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五章 ソルディング領
57話 領地の未来
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難しい話が終わったところで、お茶の時間となった。
キールヴィスの従者がお茶を配り、ミィもミルクを貰っている。
そんな中、オルディアが思い出したように荷物を探り出した。
「うっかり忘れるところだった」
そう言って、オルディアが数枚の紙束を差し出す。
「ほらキール、例のものだ」
「ああ、感謝する」
オルディアが出した紙束を、キールヴィスが大事そうに受け取った。
――なんだろう。
興味深々なパレットとジーンに、キールヴィスがひらりと紙束を見せた。
「これはな、ソーブの実を使った料理法が書かれたものだ」
この言葉に、パレットは目を丸くした。
「ソーブの実って、あのお団子ですか?」
ソーブの実は、パンが食べられない農民が口にするものだと聞いている。
――どうして王子様が料理法を知っているの?
このパレットの疑問を察したキールヴィスが、ニヤリとした笑みと共に答えた。
「ルドルファン王国の聖女様が、我が領で採れるソーブの実に興味を示されてな。
聖女様の故郷に似た食材があり、それは非常に美味なものだと仰られたのだ」
「あれが美味、ですか……」
ソーブ汁の味を思い出し、パレットは微妙な反応をした。
隣でジーンも変な顔をしている。
それはそうだろう、村人たちも腹にたまるのが利点の食べ物で、美味しいかは二の次という感じだったのだから。
しかしそのソーブの実が、キールヴィス曰くこの領地を救うのだと言う。
「ぜひにソーブの実の取り引きをしたいと、ルドルファン王国から私に直接問い合わせがあった」
取り引きと言われた当初、領地のことをまだ知らないキールヴィスには、なんのことだか分らなかったそうだ。
それから農村出身の兵士などに聞き込みをして、ソーブの実なるものを知ったのだとか。
「すべては、オルディアのおかげだな」
「食べ歩きは、旅の醍醐味だもんね!」
キールヴィスに感謝をされたオルディアの代わりに、アリサが胸を張る。
「えっと、お二人は仲がいいんですか?」
パレットの疑問に答えたところによると、なんでもキールヴィスとオルディアは年頃が近いこともあり、王城にいた頃から交流があったらしい。
キールヴィスが新たに領地を貰ったと聞いたオルディアが、去年に訪ねて来たのだそうだ。
その際の道中に、ソーブの実を見つけたのだとか。
「アヤは珍しい食材が好きだからな。
土産になるかと思い、農家にソーブの実を分けて貰い、持ち帰ったのだ。
するとアヤが故郷の『ソバ』という食べ物と同じだと言って、泣いて喜んでな。
これはパンを得られない者が食べる食事だと教えると、『もったいない!』と叫んでいた」
アヤというのが聖女様の名前らしい。
パレットには聞き慣れない、不思議な響きの名前である。
「へえ、土地が変わると、物の価値も変わるものなのですね」
あのソーブの実を泣いて喜んだと聞いて、ジーンが感心したように言う。
「アヤが言う料理法で、料理人が作ったのを食べたけど、美味しかったよ!」
アリサもソーブの料理に太鼓判を押した。
それで「もっと食べたい」と要求した聖女様の要望に応えるため、聖女様の夫であるルドルファン王国宰相の指令を受けたオルディアたち二人が、ソーブの実の交渉のためにソルディング領へやって来たのだとか。
「その際に、ぜひにソーブ料理の正しい価値も広めてほしいと、アヤが願ってな。
料理人に作り方を書いてもらったものが、この紙束というわけだ」
聖女様は故郷の味を、ぜひみんなに美味しいと思ってもらいたいのだそうだ。
――聖女様って、どんな方なのかしらね。
話を聞いていると、とても活動的な人のようだ。
パレットにとって王族の奥方というと、微笑んでお茶を飲んでいる絵しか浮かばない。
「この領に立ち寄ったのはソーブの実の件が本来の用事で、バーモントは偶然の話なのだ。
マトワールで残党を捕らえて来いとは言われたが、この領地には個人的な用事で寄ったまで。
まさかここに潜んでいたとは驚きだ」
なんと、オルディアが昨日の夜街にいたのは、本当に偶然だったようだ。
珍しい食材の料理法となると、貧しい領地を救うかもしれない情報となる。
それを紛失の恐れのある手紙で済ますことはできないと、オルディア自らが運んできたのだという。
――私は運が良かったのね。
もしオルディアがいなかったら、捕らえるのもこうもあっさりとはいかなかったであろうし、バーモントには逃げられていたに違いない。
ソーブの実の交渉のついでで領地を救ったのだから、これこそソーブの実のおかげということではなかろうか。
――ソーブの実が、すごい食べ物な気がしてきたわ。
パレットは目の前の紙束をまじまじと見つめた。
「ソーブの実はこれから広まっていくだろう。
それに先立ち、領内で大々的に生産をすることになる。
農家に尋ねたところ、ソーブの実を育てるには、荒れ地が適しているのだそうだ」
「へえ、それならソルディング領はうってつけですね」
無理に栽培に適していない作物を作るよりも、農家の苦労がぐっと減るだろう。
「うむ、これで農村に活気が出ればよい。
それにソーブの実の粉を扱うには相当な慣れがいるらしいので、料理人として農村の者を取り立てるつもりだ」
そうすれば雇用が増え、貴族に頼らずとも金を得ることができることに、領民はやがて理解することだろう。
「ここ数年で瞬く間に広まったコーミィの実の新たな食し方も、聖女様の発案だ。
ソーブの実もきっと流行する。
そうすれば、我が領の特産品となるに違いない」
領地の未来を語るキールヴィスの表情は、明るいものだった。
***
あらかたの話を終え、パレットとジーンは宿に戻って行った。
上司からの帰還命令が出ないうちは、しばらくこの街に留まるそうだ。
「あの二人、特に文官殿がいてくれたことは幸運だな」
満足そうに頷くキールヴィスに、オルディアはちらりと視線を投げやる。
「キール、私はお前が誰を好きになろうと、応援する心積もりではある。
だがあの女性は諦めろ、彼女は人妻だ」
オルディアの忠告に、キールヴィスは目を白黒させている。
「突然、なにを言うのだ」
言っている意味がわかっていないといった顔のキールヴィスに、オルディアはため息をつく。
オルディア自身、色恋には疎いという自覚がある。
そのオルディアにもわかるほどに、先ほどのキールヴィスは饒舌だった。
このキールヴィスという男、実は女性が苦手なのだ。
それがパレット相手に、あんなにも話をするとは、あからさまな変化である。
「騎士さん、最後にすっごい顔してたもんねぇ」
アリサがニヤニヤした顔で、先ほどの光景を思い出していた。
そう、別れ際に「紹介状をよろしく頼む」と念を押したキールヴィスが、パレットに握手を求めた。
その時のジーンは眼光鋭い表情を抑えようとして、余計に怖い顔をしていた。
「相手が王弟であるので、堪えたのであろう。
奥方に色目を使われて、気分の良い旦那はいないだろうな」
「色目など、そのようなことは……」
キールヴィスは口ごもる。
キールヴィスは幼い頃から、自らを疎んでいた先代王妃の取り巻きに囲まれて育った。
そんな彼にとって、女性と話が弾むという経験は初めてだったのだろう。
「よいではないか。
キールでも話ができる女性が、世の中にはいるということがわかったのだから」
「初恋って、実らないものなんだってよ!」
諭すオルディアに続いて、アリサがテーブルに載っているお菓子を一つまみして言った。
「はぁ……」
キールヴィスが漏らしたため息が、一体どういった意味合いのものなのか。
それは本人だけが知ることだ。
キールヴィスの従者がお茶を配り、ミィもミルクを貰っている。
そんな中、オルディアが思い出したように荷物を探り出した。
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そう言って、オルディアが数枚の紙束を差し出す。
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――なんだろう。
興味深々なパレットとジーンに、キールヴィスがひらりと紙束を見せた。
「これはな、ソーブの実を使った料理法が書かれたものだ」
この言葉に、パレットは目を丸くした。
「ソーブの実って、あのお団子ですか?」
ソーブの実は、パンが食べられない農民が口にするものだと聞いている。
――どうして王子様が料理法を知っているの?
このパレットの疑問を察したキールヴィスが、ニヤリとした笑みと共に答えた。
「ルドルファン王国の聖女様が、我が領で採れるソーブの実に興味を示されてな。
聖女様の故郷に似た食材があり、それは非常に美味なものだと仰られたのだ」
「あれが美味、ですか……」
ソーブ汁の味を思い出し、パレットは微妙な反応をした。
隣でジーンも変な顔をしている。
それはそうだろう、村人たちも腹にたまるのが利点の食べ物で、美味しいかは二の次という感じだったのだから。
しかしそのソーブの実が、キールヴィス曰くこの領地を救うのだと言う。
「ぜひにソーブの実の取り引きをしたいと、ルドルファン王国から私に直接問い合わせがあった」
取り引きと言われた当初、領地のことをまだ知らないキールヴィスには、なんのことだか分らなかったそうだ。
それから農村出身の兵士などに聞き込みをして、ソーブの実なるものを知ったのだとか。
「すべては、オルディアのおかげだな」
「食べ歩きは、旅の醍醐味だもんね!」
キールヴィスに感謝をされたオルディアの代わりに、アリサが胸を張る。
「えっと、お二人は仲がいいんですか?」
パレットの疑問に答えたところによると、なんでもキールヴィスとオルディアは年頃が近いこともあり、王城にいた頃から交流があったらしい。
キールヴィスが新たに領地を貰ったと聞いたオルディアが、去年に訪ねて来たのだそうだ。
その際の道中に、ソーブの実を見つけたのだとか。
「アヤは珍しい食材が好きだからな。
土産になるかと思い、農家にソーブの実を分けて貰い、持ち帰ったのだ。
するとアヤが故郷の『ソバ』という食べ物と同じだと言って、泣いて喜んでな。
これはパンを得られない者が食べる食事だと教えると、『もったいない!』と叫んでいた」
アヤというのが聖女様の名前らしい。
パレットには聞き慣れない、不思議な響きの名前である。
「へえ、土地が変わると、物の価値も変わるものなのですね」
あのソーブの実を泣いて喜んだと聞いて、ジーンが感心したように言う。
「アヤが言う料理法で、料理人が作ったのを食べたけど、美味しかったよ!」
アリサもソーブの料理に太鼓判を押した。
それで「もっと食べたい」と要求した聖女様の要望に応えるため、聖女様の夫であるルドルファン王国宰相の指令を受けたオルディアたち二人が、ソーブの実の交渉のためにソルディング領へやって来たのだとか。
「その際に、ぜひにソーブ料理の正しい価値も広めてほしいと、アヤが願ってな。
料理人に作り方を書いてもらったものが、この紙束というわけだ」
聖女様は故郷の味を、ぜひみんなに美味しいと思ってもらいたいのだそうだ。
――聖女様って、どんな方なのかしらね。
話を聞いていると、とても活動的な人のようだ。
パレットにとって王族の奥方というと、微笑んでお茶を飲んでいる絵しか浮かばない。
「この領に立ち寄ったのはソーブの実の件が本来の用事で、バーモントは偶然の話なのだ。
マトワールで残党を捕らえて来いとは言われたが、この領地には個人的な用事で寄ったまで。
まさかここに潜んでいたとは驚きだ」
なんと、オルディアが昨日の夜街にいたのは、本当に偶然だったようだ。
珍しい食材の料理法となると、貧しい領地を救うかもしれない情報となる。
それを紛失の恐れのある手紙で済ますことはできないと、オルディア自らが運んできたのだという。
――私は運が良かったのね。
もしオルディアがいなかったら、捕らえるのもこうもあっさりとはいかなかったであろうし、バーモントには逃げられていたに違いない。
ソーブの実の交渉のついでで領地を救ったのだから、これこそソーブの実のおかげということではなかろうか。
――ソーブの実が、すごい食べ物な気がしてきたわ。
パレットは目の前の紙束をまじまじと見つめた。
「ソーブの実はこれから広まっていくだろう。
それに先立ち、領内で大々的に生産をすることになる。
農家に尋ねたところ、ソーブの実を育てるには、荒れ地が適しているのだそうだ」
「へえ、それならソルディング領はうってつけですね」
無理に栽培に適していない作物を作るよりも、農家の苦労がぐっと減るだろう。
「うむ、これで農村に活気が出ればよい。
それにソーブの実の粉を扱うには相当な慣れがいるらしいので、料理人として農村の者を取り立てるつもりだ」
そうすれば雇用が増え、貴族に頼らずとも金を得ることができることに、領民はやがて理解することだろう。
「ここ数年で瞬く間に広まったコーミィの実の新たな食し方も、聖女様の発案だ。
ソーブの実もきっと流行する。
そうすれば、我が領の特産品となるに違いない」
領地の未来を語るキールヴィスの表情は、明るいものだった。
***
あらかたの話を終え、パレットとジーンは宿に戻って行った。
上司からの帰還命令が出ないうちは、しばらくこの街に留まるそうだ。
「あの二人、特に文官殿がいてくれたことは幸運だな」
満足そうに頷くキールヴィスに、オルディアはちらりと視線を投げやる。
「キール、私はお前が誰を好きになろうと、応援する心積もりではある。
だがあの女性は諦めろ、彼女は人妻だ」
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「突然、なにを言うのだ」
言っている意味がわかっていないといった顔のキールヴィスに、オルディアはため息をつく。
オルディア自身、色恋には疎いという自覚がある。
そのオルディアにもわかるほどに、先ほどのキールヴィスは饒舌だった。
このキールヴィスという男、実は女性が苦手なのだ。
それがパレット相手に、あんなにも話をするとは、あからさまな変化である。
「騎士さん、最後にすっごい顔してたもんねぇ」
アリサがニヤニヤした顔で、先ほどの光景を思い出していた。
そう、別れ際に「紹介状をよろしく頼む」と念を押したキールヴィスが、パレットに握手を求めた。
その時のジーンは眼光鋭い表情を抑えようとして、余計に怖い顔をしていた。
「相手が王弟であるので、堪えたのであろう。
奥方に色目を使われて、気分の良い旦那はいないだろうな」
「色目など、そのようなことは……」
キールヴィスは口ごもる。
キールヴィスは幼い頃から、自らを疎んでいた先代王妃の取り巻きに囲まれて育った。
そんな彼にとって、女性と話が弾むという経験は初めてだったのだろう。
「よいではないか。
キールでも話ができる女性が、世の中にはいるということがわかったのだから」
「初恋って、実らないものなんだってよ!」
諭すオルディアに続いて、アリサがテーブルに載っているお菓子を一つまみして言った。
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