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第一話 予定が狂った夏休み
26 お昼ごはん
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展望台を満喫したら、時間は丁度お昼時である。
「お昼ご飯、どうするのさ?」
由紀が駐車場に戻りながら尋ねると、先を歩く近藤が振り返った。
「バーガーの美味い店がある」
なんでも由紀たちが登って来たのと反対側に降りた場所にある、ハンバーガーショップに行くらしい。
「安いし美味いから、俺らはいつもそこに行くんだよ」
「なーる」
どうやら近藤のバイク仲間との定番らしい。この辺りには地元のブランド肉があったはずだから、きっといい肉を使っているに違いない。
というわけで展望台を出発して由紀たちは、山を下って土産物を売っている店やレストランが並ぶエリアにやって来た。その中でも山小屋のような建物の駐車場に、バイクを入れる。ここが目的のハンバーガーショップらしい。
「へぇー、なんか可愛い建物じゃん」
「行くぞ」
山小屋を見上げる由紀を、近藤が呼ぶ。
店の中に入ると客は男性が多く、連れの女性がちらほらいる程度だ。
――男飯! ってカンジなのかな?
由紀は男性客が多い理由をそんな風に考えながら、ハンバーガーを食べている客のテーブルを覗いて見る。
「……ねえ、むっちゃデカいんすけど」
由紀は近藤の袖を引く。男飯どころではなかった。なにせ由紀の顔ほどもあるサイズだったのだから。
由紀の視線を辿って、近藤は「ああ」と頷いた。
「あれは特大のやつだ、普通のだってちゃんとある。ただし、あまり頼む奴はいない」
ここに来る客が頼むのは基本ビッグサイズで、たまに連れの女性がノーマルサイズを、稀にチャレンジャーが特大サイズを頼むらしい。言われて女性客のいるテーブルを覗くと、確かにハンバーガーのサイズは小さいけれど、それだって十分なボリュームがある。
ハンバーガーの大きさに慄いているいる由紀をよそに、近藤はさっさとカウンターに行って注文する。
「ビッグサイズとノーマルサイズ」
この店では注文してから作るらしく、二人は予約の番号札を貰って適当な席に着く。
ちなみにここでの会計はちゃんと別々に払ったが、いわゆる観光地価格かと思いきや、安さにびっくりした。これは近藤たちが通うわけだ。
「お待たせいたしました」
やがて女性店員が現れて、持っていたトレイをテーブルに置く。メニューは基本的にハンバーガーとポテト、ドリンクのセットだ。改めて目の前に置かれると、実に存在感があるハンバーガーだ。
近藤のビッグサイズは、さっき目にした特大よりも小さいものの、それでもデカい。それに比べるとノーマルサイズが小さく見えるが、絶対にチェーン店のものよりも一回りデカいはずだ。
――これ、口に入るの?
顔の構造的問題がありはしないだろうか? 口を開けて大きさを確かめる由紀に、近藤が告げた。
「全部食えなかったら、俺が処理してやる」
「その時はお願いするわ」
アイスクリームの時は間接キッス疑惑に悩まされた由紀だが、ここは素直に近藤の親切に甘えたい。これを全部食べきれるか疑問だし、無理をしたら帰りのバイクの上でひどいことになるだろう。近藤もそれを気にしているのかもしれない。
この時、由紀はふと思いついた。
「ねえ、写真撮っていい?」
あまり食べ物を写真に撮ることはしない由紀だが、これは誰かに教えたくなる。ぜひ田んぼ仲間に写メしたい。
「……好きにしろ」
そう言って近藤が食べるのを待ってくれるので、ノーマルサイズと並んで収まるアングルで一枚撮る。
「どーもです!」
「気が済んだか」
由紀が座り直すと、近藤が自分のトレイを引き寄せる。
その時、二人の顔の距離が近くなった。
――あれ、近藤の目って、少し青い?
近い距離で見なければわからない程に微かだが、青みがかっている。これは密かな新発見だ。けれど誰かに言って自慢したい内容でもないので、この発見は由紀の心の中に留めて置く。
写真をメールで送るのは食べてからやることにして、まずは味だ。由紀は口を大きく開けるために、先に顎を動かして馴らす。
「いただきます!」
そしてできるだけパンと肉と野菜が一度に口に入るように、精一杯頬張る。口の周りがソースでベタベタになっているだろうが、これは綺麗な食べ方は諦めるべきだろう。由紀は齧り付いてから、モグモグと咀嚼する。
――めっちゃうんまい!
お肉はジューシーで、挟んである野菜も甘みがあって美味しい。チェーン店のハンバーガーとは、比べるのもおこがましい。ポテトも上げたてサクサクで、添えてあるディップソースが手作りなのか絶品である。
「私の中のハンバーガーを超えた……」
「言っただろう、美味いって」
感激する由紀に、近藤がニヤリと笑う。ハンバーガーはボリュームがあるわりにくどくない。新鮮な野菜といいお肉のおかげだろうか。おかげで由紀はハンバーガーを完食することができた。
第二の間接キッスを避けられてなによりである。
「お昼ご飯、どうするのさ?」
由紀が駐車場に戻りながら尋ねると、先を歩く近藤が振り返った。
「バーガーの美味い店がある」
なんでも由紀たちが登って来たのと反対側に降りた場所にある、ハンバーガーショップに行くらしい。
「安いし美味いから、俺らはいつもそこに行くんだよ」
「なーる」
どうやら近藤のバイク仲間との定番らしい。この辺りには地元のブランド肉があったはずだから、きっといい肉を使っているに違いない。
というわけで展望台を出発して由紀たちは、山を下って土産物を売っている店やレストランが並ぶエリアにやって来た。その中でも山小屋のような建物の駐車場に、バイクを入れる。ここが目的のハンバーガーショップらしい。
「へぇー、なんか可愛い建物じゃん」
「行くぞ」
山小屋を見上げる由紀を、近藤が呼ぶ。
店の中に入ると客は男性が多く、連れの女性がちらほらいる程度だ。
――男飯! ってカンジなのかな?
由紀は男性客が多い理由をそんな風に考えながら、ハンバーガーを食べている客のテーブルを覗いて見る。
「……ねえ、むっちゃデカいんすけど」
由紀は近藤の袖を引く。男飯どころではなかった。なにせ由紀の顔ほどもあるサイズだったのだから。
由紀の視線を辿って、近藤は「ああ」と頷いた。
「あれは特大のやつだ、普通のだってちゃんとある。ただし、あまり頼む奴はいない」
ここに来る客が頼むのは基本ビッグサイズで、たまに連れの女性がノーマルサイズを、稀にチャレンジャーが特大サイズを頼むらしい。言われて女性客のいるテーブルを覗くと、確かにハンバーガーのサイズは小さいけれど、それだって十分なボリュームがある。
ハンバーガーの大きさに慄いているいる由紀をよそに、近藤はさっさとカウンターに行って注文する。
「ビッグサイズとノーマルサイズ」
この店では注文してから作るらしく、二人は予約の番号札を貰って適当な席に着く。
ちなみにここでの会計はちゃんと別々に払ったが、いわゆる観光地価格かと思いきや、安さにびっくりした。これは近藤たちが通うわけだ。
「お待たせいたしました」
やがて女性店員が現れて、持っていたトレイをテーブルに置く。メニューは基本的にハンバーガーとポテト、ドリンクのセットだ。改めて目の前に置かれると、実に存在感があるハンバーガーだ。
近藤のビッグサイズは、さっき目にした特大よりも小さいものの、それでもデカい。それに比べるとノーマルサイズが小さく見えるが、絶対にチェーン店のものよりも一回りデカいはずだ。
――これ、口に入るの?
顔の構造的問題がありはしないだろうか? 口を開けて大きさを確かめる由紀に、近藤が告げた。
「全部食えなかったら、俺が処理してやる」
「その時はお願いするわ」
アイスクリームの時は間接キッス疑惑に悩まされた由紀だが、ここは素直に近藤の親切に甘えたい。これを全部食べきれるか疑問だし、無理をしたら帰りのバイクの上でひどいことになるだろう。近藤もそれを気にしているのかもしれない。
この時、由紀はふと思いついた。
「ねえ、写真撮っていい?」
あまり食べ物を写真に撮ることはしない由紀だが、これは誰かに教えたくなる。ぜひ田んぼ仲間に写メしたい。
「……好きにしろ」
そう言って近藤が食べるのを待ってくれるので、ノーマルサイズと並んで収まるアングルで一枚撮る。
「どーもです!」
「気が済んだか」
由紀が座り直すと、近藤が自分のトレイを引き寄せる。
その時、二人の顔の距離が近くなった。
――あれ、近藤の目って、少し青い?
近い距離で見なければわからない程に微かだが、青みがかっている。これは密かな新発見だ。けれど誰かに言って自慢したい内容でもないので、この発見は由紀の心の中に留めて置く。
写真をメールで送るのは食べてからやることにして、まずは味だ。由紀は口を大きく開けるために、先に顎を動かして馴らす。
「いただきます!」
そしてできるだけパンと肉と野菜が一度に口に入るように、精一杯頬張る。口の周りがソースでベタベタになっているだろうが、これは綺麗な食べ方は諦めるべきだろう。由紀は齧り付いてから、モグモグと咀嚼する。
――めっちゃうんまい!
お肉はジューシーで、挟んである野菜も甘みがあって美味しい。チェーン店のハンバーガーとは、比べるのもおこがましい。ポテトも上げたてサクサクで、添えてあるディップソースが手作りなのか絶品である。
「私の中のハンバーガーを超えた……」
「言っただろう、美味いって」
感激する由紀に、近藤がニヤリと笑う。ハンバーガーはボリュームがあるわりにくどくない。新鮮な野菜といいお肉のおかげだろうか。おかげで由紀はハンバーガーを完食することができた。
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