勇者育成機関で育てられた僕よりも異世界から呼ぶ勇者のほうが楽で簡単で強いそうなので無用となりました

無謀突撃娘

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2度目のヘッドハンター討伐

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早速目撃現場に向かう。全員騎馬に乗り大急ぎで向かうとそこには3体のヘッドハンターがいた。

作戦プランはこうだ。

『僕が陽動なり2体を引き付ける。その間に1体を始末して』

ヘッドハンター二体を僕が何としている間に1体を確実に倒せと。そんなことは無理だと全員から反発されたが作戦はちゃんと考えている準備を整えている。

至近距離まで近づくと僕らを認識し3体のヘッドハンターが行動を開始した。僕は袋を取り出す、中に入っているのは砂鉄だ。それをヘッドハンター目がけて振り撒き《感電》雷属性魔術で帯電した砂鉄はヘッドハンターに張り付くと途端に動きがおかしくなった。

『ががががががが』

奴らの体は高い強度の金属で出来ている。雷属性魔術だけではこうはならないだろうが砂鉄という細かい物質が体全体に張り付けばただでは済まない。その予想が当たった。

「各自役割を遂行して」

『了解』

「《全能力強化》《全能力弱体化》《戦意高揚》」

僕は先に敵味方に強化と弱体化をありったけ唱えてしまう。明らかに異常な状態になっているヘッドハンターを見て勝機ありと判断し各々全力で攻撃を叩きこむ。

「《光属性範囲魔術』レイ」「《勇ましき人形》ゴーレムども、やっつけろー」

先手を切ったのはラグリンネとエトナだった。味方の武器に光属性を付与しゴーレムを召喚して殴り合いをする覚悟だ

「《月光剣》やぁっ」「《貫通射撃術》このっ」

ミーアとエメリアは各々が待つスキルから最大の攻撃を繰り出す。

「《竜の闘志》はぁっ」「《岩石弾》えいっ」

バーゼルとシェリルも持ちうる最大の攻撃を叩き込む。

彼らは敵を一体に絞り迅速に数を減らそうとするがさすがヘッドハンター、状態異常にかかろうともその脅威は健在である。強引にこちらに目標を定めて武器で薙ぎ払おうとしてくる。その一撃を貰えばほぼ即死確定だろう。味方は騎馬の機動力を生かしつつ地道にダメージを稼ぐ

間間に持久の水薬を飲み予備の武器に取り換えたりしながら確実に。

僕も一体のヘッドハンターを相手にしている。状態異常中なので戦いやすいが高い防御力と最後まで敵を狙う無機質な殺意が厄介だ。

状態異常にかかっている間に倒さないと真正面から打ち合って勝てない、全員がその恐怖と自覚しながらひたすら攻撃を継続する。

そうして、僕と仲間は2体のヘッドハンターを倒すことに成功した。

「各自状況報告を」

全員の装備や各種水薬などを報告させる。高強度金属で作られた体は非常に手ごわく武器はほとんどボロボロになっていたし迅速に倒すため持久の水薬も使い切っていた。武器を新品に変えて矢筒を渡し持久の水薬を各自に補充する。そろそろ状態異常が切れる時間のはずだ。

そしで、最後のヘッドハンターが状態異常の枷から解放されたのはそのすぐ後だった。僕はすぐさま同じ手を使い砂鉄を振り撒き雷属性魔術で動きを止めようとするが一度目の攻撃で耐性が付いたのかそれを無視して迫ってくる。

ここからはもう純粋に殴り勝つしかない。

「ラグリンネとエトナは弱体化に専念。僕が敵の正面に出る。各自側面から攻撃を開始しろ」

『了解』

僕をセンタートップとして少し後方で右翼にミーアとエメリア、左翼にバーゼルとシェリルを配置、ラグリンネとエトナは後方に下がりヘイトコントロールをする。騎馬に乗れる四人はその機動力で回避可能だが神官二人は歩兵なので避けようがない。僕が正面に立ちターゲットを引き付ける。

「ががががが」

最後のヘッドハンターが無機質な叫びをあげる。仲間を殺された報復か復讐かその攻撃が凄まじいものだった。

ガキィン キイン バキィン。

ヘッドハンターの武器もまた高純度金属で作られており地上世界には存在しない、その強度と切れ味と怪力は重武装ですら容易く両断してしまう。地上世界の装備では打ち勝てことはほぼ不可能のその攻撃をイヴラフグラ《富と咎を成すもの》は折れず曲がらず刃こぼれせずに打ち合っていた。

この剣がなかったら僕はもうとっくに死んでいただろう。剣の魔性は際限なく膨れ上がり敵を殺せば殺すほどにその力を増していくようだ。狙った相手は絶対に逃がさないし確実な死をもたらす。

(この剣を平気な顔をして使える僕は何者なのだろうか)

ここで疑念が生まれる。

僕はあの施設であらゆる武器を使い戦い生き残り続けた。粗末な鉄の剣を渡された事もあれば稀代の名剣を渡されたり強力な呪いの魔剣やおぞましい呪いをまき散らす邪剣すらも手中に収めた。それらこれらはこの剣を使えるようにする下準備しかなかったのかもしれない。。

勇者育成機関、それはその言葉通りなのかもしれない。僕は外に出てきて図書館などで調べたが勇者育成機関など設立された記録が残ってなかったことに気づいた。非合法の組織だったのか本当に国家の闇だったのか、あの人達は今どうしてるのだろうか。許されない大罪を犯したと言っていたがそれは何だろうか。

出生の秘密を探し出せ、その言葉だけが僕の心を動かしているだけ。世界のことになんて関心はないが今僕はこうして仲間らと共に世界の脅威と戦っていた。その施設の中の人は文字通り地獄の住人と化し勇者の選別を行った。それに生き残ったのは僕だけ。彼らは組織の終焉とともに世界から消えさった。

記録のどこにも残ってない勇者育成機関、もうちょっと踏み込んで調べる必要があると感じる。

僕は戦闘中なのに気づいてその雑念を振り払う。ヘッドハンターは強くよそ見して倒せる相手ではない。

切り薙ぎ打ち払い弾き返す。攻撃のほとんどは正面の僕に集中しているが羽虫を払うかのように広い範囲の攻撃も混じる。騎乗中の仲間は何とかそれを回避しつつ絶え間なく攻撃を継続する。

全員が必死の顔をしていた。

『倒れて。倒れて。倒れてよぉ』

全員の頭の中にあるのはそれだけ。もう何度となく攻撃を食らっているはずなのに一向に動きを止めない強敵、その一撃は間違いなく脅威であり即座に瀕死に追い込むだろう。いくら機動力が高くても全部回避できるわけではないまさにギリギリの攻防の中に身を置いている。神経を擦り減らす死闘。

ここでヘッドハンターの動きが鈍りつつあった。僕はすかさずその胴体目がけて剣を全力で突き刺す。剣が突き刺さったら剣先からありったけの攻撃魔術を叩き込む。それで激しく痙攣するヘッドハンター。これを好機と見て仲間全員が攻撃に参加し全力を絞り出す。そして、ヘッドハンターは倒された。

『やった。やったんだ。私達やったんだね』

歓喜の雄たけびを仲間が上げる。

「おつかれさま」

「これで、これでもう」「悪い噂をまき散らす連中は」

「ええ。この実績の前では出てこないでしょうな」

「今までの苦労が報われます」

仲間たちは大粒の涙を流す。

ヘッドハンターほどの相手を倒せるほどのパーティには冒険者ギルド内で別格扱いとされちょっとした特権が与えられることになっている。それ自体はささやかな物だがあると無いとでは他のパーティとは明確な線引きがされるのだ。

僕は3体のヘッドハンターの遺体を《収納》して仲間とともに帰還する。冒険者ギルドは依頼達成を認め僕とラグリンネエトナは緑光玉色級に昇級しミーアエメリアバーゼルシェリルも黒鉄色級に昇級させた。

その後コテージに戻り各自休息と自由時間を楽しむ。

「依頼をお願いしたのですが」

「はい。依頼ですね。少々お待ちください」

僕らは冒険者ギルドの受付に来ていた。ただし、並ぶ場所が他とは違う。僕らが並ぶカウンターは実力と信頼のあるパーティだけが並べる方だ。他のカウンターは混雑しているが僕らが並ぶカウンターは一組しか並んでない。依頼難易度も報酬も一段高いからだ。ここに並べるというだけでちょっとした羨望の眼差しが同業者から集まる。

「急ぎだとボーン・ジェネラルの討伐を受けて欲しいのですけど」

「では、それでお願いします」

返答に喜ぶ受付嬢。早速依頼の受注が進められる。

『……』

他の連中から視線が注がれる。「なんでお前たちがそこにいるんだ」という感情が多分に混じっていた。コネで無理矢理昇級して実力が伴わないくせに、以前までだったらそうであった。しかし前回ヘッドハンターを倒したという実績が物語るように大きな壁となる。ヘッドハンターは偶然やまぐれが入り込む隙間がない強敵で実力がなければ勝てない相手なのだ。

そう、仲間はもうメッキで飾られた愚物ではなく本物の輝きを手に入れた。だから並んでいる列が違うのだ。自分らは険しい道を長い列で順番待ちさせられてるがこちらは整備された道を並ぶ必要もなく上に行ける。その差を見せつけられていた。

正式な依頼の受注が終わりテーブルで作戦を練る。

「ボーン兵が多数湧いてくることが予想される。要は神官の浄化の奇跡だ」

「私達はなるべく神官の護衛ね」

「とはいえボーン兵どもはなかなか侮れないですぞ」

「特にアーチャーは迅速に潰す必要がありますわ」

「ジェネラルがいる限り補充されますから」

ボーン・ジェネラルをいかに早く倒すかが作戦の要だ。奴がいる限り増援はいくらでも行える。回復役である神官を前に出す、その危険性。他の仲間はチマチマ戦っていては埒が明かないため敵を一掃できる浄化の奇跡を行えるラグリンネとエトナをどう守るのかその隊列と連携を考え始める。向こうも隊列や連携を行ってくる可能性は高い。

「神官の二人は縦二列にしよう。エトナが前、ラグリンネが後ろ」

「わかりました」「りょーかい」

浄化の範囲威力はラグリンネのほうが高いが前に出す危険性を考えるとエトナのほうがいいだろう。物理戦闘ではエトナのほうが上だからだ。

戦術と算段が付いたので現場に向かう。敵は夜にならないと現れないので周囲を警戒しつつ夜を待つ。ボーン・ジェネラルとその周りにボーン兵たちが多数現れる。

「《浄化》」

ラグリンネとエトナは交代で浄化の奇跡を行い敵を一掃するがボーン兵たちは次々現れる。が、さすがに実力と自信をつけた味方の前に徐々に押され始める敵。実力のある神官が二人もいれば敵の一掃も速い。しばらくすると護衛がいなくなり自分で対応するしかなくなるボーン・ジェネラル。すぐさま仲間は集中攻撃を行いとどめを刺すことに成功した。

おつかれさまでした。
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