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第三話
17 タイマン勝負パート2
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何故だか、鴻上先輩と対戦することになった私。
えぇ~? まだ帰れないの? もう疲れたんですけどぉ?
猛烈にイヤ面をする私に対して、鴻上先輩はニヤニヤ顔だ。
これが、もしどっかのバトル漫画の主人公だったなら、「オラ、ワクワクすっぞ!」とか言っちゃうんだろうけどね。
生憎と私は、バトル漫画の主人公はやっていないんで。
ただの田舎育ちの女子(ただし、現在男子に偽装中)なだけで。
やる気なんて皆無な私な一方で、ギャラリーは盛り上がっていて。
「どっちが勝つと思う?」という話題で持ち切りで、なんと賭けまで始まっている。
あ、賭けられているのは厳禁とかじゃなくって、ご飯とかテスト対策ノートとかみたいだけど。
金銭ではないから、風紀委員も取り締まったりはしていないっぽい。
そして賭けは今のところ、鴻上先輩が優勢みたいだ。
「さすがに鴻上はどうにもならないだろう」
「木村とは格が違うしな」
というのが概ねの意見らしい。
うーん、木村君の扱いがなんとも言えないな……。
最初は私だって、木村君には唐突にケンカを売られて頭にきていたけどね?
なんだか木村君っていうか、ココの生徒たちが可哀想になってきたりするのよ。
だって、木村君は私とタイマン勝負になって、受け身もとれなかったんだよ?
ああした力は、友だちとの遊びやケンカの中で培われるもの。
木村君はそういうケンカとかのヤンチャ行為をろくにしてこなかったからなんじゃないだろうか?
怪我をすれば痛いんだってことは、知識としてだけしか知らない。
だからカマイタチみたいな当たれば血が噴き出すようなものを、平然と使える。
相手が血が流すことをなんとも思っていないって聞いたけど、血が流れれば痛いということも分かっていないんじゃないの?
でないと、あんなにバンバン打てないって。
それが分かっていてできるなら、冷酷な殺人鬼の素質があるよ。
能力っていうのは、なんか漫画や小説の中のことみたいで、私的には夢があるけど。
それと肉体で行う行為をないがしろにするっていうのは、別なのにね。
拳で語り合えば通じ合う、なんて暑苦しいことはさすがに思わないけど。
痛みを身をもって知っていないと、後々自分が痛い目を見るんだよ。
木村君はせっかく痛い目にあったんだから、これでちょっとは考えてくれるといいけど。
私がそんなことをしんみりと思っていると、会長が鴻上先輩に注意していた。
「鴻上、分かっているだろうけど、やり過ぎは駄目だからね?」
「ハン、人を加減も知らねぇガキンチョみたいに言うなや」
会長の忠告に、手をヒラヒラさせている鴻上先輩だけど、調子軽いなぁ。
不良と生徒会長って、相性最悪で対立構図になるのが、学園モノの漫画なんかでのお約束だと思うんだけど。
ここでもそうなのかな?
っていうか、鴻上先輩って不良ってカテゴリの人で合ってる?
不良って、ケンカに明け暮れて酒とタバコをキメているイメージなんだけど。
実はココでは、生徒は酒とタバコを購入できない。
家族からも仕送りも中を赤外線でチェックされるから、持ち込みも難しい。
あれ? だったら鴻上先輩って、タダの喧嘩好きなヤンチャさんなの?
私は自分の鴻上先輩へのイメージについて考えいていると。
「では、二人とも構えて」
いつの間にか準備が整ったようで、会長がそう言ってくる。
いかんいかん、相手はさっきまでのお馬鹿さんとは違うんだから、雑念を払わねば。
私と鴻上先輩は、距離をとって互いに向き合う。
「はじめ!」
そして放たれた会長の合図よりも前に、私は急いで後ろに跳ばねばならない衝動に駆られた。
ドォーン!
合図と同時くらいに、私がさっきまで立っていた場所に、小さな火の玉が高速で飛んできて、後ろの壁に当たる。
って、危なっ!?
「ちょっ、焦げる!? 燃えるよ!?」
私が走りながら苦情を申し立てると、鴻上先輩はニヤニヤ顔で言ってくる。
「焦げねぇし、燃えねぇよ。
ここはそのための場所だからなぁ?」
「そうじゃなくって、私が焦げるし燃える!」
「ちゃんと熱くないようにしてあるし、それに燃える前に消火されるんじゃねぇの?」
いやいや、安心できる材料が見当たらないから!
消火が間に合わなかった場合は!?
こんな会話をしている間にも、鴻上先輩は小さな火の玉を間髪入れずに乱れ打ちしてくる。
うわぁ、燃える!? 焦げる!?
私は必死で避けた。
っていうか、もう火の玉をいちいち見ていられなくって、身体が「こっち!」って感じるままに動いているだけだ。
「おいおい」
「なんで当たらないんだ?」
会場内がザワザワしているけど、そんなの聞いている余裕なんてない!
そして鴻上先輩に近寄る隙が無い!
えぇ~? まだ帰れないの? もう疲れたんですけどぉ?
猛烈にイヤ面をする私に対して、鴻上先輩はニヤニヤ顔だ。
これが、もしどっかのバトル漫画の主人公だったなら、「オラ、ワクワクすっぞ!」とか言っちゃうんだろうけどね。
生憎と私は、バトル漫画の主人公はやっていないんで。
ただの田舎育ちの女子(ただし、現在男子に偽装中)なだけで。
やる気なんて皆無な私な一方で、ギャラリーは盛り上がっていて。
「どっちが勝つと思う?」という話題で持ち切りで、なんと賭けまで始まっている。
あ、賭けられているのは厳禁とかじゃなくって、ご飯とかテスト対策ノートとかみたいだけど。
金銭ではないから、風紀委員も取り締まったりはしていないっぽい。
そして賭けは今のところ、鴻上先輩が優勢みたいだ。
「さすがに鴻上はどうにもならないだろう」
「木村とは格が違うしな」
というのが概ねの意見らしい。
うーん、木村君の扱いがなんとも言えないな……。
最初は私だって、木村君には唐突にケンカを売られて頭にきていたけどね?
なんだか木村君っていうか、ココの生徒たちが可哀想になってきたりするのよ。
だって、木村君は私とタイマン勝負になって、受け身もとれなかったんだよ?
ああした力は、友だちとの遊びやケンカの中で培われるもの。
木村君はそういうケンカとかのヤンチャ行為をろくにしてこなかったからなんじゃないだろうか?
怪我をすれば痛いんだってことは、知識としてだけしか知らない。
だからカマイタチみたいな当たれば血が噴き出すようなものを、平然と使える。
相手が血が流すことをなんとも思っていないって聞いたけど、血が流れれば痛いということも分かっていないんじゃないの?
でないと、あんなにバンバン打てないって。
それが分かっていてできるなら、冷酷な殺人鬼の素質があるよ。
能力っていうのは、なんか漫画や小説の中のことみたいで、私的には夢があるけど。
それと肉体で行う行為をないがしろにするっていうのは、別なのにね。
拳で語り合えば通じ合う、なんて暑苦しいことはさすがに思わないけど。
痛みを身をもって知っていないと、後々自分が痛い目を見るんだよ。
木村君はせっかく痛い目にあったんだから、これでちょっとは考えてくれるといいけど。
私がそんなことをしんみりと思っていると、会長が鴻上先輩に注意していた。
「鴻上、分かっているだろうけど、やり過ぎは駄目だからね?」
「ハン、人を加減も知らねぇガキンチョみたいに言うなや」
会長の忠告に、手をヒラヒラさせている鴻上先輩だけど、調子軽いなぁ。
不良と生徒会長って、相性最悪で対立構図になるのが、学園モノの漫画なんかでのお約束だと思うんだけど。
ここでもそうなのかな?
っていうか、鴻上先輩って不良ってカテゴリの人で合ってる?
不良って、ケンカに明け暮れて酒とタバコをキメているイメージなんだけど。
実はココでは、生徒は酒とタバコを購入できない。
家族からも仕送りも中を赤外線でチェックされるから、持ち込みも難しい。
あれ? だったら鴻上先輩って、タダの喧嘩好きなヤンチャさんなの?
私は自分の鴻上先輩へのイメージについて考えいていると。
「では、二人とも構えて」
いつの間にか準備が整ったようで、会長がそう言ってくる。
いかんいかん、相手はさっきまでのお馬鹿さんとは違うんだから、雑念を払わねば。
私と鴻上先輩は、距離をとって互いに向き合う。
「はじめ!」
そして放たれた会長の合図よりも前に、私は急いで後ろに跳ばねばならない衝動に駆られた。
ドォーン!
合図と同時くらいに、私がさっきまで立っていた場所に、小さな火の玉が高速で飛んできて、後ろの壁に当たる。
って、危なっ!?
「ちょっ、焦げる!? 燃えるよ!?」
私が走りながら苦情を申し立てると、鴻上先輩はニヤニヤ顔で言ってくる。
「焦げねぇし、燃えねぇよ。
ここはそのための場所だからなぁ?」
「そうじゃなくって、私が焦げるし燃える!」
「ちゃんと熱くないようにしてあるし、それに燃える前に消火されるんじゃねぇの?」
いやいや、安心できる材料が見当たらないから!
消火が間に合わなかった場合は!?
こんな会話をしている間にも、鴻上先輩は小さな火の玉を間髪入れずに乱れ打ちしてくる。
うわぁ、燃える!? 焦げる!?
私は必死で避けた。
っていうか、もう火の玉をいちいち見ていられなくって、身体が「こっち!」って感じるままに動いているだけだ。
「おいおい」
「なんで当たらないんだ?」
会場内がザワザワしているけど、そんなの聞いている余裕なんてない!
そして鴻上先輩に近寄る隙が無い!
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