オヤジが生まれ変わって?系救世主

無謀突撃娘

文字の大きさ
66 / 69

影の仕事

しおりを挟む
「クソッ!なんなんだこいつらは!」

暗殺団の一人がぼやく。普段は盗賊として活動しているが本業は殺し屋集団『ポイズンスネーク』として依頼を受けていた。今回受けた依頼はアカツキ家の領地の住人などの暗殺だ。さきに他の連中に病気を蔓延させてそこに神官らを送り込んで恩を売り逆らうようなら殺すという簡単な依頼のはずだった。

「ギャァ~!」

また一人仲間が始末される。町に乗り込むと全ての住人が休んでいて先に乗り込んだ神官らの姿が見えなかった。だが、いようがいまいが『皆殺しにしろ』と命令されていたので闇から闇に隠れて始末すればいいだけだ。病気の影響で満足に動けない相手なので簡単に始末できる・・・はずだった。

ところが毒塗りの刃を持って近づこうとした一人がどこからともなく刃で心臓を串刺しにされた。暗殺術に長けた自分らでも気配が分からずどこから刃が突き出たかさえ分からなかった。しかもそれは一度だけではなく散らばった仲間が次々と何も出来ずに始末されていく。

あっという間に50人以上の仲間が始末されその死体も闇の中に取り込まれて消えていき住民たちも気が付かないまま処理される。これは間違いなく自分たち以外の暗殺者が入り込んでいると思ったがその相手がわからない。

仲間たちとともに連携を組んで警戒するがそれすらも無意味だった。

ある一人は四方八方からの刃で串刺しにされ、ある一人はいきなり首を跳ね飛ばされ、ある一人は闇の中に引きずり込まれていった。

「相手は闇属性を使っている!光属性で打ち消せ!」

すぐさま周囲を照らし出すが人の姿はなくあったのは町並みと自分たちだけだ。

「どうなってるんだ?」

すると魔法を使った仲間の一人が突然飛来した飛び道具で始末される。何本もの刃で串刺しにされたその刃は水晶よりも透明で出来ておりこれでは見えるはずがない。それがそこらじゅうから数え切れないほど飛んできて仲間達がなすすべもなく殺されていく。

闇属性を使うから光属性で打ち消したのにそれですらも発見できない殺しの業。完全に格上の殺し屋の技だ。もはや勝ち目がないと判断した。殺し屋家業では引き際を間違えば死ぬだけだ。退路などは確保していてそれに全員乗るが、

「何だこれは!身動きができねぇ!」

突然体が非常に重くなり身動きが出来なくなる。出来るのは這い蹲って動くことだけだ。そこに先ほどの見えない刃を無数に投げ込まれてなすすべなく殺されていく。自分を含む頭目ら数人は何とかそれを掻い潜り出口まで辿り着くが、

「初めましてこんばんわ」

そこには完全に場違いな美少女がいた。深い闇に溶け込むような黒い髪に青と黒の斬新な服装、可憐で愛らしい声、まるで理想の中から出てきたような存在。それが逆に恐ろしかった。

「わたしの殺し屋たちの力と技術、楽しんでもらえましたか?」

この言葉でハッキリと分かってしまった。自分らはとんでもない相手に噛み付いたのだと。

「ここまで辿り着いたのは良いのですが他に生存者がいませんね。まぁ、その方が都合がいいのですけど」

ニコリと笑顔。

「とりあえず知っている情報を洗いざらい喋ってもらいましょうか。心配する必要はありませんよ、実に楽しい状態になりますしその後の事も心配要りませんから」

「俺たち殺し屋が依頼主のことなど話すと思うのか?」

その答えにほんの少し考え込む美少女。

「人間って捕まえてしまえば色々出来ますよ。物で懐柔も出来ますしダメならちょ~っと危険なお薬などを使うことになりますが。まぁ、死ぬことはないので安心してください」

仲間の一人を立ち上がらせて何か瓶の中身を無理矢理飲ませられる。

「なんだこれは?」

「これはですね『痛みを無くす薬』です。効果はすごいですよ、こんなことをしたって平気なぐらいですから」

するとどこからともなく剣を取り出し両足を膝より下のあたりで一振りで切断する。両腕も肘より下のあたりで切り落とす。

「あ、あれ?」

「痛くないでしょう?ちなみに人間は血液の4分の1を失えば気絶して3分の1以下になると出血死します。目の前でそれを確認してもらいましょうか。ちなみに死ぬまで意識を保つように魔法で手助けしてあります。あ、こんなことをしても意識が保ったままですよ」

刃を腹などに突き刺すがそれでもなお平然としていられる異常な状態、内臓が飛び出てもなお痛みを感じず死ねないという残酷さ。

「や、やだ!助けてくれ!」

このまま死ぬまで放置するらしい。傷を塞ごうにも魔法で拘束され両手両足がないので何も出来ない。そいつを放置してこちらに向き直る。

「知っている情報を洗いざらい話すならここでは殺さないことにします。どうしますか?」

「ここでは?」

「残念ですが依頼主に事情を説明するためにはある程度の人数は生かしておかないといけないのです。そちらの方に処理をお願いも出来ますが中々生きた人間を実験台にするのは難しいので。わたしにはそんな密かな楽しみがあるのです」

「ぜんぜん密かじゃないだろ!」

反論するがただ口を動かすことさえキツい。

「ここであなたたちを殺しても追加が来そうにないですね。あと2人だけ実験台にして我慢しますか」

どこからともなく何本もの瓶を取り出すが非常に怪しい色をしていた。

「アップ系やダウン系だけでなくパニック系やポイズン系など色々あります。さて、どんな風に変貌してくれるのか実に楽しみです」

自分の発言が危険なのは承知していて多少高揚している。あんまりこういうことはやりたくないのだがこうでもしなければ病気に感染した人たちの不幸とは釣り合いが取れないのだと自分に言い聞かせる。彼らはそうして新薬や拷問の実験材料になってしまった二人の目撃者兼証人になった。二人の犠牲者は狂気を起こしたようなほどに変貌してしまいもはやまともには生きていけないだろう。次々と飲まされる薬のたびに奇怪な行動をする姿を間近に見て自殺したほうがマシだと生き残った全員が思った。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...