オヤジが生まれ変わって?系救世主

無謀突撃娘

文字の大きさ
68 / 69

リーヴリル、西部に行く9

しおりを挟む
「とりあえずアカツキ家とガリューク家の方はこれでどうにかなりますがこの先にあるハウベル城砦の方にも行きましょう。あそこは西部全域の要とも言える攻防の要所。先に押さえておかなければいけません」

シャンクトゥラ、カノン、ヒビキが同意する。両方の領地より少し西側にある場所で古来から防衛戦線の要として存在しており貿易路の中心でもあるそうだ。ここより西部の品々のほとんどが集まる場所だと説明される。

急いでそこに向かうとそこはまだ無事なようで兵士たちは健康そのものだった。

「神官たちがここに来てはいませんか?」

入り口の兵士に問いかけると、

「いいえ、そのような人達は来てはいませんが」

そう答えてきた。まだここには被害が拡大してはいないようだ。

「私はガリューク家のシャンクトゥラ、連れはアカツキ家のカノンとヒビキ、それに東部からの旅人です。すみませんがここの司令官に大至急話をしたいと伝えてください」

兵士はこちらに何かしら緊急の事情があるとすぐさま判断して司令官の部屋まで連れて行く。

「おお、姫様方。この場所に急いで来られるとは何かあったのですか?」

老年の将は突然の来訪に少し驚きながらも冷静に対応してくれた。

「すみません。本来ならば礼服に着替えてから会うのが常識なのですが国の存亡に関わる事態が起きました。光属性大司教のマルダーが・・・」

ここまで起こったことを一つ一つ説明していくとすぐさま表情が険しくなっていく。

「なるほど。大体のことは理解できました。実はここ最近司教や司祭らが『光属性こそが万能の神である!』などと言い出し始めて教会や信者を増やし他の属性を司る神々の神殿を破壊しろという馬鹿げたことを言い出し始めて困っていたのです。全属性を平等な列で祭っているガリューク家やアカツキ家や我らが拒否するとわかっていてそのようなことをしでかしたのですね」

なんという愚かなことを、と。この世界では一神教ではなく多神教のようだ。と、なれば彼らから見れば邪教になるのだろうなこちらは。ある程度は理解は出来るのだが、

「いつごろからそのようになったのですか?」

率直な疑問をぶつけることにした。

「そういう話が強く出てきたのは約20年ほど前ですな。その当時はそれなりに神々に真面目に信仰していたのですがそれらが発言力を強め始めると決まって大災害が起こり住民の命や大地などに大きな傷を残していった。そのあたりから信仰が狂いだして他種族差別の風潮が生まれだしたのじゃ。しばらくは光属性が一番偉くなったが6年ほど前から自然が目に見えて豊かになり始めて他属性の信仰が強くなり始めた。そうなりはじめると信者らも住み分けを行ない始めてここより西部は光属性が東部が他属性というようになったのです」

おそらく自分が神々に与えた物をばら撒いた頃だろう。結果はかなり明確に出たようだ。

「すみませんが西部から光属性の神官らが来ていませんか」

「いや、来てはいないな。旅人や商人はかなり来ているが」

ここの防備はかなり厚いし連度も高い。井戸などに何か入れようとするとすぐさま発見されるな。と、なるとこの方法で当てるしか方法が無いか。

「すみませんがここに来た人たちを少し見てもいいですか」

確信は無いがあのガラス道具を作る技術があるのならば目当てのものがあるはずだ。【万里眼】で人々の持っている物を瞬時に見通す。すると、

(やっぱりあった。どうしてこれほどの物を作る技術がありながら人を不幸にするのだろう。本当ならばこれは多数の人たちを救える道具なのに)

怒りを覚える。この世界では治癒魔法があるからかもしれないが使える人はさほど多くは無いかもしれない。だからこそこの技術があればもっと多くの人が救える。それをこのように使うのは悪人以外ない。

数人の旅人がそれを持っていた。

「なんだ?」

「すまないけどその懐の中の物を出してもらえないでしょうか?今ならまだ見逃します」

それで雰囲気が少し変わる。

「言ってる意味が分かんないんだが?」

「『注射器』などを出せって言ってるの。それで食べ物などに悪性の細菌を入れるなんて許せない」

「!?」

これで確信したようだ。

「俺らをどうする気だい?」

「先に言っておきます。それを渡して神官らから命令されたことを話してもらえるなら罪を軽くするようにしてもらいますし口封じとしてそれなりの物を出しますよ」

懐からミスリル大通貨を数枚相手に握らせる。それで表情を一変させる。

「まいったねこりゃ、神官らからの報酬がクソみたいだわ。わかったわかった、知ってることは全て話すから見逃してくれや、これでもそれなりの盗賊でね、分が悪すぎるわあんたとは」

彼らをここの責任者の元まで連れて行く。彼らは依頼主やその内容をアッサリと白状した。依頼内容と報酬が酷くて実行するかどうか悩んでいたようだった。

アカツキ家やガリューク家などを始め光属性以外を信仰している有力者の都市や町らにこれらの道具を使って病気を蔓延させてから治療して恩を売り引き込むか場合によれば何度かそれを行なう計画だったようだ。マルダー大司教直々に命令が出され神官から暗殺者まで金をばら撒いて粛清するように手を打った、ただ、敬虔に信仰を積んでいる神官は入っておらず権力に塗れた汚職神官らが中心のようだ。この道具をどこで作っているのかまではわからないそうで本人らも簡単に説明を受けて使用後は熱湯につけて除菌して持ち帰ってこいとだけ命令が出されたそうだ。

「これは西部の問題だけには留まりませんぞ!人を救うための教えを説く神官らが他の信仰をしている人たちを滅ぼそうとするなど完全に狂っている。もはや猶予はありません、すぐさま兵を整え進軍するべきです!」

周りの人たちが声高に言い始める。

「すまないけど先に連れてこなければいけない人たちの意見を聞いてほしい」

【繋がる門】でルミティさんとシオンさんをここに連れてくる。突然のことに周りの人たちはうろたえたが。

「大まかな話は理解しました。もはや信仰という理由を捻じ曲げている人たちを放置できないのですね」
「大分前から嫌な信仰の押し付けをしていたけどそんなことをするなんてもう追い出すしかありません」

二人ともマルダー大司教とその一派を討伐する判断を固める。問題は自分たちの領主や家族らがすでにその懐にいることだ。今のところこれが発覚しているとは思えないから先手を取ればわたしの力でどうにかできる。

二人を元の場所に返してから出陣の準備を整え始める。同じ西部にいながら争わなければいけない彼らの気持ちは複雑だろう。

まずは3人をどうにかしないといけない。

シャンクトゥラ=ガリューク エルフ

《ボウ・ファイター・プリースト》

ガリューク家の姫 属性親和性と弓術に優れる

これをこうする。

シャンクトゥラ=ガリューク エンシェントエルフ

《ハイディラント・ナイト》

弓術と治癒魔法を極めた治癒騎士 魔弾の射手

【ハイディラント・ナイト装備一式】 

射程内ならばどのような小虫にも当てられる命中力と宝石岩すら貫通する魔力矢として放つ精霊魔弓を装備、広範囲治癒魔法も使える

千里眼 有効射程増加・超 貫通力増加・超 集中 回避力増加 魔力防壁 対魔力 エルフ族の加護

「クウッ!これは!」

カノン=アカツキ 大鬼族

《酒鬼姫》

酒をこよなく愛する鬼 最高の水属性の加護を持つ

これだとこうするか。

カノン=アカツキ 鬼神族

《酒仙鬼神姫》

酒を飲むことで体内の仙気を高める 最強の水属性の異能を持つ 仙人として外から気を集めることが出来る

【酒仙鬼神姫装備一式】

装備している無限に湧き出す7つの酒の瓢箪の中身を飲むことで能力を向上させる、7の力を持ちそれぞれで能力が違う。瓢箪の酒は武器としても使える

酒精能力 貪欲の魂 水の異能 対魔力 仙人 外気孔能力 自己再生 鬼の本能の体現者 美貌

「な、なにこれ!」

次で最後だ。

ヒビキ=アカツキ 大鬼族

《斧鬼姫》

両手斧を軽々振り回す怪力の持ち主 火属性の加護を持つ

これをこうする。

ヒビキ=アカツキ 鬼神族  

《滅斧鬼神姫》

あらゆる物を薙ぎ払う鬼神力を持つ 物理特化型 手にした斧で全てを破壊する 炎の従者を生み出せる

【滅斧鬼神姫装備一式】

爆滅力 火の守護者 対魔力 鬼神力 自己再生 炎の異能 炎水の心 統率者 従者召喚 美貌

「これは一体!」

これで十分な能力を持たせることが出来た。多少違和感があるような感じもするのだが容姿やスタイルが非常に良くなっている。創った装備を身に付けるとまさに戦場の華といえるほどだ。

「「「あなたは、一体誰なのですか?」」」

3人とも疑問で一杯だがその説明は西部の問題を解決してからにする。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...