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五章 ソルディング領
58話 犯罪者の処遇
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パレットとジーンはソルディアの街に留まり、王都と連絡を取り合っていた。
人手不足の中での大事件に、現在領主館は上へ下への大騒ぎだ。
だが慌ただしいのは、なにも領主館に限ったことではない。
ソルディアの街の貴族区では、バーモントが捕らえられたと聞いて、店をたたんで街を出る者が続出した。
バーモントの周囲で甘い汁を吸っていた連中が、罪の発覚を恐れて逃げ出したのだろう、とキールヴィスは言っていた。
彼らを追いかけることは特にしないらしい。
今は追いかける人材が惜しいそうだ。
逃げ出したのは、パレットたちが宿泊する宿も例外ではない。
領主館に出かけた次の日の朝、宿の主一家は姿を消していた。
従業員宛てに「宿を任せた」という意味合いの書置きがあったらしいが、従業員は混乱していた。
「まあ、そんな書置きは意味がないですね。
もしも主一家が罪を免れでもしたら、何食わぬ顔で戻ってきますよ。
『留守を任せただけだ』とか言って」
廊下から聞こえてくる騒ぎを耳にして、朝食を食べながらパレットはそう分析する。
叔父に似た性格をした人間のすることは、大方見当がつくのだ。
宿の従業員はみな、自分の身の上の心配が先立つ。
そのあおりを受け、ろくに接客がなされず放っておかれている客は怒り心頭だ。
それはそうだろう、客はみな高い宿泊料を払っているのだから。
宿泊料の払い戻しを求める声が、宿のあちらこちらから聞こえてくる。
ちなみに食堂も機能しておらず、パレットが食べている朝食は、ジーンが朝から屋台に買いに行ったものだ。
泊り客の苦情に対応しきれない従業員だったが、午後には兵士がやって来て、宿は領主館の指示に従うことになった。
そうすると、客は払い戻しをあっさりと諦め、そそくさと宿を引き払った。
この宿の客も、それなりに後ろ暗いことがあったのだろう。
兵士が乗り込んできた店は、この宿だけではない。
主が逃げて空になった建物を、領主命令で兵士が次々に接収していく。
そうしないと、貧民街の者が不法に入り込むからだ。
キールヴィスはこうして空き家だらけになった貴族区を、ソーブ料理の街として作り変えたいようだ。
この騒ぎの中領主の名で、教会学校の許可を出すとの発表がなされた。
キールヴィスの私財を街の教会へ寄付し、教会学校へ学びに訪れた者にパンを配るとも伝えられた。
今まで王都同様に、貴族の反対にあって許可が出せなかったのだそうだ。
読み書き計算ができれば、貧民街の住人の雇用の幅が増える。
いずれはソーブ料理店の接客などを任せる人材となって欲しいそうだ。
「すぐにでも欲しいのは、領主館の下働きだがな」
「本当に人がいませんね、ここは」
パレットも領主館を訪れるたびに、盗人に入られても気付かないのではと心配するくらいに人がいない。
領主自らお茶を淹れることもあり、人手不足は深刻だ。
以前はそれなりにいたそうだが、大勢の貴族が王都へ返されたのと同時に、辞めて行ったのだとか。
彼らも恐らく貴族から、人には言えないような金銭を受け取っていたのだろう。
「文官は商会からの斡旋を待つとしても、書類などを運ぶ仕事をしてくれる人が欲しいです」
キールヴィスの従者がそう零していた。
キールヴィスにずっと付いていなければならない身の彼が、細々とした仕事のために、キールヴィスの側にいられないのだ。
現在兵士の面接によって、領主館の下働きの人材を選んでもらっている所だ。
こうしてソルディング領が未来に向かって進もうとしている横で、王都では隣国から入り込んだ犯罪者の処遇について、激しい議論がなされていた。
バーモントがいつからソルディング領に潜んでいたのかは知らないが、キールヴィス以前に領地を治めていた代官との癒着が、聞き出した情報によって明らかになったからだ。
それにより、ソルディング領から王都に帰還している貴族たちが、大勢捕らえられた。
『これで、王城も少々風通しが良くなる』
パレットが魔法具で報告した際、室長が言っていた。
さらには、バーモントをルドルファン王国に引き渡すかどうかでも揉めていると聞いた。
犯罪者を国内で断罪するべきだ、と主張する派閥があるのだ。
しかし、バーモントが国内に大勢の顧客を抱えていたことも発覚していた。
それゆえ、国内に留めようとする一派とバーモントとの関係を、王城の上層部は疑ってるそうだ。
連中との接触を許して逃げられるのは避けたい。
なので上層部は、すぐにでもルドルファン王国に引き渡したい考えだ。
この引き渡し交渉を円滑に進めたのは、オルディアという王太子の存在だった。
「丁度この場に王都の文官がいるので、お互いのためにも、速やかに話を進めたい」
魔法具越しにマトワール王国の王城に意見を述べたオルディアは、事の流れを伝えたルドルファン王国から、謀反人の引き渡しを求めること、賠償をする用意があるとの答えを得ていた。
これらのルドルファン側のやり取りは全て、ソルディアの街の領主館にて、パレットとジーンの目の前で行われた。
「ここで騎士さんと文官さんに会えてよかったね!」
魔法でルドルファン王国の宰相と連絡を取り合ったアリサに、オルディアも頷く。
「そうだな、外交問題の話し合いのために、わざわざ王都まで出向かずに済む」
オルディアも、余計な手間が省けそうでご機嫌なようだ。
こうしたルドルファン側の申し出を飲もうと主張しているのが、外務の部署である。
「地方の役人に任せるわけにはいかないが、王城の文官が立ち会うのならばよい」
外交の部署に偉い人が、そう言っているそうだ。
室長曰く、外務も財務同様に、実質労働の面での人で不足が深刻な部署なのだそうだ。
わざわざ国境まで人を向かわせるよりも、その場にいるパレット越しになんとか交渉を終わらせたいのだろう。
――私、ただの会計事務なんだけど。
業務外の仕事をさせられている気がする。
今度こそ特別手当は貰えるだろうか。
ソルディアの街の大捕物から、一週間が過ぎた頃。
バーモントの引き渡しを国境のベラルダですると、王城から通達された。
国境の見張り所で、ルドルファン王国の者と会うことになる。
確かに引き渡したという見届け役として、ベラルダの領主が立ち会うそうだ。
バーモントを護送する責任者はジーンで、ルドルファン王国からやって来るはずの文官とやり取りを、パレットが行うことになった。
転移の魔法陣で人を動かす経費より、パレットを向かわせる方が安いということらしい。
こうした地味な経費削減に、王城上層部の苦労が伺える。
パレットたちはルドルファン王国との約束の期日に向けて、ベラルダの街を目指す。
バーモントを乗せた護送の馬車は、ソルディング領の兵士に周囲を固められている。
護送の馬車の御者台に、パレットはオルディアとアリサと共に座っており、ジーンは騎士の装いでフロストに乗っていた。
パレットたちが乗ってきた荷馬車は、別の馬を繋いで兵士が運んでくれている。
荷馬車の中身は王城に収めるものなので、ソルディアの街に放置するわけにはいかないのだ。
その荷馬車の屋根の上で、ミィがのんびりと寝そべっている。
往路とは違って復路では何事も起こらず、やって来た道を逆戻りしていく。
護送の途中に寄った村では、若者が帰って来るとの通知がすでに来ているようだ。
村人たちはみな、ホッとした顔をしていた。
こうして旅路を進み、予定通りにベラルダの街が見えて来た時。
「では、私たちはここまでだ」
突然、オルディアが告げた。
「はい?」
目を丸くするパレットの前で、オルディアとアリサはひらりと御者台から降りた。
――一緒に行かないの?
パレットは想定外のことに目を瞬かせる。
ルドルファン王国との交渉の席に、オルディアは当然いてくれるものだと思っていた。
戸惑うパレットに、オルディアが微笑んだ。
「私たちは他にも用事があるのだ」
「国の偉いさんと、顔を合わせたくないしね!」
オルディアの建前の後に、アリサが本音を言った。
どうやらまだ、国へ帰りたくないらしい。
――え、王太子殿下を連れて行かなくてもいいの?
オルディアたちが一緒でないことに不安を覚えたパレットに、オルディアは心配いらないと笑った。
「大丈夫、私がいなことくらい、国の者は想定しているはずだ」
そう言って爽やかな笑顔を浮かべるオルディアに、ジーンは不審気な視線を向けた。
「で、あなた方二人は、これからどうするんで?」
「東に行こうと思う。
せっかくマトワールに来たのだ、海を目指さなければ」
どう考えても、用事があるという言葉が嘘であると丸わかりの発言に、パレットは深く息を吐いた。
どうにもつかめない王子様だ。
オルディアとアリサは一行との挨拶もそこそこに、大街道を歩き出す。
「国の者に、よろしく伝えておいてくれ」
「まったね~!」
そうして、二人は大街道を東に進んで行った。
人手不足の中での大事件に、現在領主館は上へ下への大騒ぎだ。
だが慌ただしいのは、なにも領主館に限ったことではない。
ソルディアの街の貴族区では、バーモントが捕らえられたと聞いて、店をたたんで街を出る者が続出した。
バーモントの周囲で甘い汁を吸っていた連中が、罪の発覚を恐れて逃げ出したのだろう、とキールヴィスは言っていた。
彼らを追いかけることは特にしないらしい。
今は追いかける人材が惜しいそうだ。
逃げ出したのは、パレットたちが宿泊する宿も例外ではない。
領主館に出かけた次の日の朝、宿の主一家は姿を消していた。
従業員宛てに「宿を任せた」という意味合いの書置きがあったらしいが、従業員は混乱していた。
「まあ、そんな書置きは意味がないですね。
もしも主一家が罪を免れでもしたら、何食わぬ顔で戻ってきますよ。
『留守を任せただけだ』とか言って」
廊下から聞こえてくる騒ぎを耳にして、朝食を食べながらパレットはそう分析する。
叔父に似た性格をした人間のすることは、大方見当がつくのだ。
宿の従業員はみな、自分の身の上の心配が先立つ。
そのあおりを受け、ろくに接客がなされず放っておかれている客は怒り心頭だ。
それはそうだろう、客はみな高い宿泊料を払っているのだから。
宿泊料の払い戻しを求める声が、宿のあちらこちらから聞こえてくる。
ちなみに食堂も機能しておらず、パレットが食べている朝食は、ジーンが朝から屋台に買いに行ったものだ。
泊り客の苦情に対応しきれない従業員だったが、午後には兵士がやって来て、宿は領主館の指示に従うことになった。
そうすると、客は払い戻しをあっさりと諦め、そそくさと宿を引き払った。
この宿の客も、それなりに後ろ暗いことがあったのだろう。
兵士が乗り込んできた店は、この宿だけではない。
主が逃げて空になった建物を、領主命令で兵士が次々に接収していく。
そうしないと、貧民街の者が不法に入り込むからだ。
キールヴィスはこうして空き家だらけになった貴族区を、ソーブ料理の街として作り変えたいようだ。
この騒ぎの中領主の名で、教会学校の許可を出すとの発表がなされた。
キールヴィスの私財を街の教会へ寄付し、教会学校へ学びに訪れた者にパンを配るとも伝えられた。
今まで王都同様に、貴族の反対にあって許可が出せなかったのだそうだ。
読み書き計算ができれば、貧民街の住人の雇用の幅が増える。
いずれはソーブ料理店の接客などを任せる人材となって欲しいそうだ。
「すぐにでも欲しいのは、領主館の下働きだがな」
「本当に人がいませんね、ここは」
パレットも領主館を訪れるたびに、盗人に入られても気付かないのではと心配するくらいに人がいない。
領主自らお茶を淹れることもあり、人手不足は深刻だ。
以前はそれなりにいたそうだが、大勢の貴族が王都へ返されたのと同時に、辞めて行ったのだとか。
彼らも恐らく貴族から、人には言えないような金銭を受け取っていたのだろう。
「文官は商会からの斡旋を待つとしても、書類などを運ぶ仕事をしてくれる人が欲しいです」
キールヴィスの従者がそう零していた。
キールヴィスにずっと付いていなければならない身の彼が、細々とした仕事のために、キールヴィスの側にいられないのだ。
現在兵士の面接によって、領主館の下働きの人材を選んでもらっている所だ。
こうしてソルディング領が未来に向かって進もうとしている横で、王都では隣国から入り込んだ犯罪者の処遇について、激しい議論がなされていた。
バーモントがいつからソルディング領に潜んでいたのかは知らないが、キールヴィス以前に領地を治めていた代官との癒着が、聞き出した情報によって明らかになったからだ。
それにより、ソルディング領から王都に帰還している貴族たちが、大勢捕らえられた。
『これで、王城も少々風通しが良くなる』
パレットが魔法具で報告した際、室長が言っていた。
さらには、バーモントをルドルファン王国に引き渡すかどうかでも揉めていると聞いた。
犯罪者を国内で断罪するべきだ、と主張する派閥があるのだ。
しかし、バーモントが国内に大勢の顧客を抱えていたことも発覚していた。
それゆえ、国内に留めようとする一派とバーモントとの関係を、王城の上層部は疑ってるそうだ。
連中との接触を許して逃げられるのは避けたい。
なので上層部は、すぐにでもルドルファン王国に引き渡したい考えだ。
この引き渡し交渉を円滑に進めたのは、オルディアという王太子の存在だった。
「丁度この場に王都の文官がいるので、お互いのためにも、速やかに話を進めたい」
魔法具越しにマトワール王国の王城に意見を述べたオルディアは、事の流れを伝えたルドルファン王国から、謀反人の引き渡しを求めること、賠償をする用意があるとの答えを得ていた。
これらのルドルファン側のやり取りは全て、ソルディアの街の領主館にて、パレットとジーンの目の前で行われた。
「ここで騎士さんと文官さんに会えてよかったね!」
魔法でルドルファン王国の宰相と連絡を取り合ったアリサに、オルディアも頷く。
「そうだな、外交問題の話し合いのために、わざわざ王都まで出向かずに済む」
オルディアも、余計な手間が省けそうでご機嫌なようだ。
こうしたルドルファン側の申し出を飲もうと主張しているのが、外務の部署である。
「地方の役人に任せるわけにはいかないが、王城の文官が立ち会うのならばよい」
外交の部署に偉い人が、そう言っているそうだ。
室長曰く、外務も財務同様に、実質労働の面での人で不足が深刻な部署なのだそうだ。
わざわざ国境まで人を向かわせるよりも、その場にいるパレット越しになんとか交渉を終わらせたいのだろう。
――私、ただの会計事務なんだけど。
業務外の仕事をさせられている気がする。
今度こそ特別手当は貰えるだろうか。
ソルディアの街の大捕物から、一週間が過ぎた頃。
バーモントの引き渡しを国境のベラルダですると、王城から通達された。
国境の見張り所で、ルドルファン王国の者と会うことになる。
確かに引き渡したという見届け役として、ベラルダの領主が立ち会うそうだ。
バーモントを護送する責任者はジーンで、ルドルファン王国からやって来るはずの文官とやり取りを、パレットが行うことになった。
転移の魔法陣で人を動かす経費より、パレットを向かわせる方が安いということらしい。
こうした地味な経費削減に、王城上層部の苦労が伺える。
パレットたちはルドルファン王国との約束の期日に向けて、ベラルダの街を目指す。
バーモントを乗せた護送の馬車は、ソルディング領の兵士に周囲を固められている。
護送の馬車の御者台に、パレットはオルディアとアリサと共に座っており、ジーンは騎士の装いでフロストに乗っていた。
パレットたちが乗ってきた荷馬車は、別の馬を繋いで兵士が運んでくれている。
荷馬車の中身は王城に収めるものなので、ソルディアの街に放置するわけにはいかないのだ。
その荷馬車の屋根の上で、ミィがのんびりと寝そべっている。
往路とは違って復路では何事も起こらず、やって来た道を逆戻りしていく。
護送の途中に寄った村では、若者が帰って来るとの通知がすでに来ているようだ。
村人たちはみな、ホッとした顔をしていた。
こうして旅路を進み、予定通りにベラルダの街が見えて来た時。
「では、私たちはここまでだ」
突然、オルディアが告げた。
「はい?」
目を丸くするパレットの前で、オルディアとアリサはひらりと御者台から降りた。
――一緒に行かないの?
パレットは想定外のことに目を瞬かせる。
ルドルファン王国との交渉の席に、オルディアは当然いてくれるものだと思っていた。
戸惑うパレットに、オルディアが微笑んだ。
「私たちは他にも用事があるのだ」
「国の偉いさんと、顔を合わせたくないしね!」
オルディアの建前の後に、アリサが本音を言った。
どうやらまだ、国へ帰りたくないらしい。
――え、王太子殿下を連れて行かなくてもいいの?
オルディアたちが一緒でないことに不安を覚えたパレットに、オルディアは心配いらないと笑った。
「大丈夫、私がいなことくらい、国の者は想定しているはずだ」
そう言って爽やかな笑顔を浮かべるオルディアに、ジーンは不審気な視線を向けた。
「で、あなた方二人は、これからどうするんで?」
「東に行こうと思う。
せっかくマトワールに来たのだ、海を目指さなければ」
どう考えても、用事があるという言葉が嘘であると丸わかりの発言に、パレットは深く息を吐いた。
どうにもつかめない王子様だ。
オルディアとアリサは一行との挨拶もそこそこに、大街道を歩き出す。
「国の者に、よろしく伝えておいてくれ」
「まったね~!」
そうして、二人は大街道を東に進んで行った。
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