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オヤジはさらに神様を倒します
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「ふざけるな! どんな力を使おうがノルド殿の生み出したゴーレムが一撃で木っ端微塵にされるなどありえない! 貴様、邪神の力を借りているな!?」
フェラウェイが非難する。
邪神、ね。確かにジョブからステータスまで反則的なものばかりであるからそう思われても仕方が無いがあからさまに悪意を見せるのはいただけない。第一これは話し合いで解決すべきなのに戦闘になってるのがそもそも間違いなのだ。誰一人傷ついていない上で実力を比べあったのだから。それに負けたからってわたしを文句を付けるな。
「次は俺だ! 俺と戦え! 先ほどの勝負の結果が間違いだったと証明してやる!」
ボルグラットが荒ぶった表情と声で近づいてくる。まだ戦う気かよ。
ノ ートリアスの方に顔を向けると「受けちゃいなさいよ」の顔をしている、こっちとしてはこの力の使い方が練習できるのでいいのだけど、神様としてはそれでいいのか? 疑問になる。
「いくぞ!」
試合の合図もこちらの意思も無視して戦闘が始まる。ボルグラットが何か言葉をつぶやいている、魔法の詠唱だろうか。
「《岩石槍》!」
いくつもの大きな岩の槍が生み出されこちらに飛んでくる。先ほどとは違い接近戦ではなく遠距離線で戦うようだ。
岩槍は少し間隔を空けて飛んでくる、その数は37本。現実世界なら中学生男子ほどもある物体をそんなに一人に対してそれだけの数を撃ちまくれば間違いなく死ぬだろう。
だけど高速で迫ってくる岩槍はわたしから見ると『非常に遅かった』のである。あくびを3回ぐらいできるぐらいに遅くて遅く遅くてつまらなかった。
「《加速》」
魔法を使い速度を上昇させる。正直持っている矛で野球のごとく弾き返せばさぞ面白かろうと思ったが相手が回避できないかもしれないので止めた。
迫りくる物体と物体のほんのわずかな隙間、常人では見つけられないわずかな隙間を見つけ回避する。上下左右に動きつつ相手の眼前まで一息に駆け抜ける。
「なっ」
相手は正気を半分ほど失っていた。必殺の一撃が防がれるのではなくかわされた上に自分の目の前まで迫ってきた動揺に染まっていた。
ここで倒してもよかったがあえてこちらから間合いを大きく離し遠距離まで離れる。男は動揺しながらも次々と岩槍を作り出して飛ばしてくるが残念ながら速度が緩い。これなら回避もたやすかった。
それを3回ほど繰り返すと男は正面からではなくわたしを包囲するように岩槍を操作する。なるほどこれならば押しつぶせるな。
40を超える岩槍による全方位からの攻撃だとさすがに逃げ場は無い。なので《浄炎》のアーツで防ぐことにした。
「《護炎陣》」
岩槍が次々と降り注ぐが炎の壁に防がれてドロドロに解けてしまう。すべての岩槍が溶けてなくなる。
「ふざけるな! 何だそれは!」
「もうどうでもいいでしょ、倒れて」
ここまで実力に差があるのにまったくそれを受け入れようとしないことに腹が立つ、サクッと終わらせようと間合いを詰めようとして、
「うん?」
足が動かない。視線を下に向けると何か蔦のようなのが足だけでなく体にも絡みつき始めていた。
ボルグラットのそばに残りの3人がいた。
「邪神の力を持つものに対して天誅を!」
おいおい、いくら不利だからって援護に入るのか。作り出される岩槍と体に絡み付いてくる蔦で動きが制限されてしまう。
どうしようかと少し悩むと「ご主人様、わたしをお使いください」と、頭の中に聞こえてきた。太刀もあったね。
【蒼嶽】を地面に刺して腰に挿してある【緋鳳】の柄を握ると。
(これは、なんという力。【蒼嶽】とは真逆の力だな【緋鳳】は)
流れ込んでくる感触が明らかに違う。それはとてつもなく大きな天を飛ぶ鳳凰の姿だった。あらゆるものを消し去る荒ぶる災厄の力。何者をも無に消し去る凶鳥。【蒼嶽】は灼熱の炎の中に住む嶽竜だと言うのならば【緋鳳】は天を舞う緋色の鳳にして凶なる鳥にして荒ぶる鬼の魂を秘めた災厄。そしてその力を振るうのをためらいが無い。
なんとい恐ろしい力を秘めた太刀の姿が頭の中に流れ込んできてゾクリとするが【緋鳳】は「ご主人様、恐れるのは当然。ですが私はただ破壊の力だけではありません。弱きものを救う力もございます、それを忘れないでください」こちらの恐れていたことを瞬時に指摘してきた。
そうだよね、武具でも不必要に殺生は望んではいない。それを決めるのは主なのだから。だからこそ振るわせてもらう。
「【緋鳳】目の前の敵を黙らせるよ。もちろん無傷で、それができるか?」
問いかけると【緋鳳】は笑顔で答えた。
(それくらいお安い御用なのですよ。【天鳳滅刀】のアーツをつかってください)
太刀に意識を集中しアーツを確認する。
(これは・・・前世での刀の太刀筋だな。いろいろな流派の型が入っているな。上段、中段、下段、脇構え、片手、居合いなど非常に多いな。効果も防御を無視できたり回避不能の技などあるし・・・ここは《緋空円刃閃》を試してみよう》
太刀を抜き放ち脇構えの構えを取る。そうしている間に巨大な岩が自分の周りにいくつもできていて体を覆う蔦も長くなっていた。
圧倒的に不利なのになぜか微笑を浮かべていたわたし、どうやら高揚しているようだ。これほどの力を振るえる愉悦かそれとも快感か、それはわからなかった。
「死ね!」
相手からの最終宣告。それとともに巨岩がちっぽけな存在を押しつぶさんといくつも迫ってくるが慌てるどころか心はまるで氷のよう冷たく冷めていた。神様という相手の横暴に対して激怒するどころか愚かさにもはや何も考えることなど無かった。あったのは―――
(ただ敵を切り捨てるのみ)
そしてアーツを放つ。
「《緋空円刃閃》!」
横薙ぎの一太刀。それは岩どころか世界を断つかのごとく剣自体から生み出される緋色の剣閃のよってすべてを消滅させた。
岩も蔦もこの結界すらも何もかもを。
わたしは太刀を振り切った姿のまま質問する。
「これ以上戦うのか?」
先ほどの4人と成り行きを見ていた全員が無言で首を縦に振る。恐怖に怯え信じられないものを見るその顔と姿に少しばかり「どうしようか?」とも思うがやってしまったものは仕方が無い。後始末が面倒なことを考えながら太刀を鞘に収める。
(すごいですご主人様! あなたのようなお方の傍らにあることを至上の喜びでございます)
(われらの主さまなのだから当然だ。お前はもっと主様に対しての礼儀というものをだな・・・)
【蒼嶽】と【緋鳳】がまた言い争いを始める。他の人には聞こえてないのだろうがなかがいいのか悪いのかちょっとわかりずらい。矛と太刀をアイテムボックスにしまう。
せっかく整えたこの世界の建物などがいくつか消し飛んだからあとで作り直さないといけないなと考えているとノートリアスとメリアが近づいてきた。
二人はひざまづいて頭を下げてから。
「「あなた様のお力存分に見せてもらいました、あなた様こそ『救世主』でございます」」
おいおい、メリアだけでなくノートリアスまで態度を改めるとは考えてなかった。それだけすごかったってことか。面倒な要素が増えちゃったよ。
いまだ放心状態の人たちは放っておいて消し去ったものを元どうりにするためにスキルを使う。
「《世界再構築》」
これを見てさらに頭を下げまくられることになった。
戦闘に参加したものと参加しなかったもの全員を集めて食事をしながら話し合いをすることにした。おいしいものを食べながらの方が話は進みやすいし。
肉料理などは神の規則によって大丈夫かどうかメリアにたずねると「基本的に雑食なので何でも食べられますがネズミとかは勘弁してください」とのこと。
調理場と食堂を兼ね備えている神殿につれてきて《美食爺》で料理を作る。《豊穣の異世界》から材料をたくさん引き出す。まずはドカンと巨大な肉を大鍋で煮る、その間に魚を捌き香辛料などを詰めてから皿に乗せソースをかけて蒸し器に入れる。野菜を細かく切ってサラダにして皿にもってドレッシングをかける。海草などを洗い鍋に放り込んで細かく切った野菜とぶつ切りにした魚を入れて煮込む、味付けは味噌と醤油とお酒。それが終わるころに肉がよい具合に火が通ったので鍋から出して薄くスライスして鉄板で焼いてから大皿に並べる、鍋の煮込んだダシスープを調味料を加えてソースにして肉に絡める。最後に蒸し器に入れた魚を出してすべて完成した。もちろんお酒は最上のを出す。
「ほら、料理ができたから食べようよ?」
「・・・・・・」
こちらをいまだ不信感いっぱいで見る人たちと目の前の料理に興味たっぷりに見る2組に分かれる。
だがそれもほんの少しのこと、芳しい食欲をそそる香りに負けてあっという間に料理をむさぼり始める。
ガツガツガツ、ムシャムシャムシャ、モグモグモグ
最初は無言だったが少したつと豪快な笑い声が木霊する。
「がっはっはっ! これはなんと言う美味よ! 普段のわれらの食事とは比べ物にならぬ!」
「まったくですな! 食わずとも飢えないわれらですが食事とはこれほど幸せなものかと思うと地上世界の者たちがうらやましい限りです!」
先ほどまで戦っていた五人も豪快な声で食らい酒を飲んでいる。どうやらこれで誤解は解けたように感じる。
「のう、リーヴリル殿よ。これでは足りぬ。もっと食わせてほしいのう」
全員が求める。
「わかりました」
そこからはもう大宴会もかくやというものだった。肉、魚、野菜などで前世でのいろいろな料理と酒を出してひたすらに食い飲み散らかしたのだった。
時間にして4時間だろうか、あとには食い尽くされた大量の皿と酒樽がいくつも転がっていた。どこの世界でも美食には制限が無いのは同じなのだな。
後にいたのは腹を膨らました男女だけだった。
ふぃ~。食った食った、と満足そうに腹をなでている。メリアやノートリアスのような女神までだらしなくしている。他の神と離れてメリアとノートリアスだけになると。
「で、どうなのですか?」
「んん~、なにが~?」
だらけた姿ととけきった顔で。
「いや、だからわたしが救世主だと言う話はまだ終わってないんだけど」
「いまはそんなことどうでもいいじゃない~、あ~しあわせ~」
おい、そう宣言した者がそれでいいのか? こっちにもいろいろ聞きたいことがあるんだけど。
「いや、メリアが未来予知をして予言したからリーヴリルがいるここにきたんでしょ?」
ノートリアスが聞く。
メリアは目的を思い出したようで顔を引き締め佇まいを治して、少し悩むようにしてから。
「未来予知はしたけど半信半疑だったのが本音。確信は実際見てからで半分でもう半分は他の神族の者からの情報なのよね」
「「えっ」」
意味がわからなかった。
「だ~か~ら~、リーヴリルをこの世界によんだのは他神族ってことなのよ~」
話がまたこんがらがってきた、どうしようか。
フェラウェイが非難する。
邪神、ね。確かにジョブからステータスまで反則的なものばかりであるからそう思われても仕方が無いがあからさまに悪意を見せるのはいただけない。第一これは話し合いで解決すべきなのに戦闘になってるのがそもそも間違いなのだ。誰一人傷ついていない上で実力を比べあったのだから。それに負けたからってわたしを文句を付けるな。
「次は俺だ! 俺と戦え! 先ほどの勝負の結果が間違いだったと証明してやる!」
ボルグラットが荒ぶった表情と声で近づいてくる。まだ戦う気かよ。
ノ ートリアスの方に顔を向けると「受けちゃいなさいよ」の顔をしている、こっちとしてはこの力の使い方が練習できるのでいいのだけど、神様としてはそれでいいのか? 疑問になる。
「いくぞ!」
試合の合図もこちらの意思も無視して戦闘が始まる。ボルグラットが何か言葉をつぶやいている、魔法の詠唱だろうか。
「《岩石槍》!」
いくつもの大きな岩の槍が生み出されこちらに飛んでくる。先ほどとは違い接近戦ではなく遠距離線で戦うようだ。
岩槍は少し間隔を空けて飛んでくる、その数は37本。現実世界なら中学生男子ほどもある物体をそんなに一人に対してそれだけの数を撃ちまくれば間違いなく死ぬだろう。
だけど高速で迫ってくる岩槍はわたしから見ると『非常に遅かった』のである。あくびを3回ぐらいできるぐらいに遅くて遅く遅くてつまらなかった。
「《加速》」
魔法を使い速度を上昇させる。正直持っている矛で野球のごとく弾き返せばさぞ面白かろうと思ったが相手が回避できないかもしれないので止めた。
迫りくる物体と物体のほんのわずかな隙間、常人では見つけられないわずかな隙間を見つけ回避する。上下左右に動きつつ相手の眼前まで一息に駆け抜ける。
「なっ」
相手は正気を半分ほど失っていた。必殺の一撃が防がれるのではなくかわされた上に自分の目の前まで迫ってきた動揺に染まっていた。
ここで倒してもよかったがあえてこちらから間合いを大きく離し遠距離まで離れる。男は動揺しながらも次々と岩槍を作り出して飛ばしてくるが残念ながら速度が緩い。これなら回避もたやすかった。
それを3回ほど繰り返すと男は正面からではなくわたしを包囲するように岩槍を操作する。なるほどこれならば押しつぶせるな。
40を超える岩槍による全方位からの攻撃だとさすがに逃げ場は無い。なので《浄炎》のアーツで防ぐことにした。
「《護炎陣》」
岩槍が次々と降り注ぐが炎の壁に防がれてドロドロに解けてしまう。すべての岩槍が溶けてなくなる。
「ふざけるな! 何だそれは!」
「もうどうでもいいでしょ、倒れて」
ここまで実力に差があるのにまったくそれを受け入れようとしないことに腹が立つ、サクッと終わらせようと間合いを詰めようとして、
「うん?」
足が動かない。視線を下に向けると何か蔦のようなのが足だけでなく体にも絡みつき始めていた。
ボルグラットのそばに残りの3人がいた。
「邪神の力を持つものに対して天誅を!」
おいおい、いくら不利だからって援護に入るのか。作り出される岩槍と体に絡み付いてくる蔦で動きが制限されてしまう。
どうしようかと少し悩むと「ご主人様、わたしをお使いください」と、頭の中に聞こえてきた。太刀もあったね。
【蒼嶽】を地面に刺して腰に挿してある【緋鳳】の柄を握ると。
(これは、なんという力。【蒼嶽】とは真逆の力だな【緋鳳】は)
流れ込んでくる感触が明らかに違う。それはとてつもなく大きな天を飛ぶ鳳凰の姿だった。あらゆるものを消し去る荒ぶる災厄の力。何者をも無に消し去る凶鳥。【蒼嶽】は灼熱の炎の中に住む嶽竜だと言うのならば【緋鳳】は天を舞う緋色の鳳にして凶なる鳥にして荒ぶる鬼の魂を秘めた災厄。そしてその力を振るうのをためらいが無い。
なんとい恐ろしい力を秘めた太刀の姿が頭の中に流れ込んできてゾクリとするが【緋鳳】は「ご主人様、恐れるのは当然。ですが私はただ破壊の力だけではありません。弱きものを救う力もございます、それを忘れないでください」こちらの恐れていたことを瞬時に指摘してきた。
そうだよね、武具でも不必要に殺生は望んではいない。それを決めるのは主なのだから。だからこそ振るわせてもらう。
「【緋鳳】目の前の敵を黙らせるよ。もちろん無傷で、それができるか?」
問いかけると【緋鳳】は笑顔で答えた。
(それくらいお安い御用なのですよ。【天鳳滅刀】のアーツをつかってください)
太刀に意識を集中しアーツを確認する。
(これは・・・前世での刀の太刀筋だな。いろいろな流派の型が入っているな。上段、中段、下段、脇構え、片手、居合いなど非常に多いな。効果も防御を無視できたり回避不能の技などあるし・・・ここは《緋空円刃閃》を試してみよう》
太刀を抜き放ち脇構えの構えを取る。そうしている間に巨大な岩が自分の周りにいくつもできていて体を覆う蔦も長くなっていた。
圧倒的に不利なのになぜか微笑を浮かべていたわたし、どうやら高揚しているようだ。これほどの力を振るえる愉悦かそれとも快感か、それはわからなかった。
「死ね!」
相手からの最終宣告。それとともに巨岩がちっぽけな存在を押しつぶさんといくつも迫ってくるが慌てるどころか心はまるで氷のよう冷たく冷めていた。神様という相手の横暴に対して激怒するどころか愚かさにもはや何も考えることなど無かった。あったのは―――
(ただ敵を切り捨てるのみ)
そしてアーツを放つ。
「《緋空円刃閃》!」
横薙ぎの一太刀。それは岩どころか世界を断つかのごとく剣自体から生み出される緋色の剣閃のよってすべてを消滅させた。
岩も蔦もこの結界すらも何もかもを。
わたしは太刀を振り切った姿のまま質問する。
「これ以上戦うのか?」
先ほどの4人と成り行きを見ていた全員が無言で首を縦に振る。恐怖に怯え信じられないものを見るその顔と姿に少しばかり「どうしようか?」とも思うがやってしまったものは仕方が無い。後始末が面倒なことを考えながら太刀を鞘に収める。
(すごいですご主人様! あなたのようなお方の傍らにあることを至上の喜びでございます)
(われらの主さまなのだから当然だ。お前はもっと主様に対しての礼儀というものをだな・・・)
【蒼嶽】と【緋鳳】がまた言い争いを始める。他の人には聞こえてないのだろうがなかがいいのか悪いのかちょっとわかりずらい。矛と太刀をアイテムボックスにしまう。
せっかく整えたこの世界の建物などがいくつか消し飛んだからあとで作り直さないといけないなと考えているとノートリアスとメリアが近づいてきた。
二人はひざまづいて頭を下げてから。
「「あなた様のお力存分に見せてもらいました、あなた様こそ『救世主』でございます」」
おいおい、メリアだけでなくノートリアスまで態度を改めるとは考えてなかった。それだけすごかったってことか。面倒な要素が増えちゃったよ。
いまだ放心状態の人たちは放っておいて消し去ったものを元どうりにするためにスキルを使う。
「《世界再構築》」
これを見てさらに頭を下げまくられることになった。
戦闘に参加したものと参加しなかったもの全員を集めて食事をしながら話し合いをすることにした。おいしいものを食べながらの方が話は進みやすいし。
肉料理などは神の規則によって大丈夫かどうかメリアにたずねると「基本的に雑食なので何でも食べられますがネズミとかは勘弁してください」とのこと。
調理場と食堂を兼ね備えている神殿につれてきて《美食爺》で料理を作る。《豊穣の異世界》から材料をたくさん引き出す。まずはドカンと巨大な肉を大鍋で煮る、その間に魚を捌き香辛料などを詰めてから皿に乗せソースをかけて蒸し器に入れる。野菜を細かく切ってサラダにして皿にもってドレッシングをかける。海草などを洗い鍋に放り込んで細かく切った野菜とぶつ切りにした魚を入れて煮込む、味付けは味噌と醤油とお酒。それが終わるころに肉がよい具合に火が通ったので鍋から出して薄くスライスして鉄板で焼いてから大皿に並べる、鍋の煮込んだダシスープを調味料を加えてソースにして肉に絡める。最後に蒸し器に入れた魚を出してすべて完成した。もちろんお酒は最上のを出す。
「ほら、料理ができたから食べようよ?」
「・・・・・・」
こちらをいまだ不信感いっぱいで見る人たちと目の前の料理に興味たっぷりに見る2組に分かれる。
だがそれもほんの少しのこと、芳しい食欲をそそる香りに負けてあっという間に料理をむさぼり始める。
ガツガツガツ、ムシャムシャムシャ、モグモグモグ
最初は無言だったが少したつと豪快な笑い声が木霊する。
「がっはっはっ! これはなんと言う美味よ! 普段のわれらの食事とは比べ物にならぬ!」
「まったくですな! 食わずとも飢えないわれらですが食事とはこれほど幸せなものかと思うと地上世界の者たちがうらやましい限りです!」
先ほどまで戦っていた五人も豪快な声で食らい酒を飲んでいる。どうやらこれで誤解は解けたように感じる。
「のう、リーヴリル殿よ。これでは足りぬ。もっと食わせてほしいのう」
全員が求める。
「わかりました」
そこからはもう大宴会もかくやというものだった。肉、魚、野菜などで前世でのいろいろな料理と酒を出してひたすらに食い飲み散らかしたのだった。
時間にして4時間だろうか、あとには食い尽くされた大量の皿と酒樽がいくつも転がっていた。どこの世界でも美食には制限が無いのは同じなのだな。
後にいたのは腹を膨らました男女だけだった。
ふぃ~。食った食った、と満足そうに腹をなでている。メリアやノートリアスのような女神までだらしなくしている。他の神と離れてメリアとノートリアスだけになると。
「で、どうなのですか?」
「んん~、なにが~?」
だらけた姿ととけきった顔で。
「いや、だからわたしが救世主だと言う話はまだ終わってないんだけど」
「いまはそんなことどうでもいいじゃない~、あ~しあわせ~」
おい、そう宣言した者がそれでいいのか? こっちにもいろいろ聞きたいことがあるんだけど。
「いや、メリアが未来予知をして予言したからリーヴリルがいるここにきたんでしょ?」
ノートリアスが聞く。
メリアは目的を思い出したようで顔を引き締め佇まいを治して、少し悩むようにしてから。
「未来予知はしたけど半信半疑だったのが本音。確信は実際見てからで半分でもう半分は他の神族の者からの情報なのよね」
「「えっ」」
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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