オヤジが生まれ変わって?系救世主

無謀突撃娘

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エクリプス辺境伯家25

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「始めまして、わたしがディングル王国エクリプス辺境伯家当主リーヴリルです、以後お見知りおきください南部の貴族の方々様」

 わたしとユーフォリアとリースリットとシャナとステラは南部貴族多数と大会議に参加している。勝者であるこちらと敗者であるむこうとは戦後処理の契約は終わっているが直々に話し合う場が必要であるとルグネスさんから言われたのだ。それぞれ着飾った礼服をしている、わたしも斬新な衣装ではなくこの席に相応しいように服装を変えてある。

「まず最初に聞きたいのはハインケル公爵様らが契約書で書いた内容の確認です、わたしが整理した街道などの工事費や新規開発した農地や鉱山などの年間産出量などを計算しエクリプス家に納める金額などを正確に出していただけますか」

 そうして羊皮紙を渡される。

「ユーフォリア達、この数字は適性であるのか判断して」

 10分ほど考え始める。

「リーヴリル様と監督役からの報告で計算した物とほぼ変わりません、これで良いでしょう」

 そうして次の話に移る。

「南部との外交関係の改善ですがこれが非常に大変なのです。南部の他種族への差別と弾圧は限界点を軽く超えています、わたしの領地の住民は元より他国の方でも問答無用で拒否されるほどです。すでに使者などを送っているとは思いますがその辺りのことを嘘偽り無く言ってください」

「外交関係の改善を書類として送ったのだがすぐさま投げ捨てられた、もはや我らは他種族から完全に見放されてしまっている。このままでは孤立してしまい南部再建が不可能です、相手と話し合いの席を作ろうとしても誰も出てこないし言葉半分なのだ、そのことでどうにか辺境伯様の方で何とか手を打ってもらえないでしょうか?」

 先の戦争を主導して起こした元凶である人物らの処分をきちんとしたことを説明されるが、

「本当に処理したのですか?」

 疑問の声をぶつける。ほんの少しだが動揺が生まれる。

「デラル伯爵様」

「な、なんでしょうか?」

 突然話しを振られて緊張している

「わたしが処罰の対象としたのは何も戦争に参加した者達だけではありませんよ?軍部の暴走を黙認していたあなた達にも同罪なのです、その辺りを分かっているのですか?」

「も、もちろんです。だからこそ、こうして会議をしているのではないですか!」

「それではこの契約書に覚えがありますよね?」

 ビラビラと高く詰まれる契約書。

「『私はここに誓う。他種族差別を禁じ横暴な振る舞いを許さず権威を無闇に使わず清廉なる人物となることを天地身命に覚える。もしこれを破ればいかなる罰も受けよう』という契約書の束です。戦争に参加した約50000人分ほどもありますから覚えがある人は多いはずです。書いた本人は元よりその関係がある人たちも同じ罪が契約書内で明記されています」

 つまり、あなた達の家族や関係者がそれを破れば容赦なく攻撃してかまわないということだ。

「なにぶん戦時中で緊急事態だったので賛否両論あるかと思いますがこれは法的にどうなるのでしょうか?」

 騒ぎがここから大きくなり始める。色々な意味でこれは重すぎるのだ、先にこれで脅しておかないとまた他種族差別が生まれてしまう。

「緊急事態でやむを得ず書いてしまった部分はあるが間違いなく有効です」

 そうして向こうから確約される。

「それでは彼らは契約書の内容を守っているのか確認しに行きましょうか」

 【繋がる門】で契約者本人のところに事前予告も無しに行くことにする。【インビジブル】で完全に姿を消してから近づいてみると、

「ギャハハ!」

 そこには酒に酔った数人が群がっていた。

「戦争で負けたのに金を払わなくていいし向こうの領地には良い食い物や酒や女が沢山ある!足が付かないように盗賊になって領地や商人らを襲おうぜ!関所が無いから非常に楽で儲かる仕事だわ!!」

 そのクズらは声高に契約書の内容を軽々と破っていた。それを貴族の子供らから末端の兵士まで見せてから戻ると連れてきた人達は信じられないモノを見たかのように呆然としていた。

「これでも契約書の内容を守っていると言えるのですか?どこまでふざけたことを言っているのですか、あなた達の中身などこんな程度なのです、それで外交改善に手を貸して欲しい?寝言は夢の中で言っててください!どこまで手間を掛けさせれば気がすむのですかこの最悪野郎ども!!」

 怒声を上げる。教育や規則が緩むのは上にいる人間がそれを間違うからだ、下のほうまで目が行き届かないことは多少あるかもしれないが最低限人として守るべきモノまで欠如している。これで手を貸すなど意味など無いどころか悪人を無意味に増やすだけだ。

「契約書破りをここまで大胆に出来るのは南部の軍事力がそのまま残っているからですか?それで他国を侵略すれば黙らせられる自信があるからですか?他種族を根こそぎ滅ぼせるからですか?ねぇ、言ってくださいよ?」

「そ・・・それは・・・その」

 完全に混乱している。あまりの愚かさに言葉が出てこないのだろう。

「あ、あれは、ほんの一部だ。我々は断じて違う!」

「そういう奴らの暴走を止められなかった本人が何を言っているのですか?先に明言したはずです、あなた達も同罪だと」

 もはや完全にこちらに主導権があるのだ、溝に嵌ったのだから容赦なく叩かせてもらう。

「残念ですが人質を送ったとしても誠意とはなりません、もはや完全に手遅れなのです」

「どうにかしてください、頼みます!」

 全員頭を下げてくるのだが、

「南部の人口の半分を斬首刑にでもすればよろしいのでは?」

 手が貸せないわけではないがそれだと職権乱用になる危険性がある。

「辺境伯様しか頼れる人物がいないのです!他種族との関係改善を全力でいたしますから温情を!!」

 どうしたものか悩むことしばし。

「リーヴリルや」

 今まで無言だったシャナから提案があるそうだ。

「おぬしはわらわに言ったな。『憎しみは憎しみを呼び悲しみは悲しみを呼ぶ、不幸を振りまけばいつか自分に返ってくる』と。わらわも最初は南部の人間族を皆殺しにしようと考えておったがおぬしや平和に暮らしている人々を見て考え南部の有力者らと話してある程度は猶予を与えようと考えていたのじゃ。受け入れてはもらえぬか?」

「そうですね。かなり多くの人がまだ差別意識はありますが国家運営の最重要課題として挑んでいく必要があります。今ここで断罪を下しても国家の方針が変わらなければ同じ輩が生まれる可能性が高いです。ここにいる貴族らを援助してそういう災いの芽を早く摘み取るべきだと思います」

 ステラも同意する。ユーフォリアやリースリットも同じ判断のようだ。

「彼女達は非常に若いですがわたしに間違ったことは言わない優れた側近です、その彼女達の意見を採用してある程度までは手を貸すことを約束しましょう」

 とたんに大歓声が上がる。

 そうして話は順調に進み始める。今まで南部で使っていた法や規則はすべて白紙としてわたしが中心になってそれらを整備する。非常に簡単で分かりやすくして悪人には一切容赦しないほどにする。まだ年齢的に小さい子供でもそれを徹底させる、もちろん生まれに関わらずだ。そうして法律などが整備されると悪どい人間は容赦なく裁かれ鳴りを潜めていき徐々に他種族からも信頼を取り戻し始めていくことになる。
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