オヤジが生まれ変わって?系救世主

無謀突撃娘

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リーヴリル、西部に行く8

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「今回の事件を未然に防いでいただき感謝いたします」

町の代表者らにお礼を言われる。

「ガリューク家から助けて欲しいと正式に依頼されまして仕事をしただけです」

「左様ですか。ところで、我らに襲い掛かろうとした暗殺者たちはどこにいますか?」

異空間から彼らを引っ張り出すと、

「あ、ここは、現実か?」

「そうだよ~」

すぐさま彼らは完全に恐怖に震えて錯乱する。

「頼む!知っていることなら何でもしゃべるからこの悪魔から助けてくれ!」

わたしが与えた恐怖があまりにも異常すぎて耐えられなかったのだろう。ちょっとやりすぎたと反省する。

「彼らはなぜここまで怯えているのですか?」

「知らなくてもいいことだよ。聞くとあなたたちも彼らと同じことになるから」

彼らの怯え方からただ殺されただけではないと判断してそれ以上聞いてはこなかった。世の中には知らない方が幸せということもあるのだ。暗殺者たちは彼らに預けて話を続けることにした。

「神官たちが来ているとも聞きましたが彼らはどこに?」

「ん?彼らからも話を聞くの?」

「関係があるのかどうか聞いておかなければいけません。敵対したという明確な証人がいますし場合によれば排除しなくてはいけません」

それもそうかと納得して【鏡写しの世界】を解除することにした。そうして神官たちが出てくると彼らの表情は生気がなく完全に青ざめている。あの中では住人の病気はそのままの状態にしておいたから当然一心不乱に治療していたのだろうが現実と違い創造主であるわたしが設定を変えなければその状態は治らない。持ち込んだ治療薬や魔法が完全に効果がないのだ。それでも治療を続けるとなればあれだけの人数を治すには人手が足りないし感染する可能性もある。そんな緊張状態の中にいたのだ。

「ヒィッ!お前たちは!」

そんな状態から開放されて現実に戻ると住人は全員健康で武装状態だ。驚かない方が無理だろう。

「な、なぜ、病気が治っているのだ?あの細菌には治癒魔法が効かず特殊な治療薬でなくては効果がないのに・・・」

疲れ果てたような神官の一人が呟く。

「ほう?そんなことがいえるのはこの病魔の原因を知っているのだな?これからそのことについてじっくりと話し合おうではないか。連れて来た暗殺者共々な。我らアカツキ家の領地に一方的に攻撃してきたのだ、覚悟は出来ているのだろうな?」

全員が武器を突きつけて脅迫する。もはや彼らには逃げ場はない。彼らは抵抗の意思なく連行されていく。

「リーヴリル様、シャンクトゥラ様。領主代理が直接会いたいので来て欲しいとの事です」

呼ばれて領主館に向かうと赤色の髪をした美しい女性が待っていた、額から2本の角、鬼族なのは間違いない。その女性が一番豪華なのは最も地位が高いからだろう。

「あなたが一番偉い人ですか」

「女であるのが意外ですか?西部では実力があれば女性でも権力を手にすることが出来ます。わたしの名前はシオン=アカツキです。ここの領主は私の姉です。隣にいるのは姉の娘と私の娘です」

「アハハハ~。よろしくね~恩人さん!」

「このたびは助けていただき真に感謝いたします」

自分より小さな少女と大きな女性が話しかけてくる。小さな女性はやたら陽気で大きな女性は非常に穏やかだった。

やたら対照的である。ほのかに匂うこの香りは間違いなく、

「カノン!あなたはまた酔っているのですか。次期領主候補としてそんな状態でどうするのですか!」

「だってぇ~、病気が治ったら気付けに一杯やるのが鬼って者でしょう?シオン叔母様にヒビキ。せっかく侵入者を捕まえてんだからさ」

やはりというか酒を飲んでいた。それもかなり。

「カノン。私達の力で侵入者を捕らえたわけではありません、こちらに居られる方々が危険を排除してくれたからです。一歩間違えていれば壊滅していたかもしれないのです、そのことを自覚してください」

どうもチグハグだな。

「すみません。鬼とは本来好戦的ではありますが陽気で勝負事が大好きで情に厚く大酒飲みなのですよ」

「そうなんだ。やっぱりこっちでも同じなんだね。領地に帰ったらカグラ家などにもう少し出す物出さないといけないね」

「カグラ家?あなたは彼らと親交があるのですか。派遣した人たちから報告は聞いてます。南部から亡命したと聞いていますがどのような状態なのか教えてもらえますか」

とりあえず彼らの状況を簡単に説明する。わたしが領主であることは秘密で。

「・・・なるほど、どうやらエクリプス辺境伯様はとんでもないお方のようですね、そこまで生活環境が変わっているとは。すると、西部に来ているあなたは辺境伯様の側近なのですか?」

「そうともいえるしそうでないともいえる」

お茶を濁す。別に明言したからといって信用される証拠などないし嘘をついてもどうってことはないのだから。

「それよりもお酒飲みたい~」

「もうちょっとあなたは領主の娘という自覚を・・・」

説教が続きそうなので退散したいがガリューク家のことも気になる。なので、ドスンと酒瓶を30本ほど出す。

「落ち着いてこちらの話を聞いて」

紙に包まれたそれを取り出し陶器製の器に注ぐと、

「「「なにこれ~!」」」

全員の目が釘付けになる。一人当たり10本ほど飲んでも平然としていられるのは鬼だからだろう。

「ありえないですこれは!」「あぁ幸せだよ~!」「コレを出されては逆らえませんね」

最初は香りを確認し一口一口飲んでいたがすぐさま大酒飲みとなり酒瓶を容赦なく空けていく。和酒系でいろいろ出したがそれら一つ一つの味を確認しつつ飲んでいた。

「ふぅ・・・、こんなお酒が存在するなんて。エクリプス辺境伯の領地ではコレがいつでも飲めるのですか?」

全員が満足の声をそろえて聞いてくる。

「コレは試験的に作ったので一般的には売られてない。だけど辺境伯様はコレを大々的に売り出したいと考えている。だけど、そのためには酒造りに熟達した人材が欲しい。今はまだ緊急事態なので無理だけど西部のほうから人材を受け入れる余裕がある。その辺りのところをどうにかしてほしい」

酒造りは文化的に非常に重要だ。なのでこの作り方をわかれば莫大な利益となる。

「ふむ、そういう取引ですか。西部には古来の酒がありますが味も品質もこれほど高くありません。カグラ家の支配領域なのである程度境界線を決めなければいけませんが鬼族は味方と認めれば誰であろうと約束は守ります。カノン、ヒビキ。この人についていきなさい」

どうやら冷静に判断できる人のようだ。先に渡すべき物を渡しておく。ガリューク家に渡した水晶球と同じ物だ。これでいつでも連絡が取り合えるようにする。これを15個。あとはお酒の樽や瓶を2000本ほど。

「先に言わせて貰うといきなり大量はちょっと難しい。西部には木材などの資源が豊富みたいだからそれを管理できる人数は残しておかないといけない。その辺りは領主などを含めてコントロールしないと大変なことになるから」

「たしかにそのとうりですね。ここから先は領主など西部の重鎮を含めて話し合う機会を作りましょう」

すみませんがここからは身内の話になるということなので部屋からだされる。

「あ~、あんな酒がいつでも飲みたいな~」

「まったくです。これは評価を改めないといけませんね母さん」

カノンとヒビキの呟き。だが、それは鬼族全員の代表としての言葉でもあった。彼が出した酒は非常に美味くて酒に関して非常にうるさい鬼族は常に酒に対する研究を行っているがあのような物は初めてだった。あの技術が手に入ればこれからの長い時間を楽しむことが出来る。

「おそらく彼が噂の張本人でしょう」

西部のほうにもある程度は情報が入ってきているが直接会うと非常に好ましい存在だ。人族にありがちな他種族などの差別や貴族の見得などもないし穏やかな雰囲気の中に優れた武威を持っている。鬼族とはいえ酒でホイホイ釣られるほど馬鹿ではない。冷酷だが温厚でサッパリとしていてわかりやすい優しさ。これならば南部の他種族たちが惹きつけられるのも無理はない。

「どうするのですか?」

「あなたたちの器量とはいえいきなり信頼を手にするのは難しいでしょうから常に傍近くにいなさい。報告は定期的にかつ詳細に。こちらの方でも有能な者たちの選抜を行います」

すぐさま二人を含めてリーヴリルの話に乗ることにした。
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