39 / 69
エクリプス辺境伯家16
しおりを挟む
「これで契約は完了です。もう共犯者ですね。ウフフ」
契約の内容を羊皮紙に3枚書く。
「お母さん。もうちょっと優しく出来ないかな。誰も手を付けていないとはいえ交易開始前に出し抜いて利権を手に入れるなんて」
リーシャさんは少し黒かったが違法ではない。数少ない縁を必死につかみとろうとする姿は良くも悪くも純粋ではあったしお互いに不利益ではないからだ。褒められたやり方ではないがそれは前世のわたしから見ればだ。この世界では別にこれぐらいでは文句など言われないし黙らせることなどどうにでも出来る。
「ステラ。私は心配なのです。親である私が生きている間はアナタに良からぬ虫が近づきませんが死んだらどうするのですか?なかなか長生きできないこの世界では子供の将来を安心していられる時間は貴重なのですよ。生まれの順位が決まっているし公爵令嬢という枷はいつでも付いて回りますし女性であることで力ずくで従わされることもあるかもしれません。だからこそ幸せにしてくれる男性が必要なのです」
「でも、こんなのはいきなりすぎだよ」
「上の兄弟たちがアナタをどう見ているのか分かっていますか、『貴族家でもないくせに財力だけで偉いのだ』と思われているのですよ。優秀であろうがなかろうが人の欲望や嫉妬は恐ろしいものです。実の親や兄弟ですら平然と道具にする。大半の貴族はそんなものです」
「・・・・・・」
ステラは黙る。どこかに思うところがあるのだろう。
「旦那様も私の身分が貴族家でないのに一番力があることが心配しています。ハッキリ言えば私たち二人ともこのまま辺境伯様のところに逃げて欲しいと判断しています」
「どうしてお父様がそんなことを?」
「ようするにお家騒動に巻き込みたくないのでしょう。次期当主をなぜ決めていないのか分かりますか?」
「ハンスお兄様とクルードお兄様とフェンリッヒお兄様が争っているからですか?」
他の三人の妻には全員男子がいてほんの少し年が違うだけなのだそうだが妻の身分が違いそれで権力などもそれぞれ違う。良く言えば分散させているが悪く言えば同格の力を持っていることになる。そうなれば当然力関係に差があるわけではないので余計に揉めることになる。
「私が苦労して利権をうまく分散したのに恩義を感じず水面下で足を引っ張りあっている。母親や妻たちは制止していますが旦那様が死んだら派閥が生まれ公爵家は分裂するでしょうね」
「お母さんはどうして止めないの」
チラリとわたしを見る。
「良くも悪くもタイミングが上手く噛み合ったのです。辺境伯様が軍部を潰したので多くのポストが空きましたし他でも役割を分担できる貴族家を増やすチャンスでもあります。軍部の莫大な軍事予算が大幅に削減されたのでその分だけ経済発展に使えるのが大きいです。これまで他の場所と交易を結べませんでしたが辺境伯様の能力ならばすぐにでも販路が作れますので商人にとって大きなチャンスでもあります。種族差別の風潮も薄れ始めていますし他国からの他の種族などを差別せずに見る大きな切っ掛けにもなります。ここまで言えばもう分かりますよね?」
簡単に言えばトップと最大派閥が変わりあらゆる面で変化が起こったのだ。
「政治の方向が完全に変わった、そう言いたいんだね」
「そうですね。南部は諸侯軍の連合で議会制です。半分以上の票を取れば可決されますがそれは軍部に握られていて手が出せませんでしたが先の完全敗北で発言力と予算の大幅な削減が可決されハインケル公爵らの経済と外交を担当する貴族家が今後主導権を握るでしょうから旦那様らからすれば分家などを増やすチャンスでもあり領土も空いています。
加えて使者として派遣した人たちから報告でエクリプス辺境伯家には莫大な利権が数多く存在することが議会で説明され他種族との信頼が深いリーヴリルとは良い関係を長く続けるようにとの意見が採用されましたから大商人である私の実家を中心として多数の商隊がすぐさま編成されるでしょうし他国との外交関係も改善しなくてはなりません。
さらに本来なら莫大な資材や人手で行う開拓もまったく必要とせずに出来ます。当然これも経済発展を進める要因です。そんな相手と誰が敵対できるでしょうか、無理ですよね」
だからこそ力はあるが生まれた身分も順位も低い妻や娘らを遠ざけて醜い利権の争いに巻き込まないようにしたというわけだ。おそらく先ほどの交渉は『一人立ち』できるようにする最後のプレゼントなのだろう。
「お母さんは私にどうしろというの?」
「あなたはこれからはハインケル公爵令嬢ではなく商家の生まれのリミナージュ家の娘として生きろと言っているのです。旦那様やお父さんから許可は貰いました。すでに縁切りは済んでいます」
羊皮紙を渡す、そこにははっきりと『ステラとリーシャはハインケル公爵家から絶縁し今後一切の関係を断つ』と書かれていた。
「お母さんはそれでいいの?あれだけ苦労したのにそれでいいの?」
「正直あれだけ苦労したのに何も感謝しない愚か者たちとは居たくありません。どうせ血の繋がりなどもないし貴族の窮屈さには辟易してたので南部の方針転換を機会に実家を手伝おうと思っていましたから。
リーヴリル様、どうか娘をよろしくお願いします。まだまだ世間知らずですが才能は飛び抜けていますから足手まといにはならないと思います」
頭を下げて頼まれる。
「わかった」
その頼みを正式に受ける。
「その契約書はどうするつもり?」
取引の優遇などの契約が具体的に書かれている羊皮紙。彼女が持つなら問題ないが他の人の手に渡ると面倒だ。内容を書き換えるかもしれない。
「それなら何も問題ありません」
わたしとステラに渡すのは良いが、
「こうすればいいのです」
残りの一枚を5つに分断する。
「別に契約書が分断しても無効という法はありません。分断して管理すれば内容を誤魔化せませんから」
通貨とは違い偽造防止の魔法などは使えないので乱暴だがもっとも効果的な方法だった。
「分断したこれは私が持ち必要が無くなれば焼却するか信頼する相手に渡します。ステラ、私といられるのは街道などの開発が終わる間だけです。その後はわたしは実家に戻りアナタは辺境伯様のところで世話になりなさい」
「・・・はい、お母さん」
涙を流して母親に抱きついているステラ。もしかしたらわたしを生んだ母親も同じ気持ちなのかもしれない。
そうして悲しい夜の中眠りに付いた。その翌日から何事も無かったように明るく振舞う親子は強いのだと思った。半月ほどかけて街道の整備を終えて次の開拓を行う。
契約の内容を羊皮紙に3枚書く。
「お母さん。もうちょっと優しく出来ないかな。誰も手を付けていないとはいえ交易開始前に出し抜いて利権を手に入れるなんて」
リーシャさんは少し黒かったが違法ではない。数少ない縁を必死につかみとろうとする姿は良くも悪くも純粋ではあったしお互いに不利益ではないからだ。褒められたやり方ではないがそれは前世のわたしから見ればだ。この世界では別にこれぐらいでは文句など言われないし黙らせることなどどうにでも出来る。
「ステラ。私は心配なのです。親である私が生きている間はアナタに良からぬ虫が近づきませんが死んだらどうするのですか?なかなか長生きできないこの世界では子供の将来を安心していられる時間は貴重なのですよ。生まれの順位が決まっているし公爵令嬢という枷はいつでも付いて回りますし女性であることで力ずくで従わされることもあるかもしれません。だからこそ幸せにしてくれる男性が必要なのです」
「でも、こんなのはいきなりすぎだよ」
「上の兄弟たちがアナタをどう見ているのか分かっていますか、『貴族家でもないくせに財力だけで偉いのだ』と思われているのですよ。優秀であろうがなかろうが人の欲望や嫉妬は恐ろしいものです。実の親や兄弟ですら平然と道具にする。大半の貴族はそんなものです」
「・・・・・・」
ステラは黙る。どこかに思うところがあるのだろう。
「旦那様も私の身分が貴族家でないのに一番力があることが心配しています。ハッキリ言えば私たち二人ともこのまま辺境伯様のところに逃げて欲しいと判断しています」
「どうしてお父様がそんなことを?」
「ようするにお家騒動に巻き込みたくないのでしょう。次期当主をなぜ決めていないのか分かりますか?」
「ハンスお兄様とクルードお兄様とフェンリッヒお兄様が争っているからですか?」
他の三人の妻には全員男子がいてほんの少し年が違うだけなのだそうだが妻の身分が違いそれで権力などもそれぞれ違う。良く言えば分散させているが悪く言えば同格の力を持っていることになる。そうなれば当然力関係に差があるわけではないので余計に揉めることになる。
「私が苦労して利権をうまく分散したのに恩義を感じず水面下で足を引っ張りあっている。母親や妻たちは制止していますが旦那様が死んだら派閥が生まれ公爵家は分裂するでしょうね」
「お母さんはどうして止めないの」
チラリとわたしを見る。
「良くも悪くもタイミングが上手く噛み合ったのです。辺境伯様が軍部を潰したので多くのポストが空きましたし他でも役割を分担できる貴族家を増やすチャンスでもあります。軍部の莫大な軍事予算が大幅に削減されたのでその分だけ経済発展に使えるのが大きいです。これまで他の場所と交易を結べませんでしたが辺境伯様の能力ならばすぐにでも販路が作れますので商人にとって大きなチャンスでもあります。種族差別の風潮も薄れ始めていますし他国からの他の種族などを差別せずに見る大きな切っ掛けにもなります。ここまで言えばもう分かりますよね?」
簡単に言えばトップと最大派閥が変わりあらゆる面で変化が起こったのだ。
「政治の方向が完全に変わった、そう言いたいんだね」
「そうですね。南部は諸侯軍の連合で議会制です。半分以上の票を取れば可決されますがそれは軍部に握られていて手が出せませんでしたが先の完全敗北で発言力と予算の大幅な削減が可決されハインケル公爵らの経済と外交を担当する貴族家が今後主導権を握るでしょうから旦那様らからすれば分家などを増やすチャンスでもあり領土も空いています。
加えて使者として派遣した人たちから報告でエクリプス辺境伯家には莫大な利権が数多く存在することが議会で説明され他種族との信頼が深いリーヴリルとは良い関係を長く続けるようにとの意見が採用されましたから大商人である私の実家を中心として多数の商隊がすぐさま編成されるでしょうし他国との外交関係も改善しなくてはなりません。
さらに本来なら莫大な資材や人手で行う開拓もまったく必要とせずに出来ます。当然これも経済発展を進める要因です。そんな相手と誰が敵対できるでしょうか、無理ですよね」
だからこそ力はあるが生まれた身分も順位も低い妻や娘らを遠ざけて醜い利権の争いに巻き込まないようにしたというわけだ。おそらく先ほどの交渉は『一人立ち』できるようにする最後のプレゼントなのだろう。
「お母さんは私にどうしろというの?」
「あなたはこれからはハインケル公爵令嬢ではなく商家の生まれのリミナージュ家の娘として生きろと言っているのです。旦那様やお父さんから許可は貰いました。すでに縁切りは済んでいます」
羊皮紙を渡す、そこにははっきりと『ステラとリーシャはハインケル公爵家から絶縁し今後一切の関係を断つ』と書かれていた。
「お母さんはそれでいいの?あれだけ苦労したのにそれでいいの?」
「正直あれだけ苦労したのに何も感謝しない愚か者たちとは居たくありません。どうせ血の繋がりなどもないし貴族の窮屈さには辟易してたので南部の方針転換を機会に実家を手伝おうと思っていましたから。
リーヴリル様、どうか娘をよろしくお願いします。まだまだ世間知らずですが才能は飛び抜けていますから足手まといにはならないと思います」
頭を下げて頼まれる。
「わかった」
その頼みを正式に受ける。
「その契約書はどうするつもり?」
取引の優遇などの契約が具体的に書かれている羊皮紙。彼女が持つなら問題ないが他の人の手に渡ると面倒だ。内容を書き換えるかもしれない。
「それなら何も問題ありません」
わたしとステラに渡すのは良いが、
「こうすればいいのです」
残りの一枚を5つに分断する。
「別に契約書が分断しても無効という法はありません。分断して管理すれば内容を誤魔化せませんから」
通貨とは違い偽造防止の魔法などは使えないので乱暴だがもっとも効果的な方法だった。
「分断したこれは私が持ち必要が無くなれば焼却するか信頼する相手に渡します。ステラ、私といられるのは街道などの開発が終わる間だけです。その後はわたしは実家に戻りアナタは辺境伯様のところで世話になりなさい」
「・・・はい、お母さん」
涙を流して母親に抱きついているステラ。もしかしたらわたしを生んだ母親も同じ気持ちなのかもしれない。
そうして悲しい夜の中眠りに付いた。その翌日から何事も無かったように明るく振舞う親子は強いのだと思った。半月ほどかけて街道の整備を終えて次の開拓を行う。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる