と矛盾する。
王妃様は財務は人手が足りていないと言っていた。
――人数が足りていないのか、それとも使える人材がいないのか、どちらでも大問題ね
なにせここは王城、国の中枢だ。
「領主館で働いていたそなたからすると、不思議だろうな」
なんとも言えない表情をしているパレットを見て、室長は苦笑した。
「現在の王城の役職は貴族の世襲であり、ろくに学ぶこともせずにただ肩書を欲する者ばかりだ」
王城で働いている者の割合は、役職持ち貴族に金と引き換えに押し付けられた、名ばかり役人が大半なのだという。
――大半って、多くない?
パレットは先日不快な思いをさせられた文官を思い出す。
彼の言葉の端々から、自分が選ばれた人間であるという傲慢さがうかがえた。
それは貴族であるからではなく、世襲の一族であるということからなのかもしれない。
室長が言うには、彼もそういった者の一人だそうだ。
――知人からの紹介とか、お世話になった人の息子だとか、そういうのって当たり外れがあるのよね
アカレアの領主館でも一定数そのような人物はいたので、そこは理解できる。
ただ問題は、王城にはそういった紹介で働く人が多すぎることだ。
「そして連中は派閥争いにうつつを抜かし、政治をおろそかにしている。
そんな中で陛下は王城の機能を回すのに苦労されている」
見れば室長の目の下には隈ができている。
王城で普通に働く人は忙しいのかもしれない。
――どうしてそういう人たちを放っておくんだろう
国王は一番偉いのだから、一言命令すればなんでもできるのではないだろうか。
そんな疑問が顔に出ていたのか、室長は真剣な眼差しをパレットに向けた。
「隣国ルドルファンの内乱騒動を、君は知っているか?」
「……昔父から、少しだけ聞いたことがあります」
それは二人の王子の王位争いに端を発した内乱で、国中を混乱に陥れた黒歴史だ。
話によると、当時のルドルファン国上層部は金ずくの政治が横行していたのだそうだ。
兵として若い男手をとられ、徴税は高くなっていくばかり。
こうした長い内乱により疲弊した民を憂い、王城内の腐敗を一層して国を建て直したのが、現国王とその弟である宰相であるのだとか。
「当時の国境には、隣国からの亡命者が毎日長蛇の列を作っていたとか」
「その通りだ。
そして当時のルドルファンの王城の内情は、現在の我が国に非常に似通っている」
室長の言葉に、パレットは息を飲んだ。
――王位争いをしているっていうの?
現在の国王には王子が一人だけと聞いている。
だがここでパレットは自分が実家を家出した件を思い出した。
――もしかして、王様の兄弟と?
さっと顔色を悪くしたパレットに、室長は頷いた。
「キミは王都から離れたアカレアにいたから疎いようだな。
しかし今の話は王都で情報通の者ならば知っていることだ。
そして現在王都から離れる商人が増えている」
利に敏い商人が動くということは、王都が悪いことになると思っているからだろう。
難しい顔で室長は続ける。
「我が国も、ルドルファンの悪しき歴史を辿ろうとしている。
しかし建て直された隣国のように、我が国も建て直るのだとどうして保証できる?」
パレットは王都の治安を守るべき最大戦力を思い出す。
まずあのお飾り騎士団では、民衆の反乱が起きたらあっという間に制圧されるだろう。
そして兵士が貴族たちを取り押さえることなどできるはずもない。
内乱になれば、やりたい放題になるのは必至だろう。
「この国は平和に慣れ過ぎた。
例えれば腐り落ちる寸前の果実のようなものだ。
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