オヤジが生まれ変わって?系救世主

無謀突撃娘

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エクリプス開拓団3

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「あ・・・は、ここ・・・は」

 一人の女性が気が付いた。紫色の髪に二本の角が生えた若い女だ。先に体のほうを確認したが満足に食事を取っていないため体が細い。用意していた鍋で作ったお粥をが入った器を差し出す。

「まずはこれを食べるんだ」

 突然食べ物の入った器が差し出されたことに戸惑っていたがすぐさま無心で食べ続ける。わたしの外見は元に戻しているが食欲に負けたのだろう、こちらを気にしてない。

 お代わりを数回頼んでお腹が満たされたのだろう、穏やかな表情になる。

「フェェエエ~ン」

 だけどそれもほんの少しのことですぐさま泣き出してしまった。あの状況ではひたすらに耐えるだけしかなかったことから気の済むまで泣かせることにした。

 やがて他の二人の女性も気が付いて鍋のお粥を無心で食べる。その間に偵察に行っていた全員が戻ってきた。鬼族の一人が、

「姫様!まさかここにおられたとは!村を探してもいなかったので心配しておりました。よくぞご無事で」

 この子が姫だそうだ。さすがに急ぎで移動させたから中には行方不明のものもいたのだろうと。そのような報告は聞いてなかった。

「ごめんなさい。そういう報告はきちんと聞くべきだった。急いでいたとはいえすまない」

 全員に頭を下げる。

「リーヴリル様・・・」

 全員が神妙になる。助けられておきながらそういった気配りを忘れていたことを素直に謝られるのは初めてなのだろう。

「この者はリーヴリルというのか?よくぞ助けてくれたのぅ。わらわは鬼族8大氏族のカグラ家の姫でシャナ=カグラじゃ。よろしくのぅ」

 握手を求められる、鬼族なので細い体に見合わぬほど力が強い。

「そなたたちはわらわを助けにきたのか?よく人間族に見つからずにここまでこれたのぅ。あの都市のルスード伯爵の者たちからよく逃げ出せたものじゃ」

 一緒に来た人から説明をさせる。人間族であるわたしより交流の深い他の種族のほうが信頼されやすい。

「・・・そうか、皆や家族はもうこれ以上ここには住めぬと判断してディングル王国の領地に亡命したか、かつてはここは住みよい場所で腰を落ち着けたが時の流れとは残酷じゃのぅ。
 皆の話は分かった、人間族以外はこの国から亡命しようぞ。で、この男子がその要なのじゃな」

 何か狙いを定めるように見てくる全員と妖しく瞳を輝かせるシャナ姫。

「あとどれぐらいの人が残っているの?」

 とりあえず危険な感じがしたので話を進める。南部の国にはまだどれぐらいの種族がいるのか分からない。

「そうよのぅ、主だった者たちはすべて移動されたみたいじゃのぅ。あとは細々と暮らす者たちだけじゃ。それらを探して話し合えばよい。じゃが、あの都市にはまだ多くの種族が捕らわれておる、なんとか助けたいがこれだけの人数ではとても救出など無理じゃ。どうしたものか」

「人数はどれぐらい?」

「少なくとも1万に届く、さすがに一つの町に匹敵する人数を犠牲者無く連れ出すなど無理じゃ」

「なんだ、それぐらいならどうにかなるよ」

 全員が信じられない顔をする。ただし、これをするにはどうしても問題があるのだ。問題は2つ。受け入れる場所と移動方法ともう一つは、

「全員の命を助ける代わりにあの都市を跡形も無く消し去ってかまわないかな?」

 前者は何とかなるが後者は確認を取らなければいけない。

 家々を回り探して救助する時間は無い。いくらゴーレムたちを呼び出してもそこまでは無理だ、なのであの都市のあらゆる機能を完全に消し去らなくてはならない。

「あの都市を完全に更地に変化して救助するしか方法は無い」

「あの都市には魔法防壁が掛けられていて生半かな魔法は通用しませんが?」

 普通の魔法ならば1000人動員しても無理だが切り札がある。コントロールが難しいが何とかいけるはずだ。明日実行するのでみんなに休むように伝える。簡易式のテントを張って休む。周りには見つからないように結界を張ってあるので大丈夫だ。

「おぬしはまだ休んでおらぬのか?要となるそなたが休まねば皆も落ち着かぬよ」

 シャナがテントの中のわたしに近づいてきて話しかける。

「もう休むよ」

 だけどそれと同時に押し倒され抱きつかれる。

「な、なに?」

「おんしは良き男子じゃのぅ、全身から放たれる強さに我慢が出来なくなったのじゃ」

 艶めかしく迫ってくるが今のところ女に関心は無い。

「あいにくと今は女に構っている時間が無い」

「つれないのぅ、わらわが相手では不満か?」

「あいにくと大仕事が沢山控えてるんでね」

 領地の発展にこの世界の改善に神々の問題、前倒しできるのならいくらでもやりたいぐらいだ。

「今すぐ返事を求めているわけではないぞ、わらわはまだ14歳じゃ。このぐらいの年で婚約相手がいることはさして珍しいことではないがわらわは『英雄』などと呼ばれるほどの男がこの上なく大好きじゃ。物語を聞くごとにそれは募ってのぅ。そんな相手は世界中に数えるほどしかおらぬし皆高齢じゃ、子供など望めぬし種族差別の強いここでは馬鹿だといわれた。カグラの血は強い相手と結ばれることによって繁栄してきた。祖先には色々な血が混ざっておるが別に非難などはされぬ。実力がすべてだからのぅ」

 血の優勝劣敗を繰り返して南部最大の勢力図を生み出したカグラ家は鬼族の中でも特に優れたものを多く排出してきたのだ。

「それでわたしを求めていると?」

「これでも人を見る目には自信がある。そなたほどの男子は初めてじゃ。人間族のようじゃが色々な姿に見える、竜に鬼に精霊に妖精にエルフに獣人に・・・いろいろな姿が見えてまるで幻のようじゃ。その優秀な部分を集めてまるでなんでも叶う姿をしておる。夢物語でもありえぬほどに美しいのぅ」

「それは容姿だけではないよね?」

「ふふっ、いくら姿を誤魔化そうとしても見るべきものが見れば絶対に手放さぬだろう。今すぐにでも関係を深め合いたいのじゃがそなたはやたらと若く見えるのぅ、何歳じゃ?」

 年齢のことを教えるとさらに目つきが怪しくなる。

「これはまた都合よく現れたものじゃ、年下なのが多少気に食わぬがそんなものは何の意味も無い。わらわは一族の姫として沢山の子を望まれておる、もちろん優秀であればあるほどよい。人間族よりも若い期間が長いし妊娠期間もはるかに短いから沢山の子を産めるぞ」

「子供は好きだけど一族はそれで納得するの?」

「そなたはすでに十分すぎるほど施しをしておる。わらわも一族に反論を許さぬほどに権力をもっておるから安心するがよい。じゃがそなたに協力するにはあと一押し確証が欲しいのが本音じゃな」

 なるほどね、統治を安定させるためには彼女がいれば大きな力になるだろう、先払いしても無駄ではない。

シャナ=カグラ 大鬼族 8大氏族 〈鬼戦姫〉

鬼族の姫 怪力と知性を併せ持つ女

 《鬼神の加護》《亜神の加護》《異能力》《身体能力強化》《美貌》《誘惑者》《五行の霊脈》《武器適正【鬼】》をステータスを弄って与えるとすぐさま変化をおこした。

「ぐぅぅう、体が熱くて弾けそうじゃ!」

 光に包まれてから1時間で完全に別人になった。紫色の髪と二本の角はそのままだが身長が頭一つ高いぐらいになったが外観は人間に近くなり誘惑的なりスタイルはボン・キュッ・ボンとスーパーモデルのようになる。

「み、見るな!」

 服のサイズが合わなくなり当然体が見え隠れする、さすがに女性の裸を見るのはためらい後ろを向く。服とか作らないとな。
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