63 / 86
六章 王子様の誕生パーティー
63話 王子様来訪
しおりを挟む
ジェームスはパレットとの話が終わると、すぐに帰って行った。
ソルディング領への旅支度ができ次第出発らしいので、身辺整理で忙しいのだそうだ。
二日後の朝一番の乗り合い馬車に乗って出発するのだそうだ。
――私が家出した時も、同じだったわね。
パレットは玄関からジェームスの後姿を見送りながら、昔を懐かしんだ。
しかし、そうのんびりとはしていられなかった。
肝心の客である、王子様を待たせているのだ。
その王子様はどうしているのかと、パレットは庭に回って眺める。
すると、王子様はミィと木登り競争をしていた。
案外上手に登っていく姿に、パレットは関心する。
「……子供は元気ね」
ミィもまだまだ子供であり、案外王子様と気が合うのかもしれない。
パレットがぼんやりと眺めていると、ラリーボルトが王子様に近寄る。
「リィン様、休憩にしましょう」
王子様はラリーボルトに声をかけられ、するすると木から降りた。
それを見ていたパレットは、ジーンに建物の中から窓越しに声をかけられた。
「パレット、俺の部屋に来い」
「……わかった」
他の子供たちは休憩のために食堂に集まる中、パレットが言われた通りにジーンの部屋に行くと、モーリンが室内でお茶の準備をしていた。
パレットが席に着いてしばらくして、王子様がラリーボルトに連れられてやって来た。
「おお、ここが屋敷の主の部屋か」
王子様が好奇心のままに、視線をきょろきょろとさせている。
席に着いた王子様の足元に、モーリンがミィのためのミルクを用意した。
王子様がミィを気に入っている様子を見たからだろう。
ミィは大人しく王子様の足元でミルクを舐める。
隣にミィを従えた王子様は、大変ご機嫌だ。
「ジーン、その、こちらの方がいらっしゃると知ってたの?」
パレットはモーリンを気にして、言葉を選んで小声で尋ねる。
「いや、初耳だ」
ジーンはそれに小声で答えるも、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
そんな二人の様子を目にした王子様が、クッキーに手を伸ばしながら語った。
「そなたと一緒にミィが出かけてしまって、私はすっかり退屈したのだ。
するとラリーが、最近貴族の子供が集まる秘密の場所があると、教えてくれた」
クッキーを食べながら話す王子様の服装は、確かに庶民仕様となっていた。
正体を知らなければ、高位の貴族の子なのかと思うだろう。
事実、屋敷の住人はそう考えたようだ。
今だってこの部屋で給仕しているモーリンは、目の前にいる少年の正体を知らないせいだとはいえ、特に緊張した様子を見せない。
この屋敷の住人は、パレットたちが留守にしていた数か月間で、すっかり貴族という存在に慣れたことで、高位貴族相手にも普通に動けるようになったらしい。
それに加えて、子供たちの従者を見て学習したのか、モーリンの仕草が洗練されている様子もうかがえた。
一方で、緊張しているのは他の子供に付いてきた従者だ。
彼らはさすがに王子様の正体に気付いていた。
口にすることはなくとも、なにかあっては大変だと、常に周囲に気配りをしているというのは、後にラリーボルトから聞いた話だ。
「リィン様も遊び相手ができて、とても楽しそうで。
ご両親も大変喜んでおられます」
ラリーボルトも笑顔で告げた。
どうやら王様公認でここへ遊びに来ているらしい。
「父上も羨ましがっていたが、ここは子供の遊び場だから駄目だと言っておいたぞ!」
胸を張る王子様に、パレットは気が遠くなる思いだ。
王様が訪問するなど、パレットたちの心臓に悪いのでぜひやめて欲しい。
「街の外に出るわけではない上に、城の近くですしね。
お忍びとしては安全な方だと判断されました」
「安全、ね……」
ラリーボルトの言葉に、ジーンが微妙な顔をする。
ここで言う安全とは、身体的なことはもちろん、派閥的な害がないということだろう。
王子様はここではリィンと名乗っているのだとか。
そんな彼が今夢中になっていることが、木登りだという。
確かにお城で木登りをしていては、どこからか大人がすっ飛んでくるに違いない。
「ここは、子供たちだけの秘密の楽園といったところでしょうか。
子供たちはここであったことを、屋敷に帰っても決して親に話しませんからね。
もちろんリィン様も、ここで誰に会ったかなどは話されません」
子供たちの秘密保持はできているというわけか。
だからこそ、これだけ貴族の子供が出入りしているにも関わらず、ジーンとパレットは派閥争いの影響を、未だ受けずにいられるのだろう。
この屋敷が微妙な立ち位置に置かれていることに、パレットが思いため息をつきそうになる中、王子様が思い出したように声を上げた。
「そうだ、私はもうじき七歳になるのだ。
父上が大々的に祝ってくれるそうなので、そなたたちも当然祝いに来てくれることと、期待しているぞ!」
この周辺の国では、子供の七歳の誕生日は盛大に祝う風習がある。
そのため、王子様の七歳の誕生日を祝うための、国を挙げての祝宴を開く予定であると、パレットは知っていた。
――祝うにしても、その日は仕事な可能性が高いわね。
大勢の貴族が一堂に集うのだ。
王城勤めの文官が暇であるはずがない。
「その際には心より、お祝いさせていただきます」
パレットとしてはとりあえずそう答えたのだが、後日予定は大幅に狂うこととなる。
この日の夕食後の風呂上がり、パレットはジーンに部屋に誘われ、酒を飲んでいた。
ミィはジーンの足元で生ハムを貰い、ご機嫌そうに寝そべっている。
この生ハムは、ジーンが帰って来たことを知ったラリーボルドが、酒のつまみにと置いて行ったものだ。
さすが貴族の子息は、酒のつまみもいいものを食べている。
二人で酒を酌み交わす中、ジーンがパレットに言った。
「あの坊ちゃん、ソルディアに行くんだってな」
突然話題を振られたパレットは、一瞬グラスを持つ手を止めた。
この坊ちゃんというのは、ジェームスのことだろう。
「そうらしいですね」
パレットは感心がないふりをして、この話題を流そうとする。
「なかなか、生真面目そうな坊ちゃんだったじゃないか」
しかし、ジーンが話を続けてくる。
パレットが恨めし気な視線を向けてもあちらは堪えた様子はない。
「そうね、真面目に育ってたわ」
流すのに適当な言葉を探っていると、ジーンと目が合った。
からかっているのではない、真っすぐな視線だった。
「恨み言を言い足りなかったか?」
率直に聞いてくるジーンに、パレットも流すのを諦める。
「……わかりません。
でも、ジェームスに文句を言うのも、違う気がしたんです」
パレットは今の心情を、正直に吐露する。
叔父は絶対に許せない男だ。
ソルディアの街でもパレットを危険な目に陥れた相手なのだから。
しかしその息子であるジェームスから、直接的な被害を受けたわけではない。
子供だったジェームスは、突然手に入った幸せを意味も分からず楽しんだ。
ただそれだけだ。
それが憎らしいのもあるが、パレットのこの感情は、単なる妬みだ。
自分が苦しんでいる時に、幸せそうな誰かを見ると憎くなる。
これは相手がジェームスだから、持つ感情ではない。
他の通りすがりの誰かでも、パレットは同じように憎らしくなっただろう。
パレットは己の心の中にある暗い気持ちを振り払おうにも、上手くいかない。
――私こそ、嫌な奴だわ。
こうして、パレットは自己嫌悪に沈んでいく。
「あんたも大概、真面目だな」
真剣に思い悩むパレットに、目の前に座るジーンが、くつくつと喉の奥で笑った。
「人が悩んでいるのを笑うなんて、悪趣味です」
「すまん、ついな」
パレットがムッとして批難すると、ジーンはすぐに謝った。
「けどな、殺してやりたいと常日頃言っている奴に、実際に刃物を持たせて仇の前に立たせると、途端になにもできなくなる。
それが人間って奴だと思うぜ?」
心の中の矛盾を端的に言い当てられたパレットは、目を丸くした。
「……そんなものかもしれませんね」
「いい人ぶるな」とか「憎しみを捨てろ」と言わないジーンに、パレットは心が軽くなる思いだった。
ジェームスを憎みきれない自分が、過去の自分への裏切りである気がしていたのだ。
けれどジーンは、それが当たり前だと言う。
――そうか、ずっと恨んでなくてもいいんだ。
ジェームスを許すのか、許せないのか。
そんなことを決めなくてもいい。
次に会った時に恨み言を言うのか、笑顔で挨拶をするのか、それはその時に決めることだ。
「ふふっ、私って馬鹿みたい」
パレットは口元に笑みを浮かべ、ぐいっと酒を煽った。
その様子をジーンが優しい笑顔で見ていたのだが、パレットは気付かなかった。
ソルディング領への旅支度ができ次第出発らしいので、身辺整理で忙しいのだそうだ。
二日後の朝一番の乗り合い馬車に乗って出発するのだそうだ。
――私が家出した時も、同じだったわね。
パレットは玄関からジェームスの後姿を見送りながら、昔を懐かしんだ。
しかし、そうのんびりとはしていられなかった。
肝心の客である、王子様を待たせているのだ。
その王子様はどうしているのかと、パレットは庭に回って眺める。
すると、王子様はミィと木登り競争をしていた。
案外上手に登っていく姿に、パレットは関心する。
「……子供は元気ね」
ミィもまだまだ子供であり、案外王子様と気が合うのかもしれない。
パレットがぼんやりと眺めていると、ラリーボルトが王子様に近寄る。
「リィン様、休憩にしましょう」
王子様はラリーボルトに声をかけられ、するすると木から降りた。
それを見ていたパレットは、ジーンに建物の中から窓越しに声をかけられた。
「パレット、俺の部屋に来い」
「……わかった」
他の子供たちは休憩のために食堂に集まる中、パレットが言われた通りにジーンの部屋に行くと、モーリンが室内でお茶の準備をしていた。
パレットが席に着いてしばらくして、王子様がラリーボルトに連れられてやって来た。
「おお、ここが屋敷の主の部屋か」
王子様が好奇心のままに、視線をきょろきょろとさせている。
席に着いた王子様の足元に、モーリンがミィのためのミルクを用意した。
王子様がミィを気に入っている様子を見たからだろう。
ミィは大人しく王子様の足元でミルクを舐める。
隣にミィを従えた王子様は、大変ご機嫌だ。
「ジーン、その、こちらの方がいらっしゃると知ってたの?」
パレットはモーリンを気にして、言葉を選んで小声で尋ねる。
「いや、初耳だ」
ジーンはそれに小声で答えるも、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
そんな二人の様子を目にした王子様が、クッキーに手を伸ばしながら語った。
「そなたと一緒にミィが出かけてしまって、私はすっかり退屈したのだ。
するとラリーが、最近貴族の子供が集まる秘密の場所があると、教えてくれた」
クッキーを食べながら話す王子様の服装は、確かに庶民仕様となっていた。
正体を知らなければ、高位の貴族の子なのかと思うだろう。
事実、屋敷の住人はそう考えたようだ。
今だってこの部屋で給仕しているモーリンは、目の前にいる少年の正体を知らないせいだとはいえ、特に緊張した様子を見せない。
この屋敷の住人は、パレットたちが留守にしていた数か月間で、すっかり貴族という存在に慣れたことで、高位貴族相手にも普通に動けるようになったらしい。
それに加えて、子供たちの従者を見て学習したのか、モーリンの仕草が洗練されている様子もうかがえた。
一方で、緊張しているのは他の子供に付いてきた従者だ。
彼らはさすがに王子様の正体に気付いていた。
口にすることはなくとも、なにかあっては大変だと、常に周囲に気配りをしているというのは、後にラリーボルトから聞いた話だ。
「リィン様も遊び相手ができて、とても楽しそうで。
ご両親も大変喜んでおられます」
ラリーボルトも笑顔で告げた。
どうやら王様公認でここへ遊びに来ているらしい。
「父上も羨ましがっていたが、ここは子供の遊び場だから駄目だと言っておいたぞ!」
胸を張る王子様に、パレットは気が遠くなる思いだ。
王様が訪問するなど、パレットたちの心臓に悪いのでぜひやめて欲しい。
「街の外に出るわけではない上に、城の近くですしね。
お忍びとしては安全な方だと判断されました」
「安全、ね……」
ラリーボルトの言葉に、ジーンが微妙な顔をする。
ここで言う安全とは、身体的なことはもちろん、派閥的な害がないということだろう。
王子様はここではリィンと名乗っているのだとか。
そんな彼が今夢中になっていることが、木登りだという。
確かにお城で木登りをしていては、どこからか大人がすっ飛んでくるに違いない。
「ここは、子供たちだけの秘密の楽園といったところでしょうか。
子供たちはここであったことを、屋敷に帰っても決して親に話しませんからね。
もちろんリィン様も、ここで誰に会ったかなどは話されません」
子供たちの秘密保持はできているというわけか。
だからこそ、これだけ貴族の子供が出入りしているにも関わらず、ジーンとパレットは派閥争いの影響を、未だ受けずにいられるのだろう。
この屋敷が微妙な立ち位置に置かれていることに、パレットが思いため息をつきそうになる中、王子様が思い出したように声を上げた。
「そうだ、私はもうじき七歳になるのだ。
父上が大々的に祝ってくれるそうなので、そなたたちも当然祝いに来てくれることと、期待しているぞ!」
この周辺の国では、子供の七歳の誕生日は盛大に祝う風習がある。
そのため、王子様の七歳の誕生日を祝うための、国を挙げての祝宴を開く予定であると、パレットは知っていた。
――祝うにしても、その日は仕事な可能性が高いわね。
大勢の貴族が一堂に集うのだ。
王城勤めの文官が暇であるはずがない。
「その際には心より、お祝いさせていただきます」
パレットとしてはとりあえずそう答えたのだが、後日予定は大幅に狂うこととなる。
この日の夕食後の風呂上がり、パレットはジーンに部屋に誘われ、酒を飲んでいた。
ミィはジーンの足元で生ハムを貰い、ご機嫌そうに寝そべっている。
この生ハムは、ジーンが帰って来たことを知ったラリーボルドが、酒のつまみにと置いて行ったものだ。
さすが貴族の子息は、酒のつまみもいいものを食べている。
二人で酒を酌み交わす中、ジーンがパレットに言った。
「あの坊ちゃん、ソルディアに行くんだってな」
突然話題を振られたパレットは、一瞬グラスを持つ手を止めた。
この坊ちゃんというのは、ジェームスのことだろう。
「そうらしいですね」
パレットは感心がないふりをして、この話題を流そうとする。
「なかなか、生真面目そうな坊ちゃんだったじゃないか」
しかし、ジーンが話を続けてくる。
パレットが恨めし気な視線を向けてもあちらは堪えた様子はない。
「そうね、真面目に育ってたわ」
流すのに適当な言葉を探っていると、ジーンと目が合った。
からかっているのではない、真っすぐな視線だった。
「恨み言を言い足りなかったか?」
率直に聞いてくるジーンに、パレットも流すのを諦める。
「……わかりません。
でも、ジェームスに文句を言うのも、違う気がしたんです」
パレットは今の心情を、正直に吐露する。
叔父は絶対に許せない男だ。
ソルディアの街でもパレットを危険な目に陥れた相手なのだから。
しかしその息子であるジェームスから、直接的な被害を受けたわけではない。
子供だったジェームスは、突然手に入った幸せを意味も分からず楽しんだ。
ただそれだけだ。
それが憎らしいのもあるが、パレットのこの感情は、単なる妬みだ。
自分が苦しんでいる時に、幸せそうな誰かを見ると憎くなる。
これは相手がジェームスだから、持つ感情ではない。
他の通りすがりの誰かでも、パレットは同じように憎らしくなっただろう。
パレットは己の心の中にある暗い気持ちを振り払おうにも、上手くいかない。
――私こそ、嫌な奴だわ。
こうして、パレットは自己嫌悪に沈んでいく。
「あんたも大概、真面目だな」
真剣に思い悩むパレットに、目の前に座るジーンが、くつくつと喉の奥で笑った。
「人が悩んでいるのを笑うなんて、悪趣味です」
「すまん、ついな」
パレットがムッとして批難すると、ジーンはすぐに謝った。
「けどな、殺してやりたいと常日頃言っている奴に、実際に刃物を持たせて仇の前に立たせると、途端になにもできなくなる。
それが人間って奴だと思うぜ?」
心の中の矛盾を端的に言い当てられたパレットは、目を丸くした。
「……そんなものかもしれませんね」
「いい人ぶるな」とか「憎しみを捨てろ」と言わないジーンに、パレットは心が軽くなる思いだった。
ジェームスを憎みきれない自分が、過去の自分への裏切りである気がしていたのだ。
けれどジーンは、それが当たり前だと言う。
――そうか、ずっと恨んでなくてもいいんだ。
ジェームスを許すのか、許せないのか。
そんなことを決めなくてもいい。
次に会った時に恨み言を言うのか、笑顔で挨拶をするのか、それはその時に決めることだ。
「ふふっ、私って馬鹿みたい」
パレットは口元に笑みを浮かべ、ぐいっと酒を煽った。
その様子をジーンが優しい笑顔で見ていたのだが、パレットは気付かなかった。
0
あなたにおすすめの小説
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さくら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
氷の公爵は、捨てられた私を離さない
空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。
すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。
彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。
アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。
「君の力が、私には必要だ」
冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。
彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。
レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。
一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。
「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。
これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる