最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘

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ゲーム開始時編

裏社会への入門 後

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あの後、しばらく頭の中で考える。多分あれは連鎖型のクエストであり断ればもう二度と出来ないだろう。クエストの条件と見事に合っている。

これを続けて裏社会で活躍するか、それとも知らなかったことにするか。

「お姉ちゃん」

「あら、薫。どうしたの?」

「お姉ちゃん達も同じゲームをしてるけどさ」

たとえゲームの中でも悪いことをして良いのか?と。

「確かに、悪いことは悪いことよね」

「そうよね。あまり良くないわね」

二人は常識的な答えを出した。

「でも、誰でも悪いことをすることに快感を覚えることは多いわよ」

海外のゲームはどんなに悪いことでも体感させてくれる爽快さに溢れていると。これまでゲームなどしたことがない僕には分かりづらかった。

「このゲームにもPK(プレイヤーキラー)という要素があるわ。誰かしら悪事を働こうという考える人は多いのよ」

そうした要素を取り入れているのならばそれも仕方が無いと。

そういうことなら調べてみよう。

ちょっと動画を見たけど海外のゲームはすごいなぁ、そう感じてしまう。誰かを殴れば自分も殴られる、拳銃を町で撃てば通報される。そうしたことがハッキリとしている。

オンラインゲームの中でもそれは存在しているしそれに熱中している人も数多い。

よし、これで悩みは消えた。

すぐさまあの賭博場に行って昨日の親分と話したいと伝える。そうして道とは分からない道を歩き昨日の家に着く。

「よう来なはったなぁ、で。どうするんや?」

「お引き受けします」

「ほんまか!よう決意しなはったなぁ」

「ただし、いくつかの条件を出しますが」

まず一つ目に冒険者であるため出来うる限り表立った接触を避けること、二つ目は裏社会への繋がりを出来る限り見せないこと、3つ目は働きに見合う報酬を用意すること。

「それぐらいは当然の報酬なや、すぐに用意させるんよ」

「早速ですが仕事に取り掛かりたいと思います」

例の店の中を確認できるのか、それが重要だ。

「あんさんは変装も出来るんやろうけど案内役がおらんと無理やなぁ」

指定の時刻まで待てと。

そうして待つことに待ったのだが。

「お待たせしました」

来た人物は女性、しかもえらくメリハリのあるボディで派手の服装だった。

「レムと言います」

外見は派手だが言葉遣いはしっかりしている。ゲームだからかな。

「お金はこちらで用意しました」

向こうから入場料を出すようだ。

「別にいらないと思うんだけど」

「あの店は入店するにも結構使うんですよ」

では、早速向かうとするか。

「先に言うけど。どんなゲームしてるのか分からないから」

出来る限り損失はしないようにするが相手次第だと。

そうして問題の賭博場に向かう。

外見はかなり大きな家でありいかにも金持ちという感じがするな。近づくと店の扉が勢いよく開かれる。

「この文無しが!さっさと出て行きやがれ!」

そこには下着まで剥ぎ取られた男と屈強な男数人が出てきた

「お願いします!お願いします!借金でも何でもしますから、店を返してください!」

「あの店はもう親分様の物なんだよ!このスカンピンが!」

そうして強引に追い出されてしまう。

「(これが日常?)」

「(ええ)」

何もかも奪い取り裸で追い出す。何度と無く見られる光景だそうだ。

「(早く潰さないと路頭に迷う人が増える一方なんですよ)」

あの親分だけではなくほかの人々からも敵意を持たれているそうだ。だけども町長のお墨付きがあるために手が出せない。

絵に描いたような悪人。

決意を新たにして店に入ることにする。外見は変装で大分年を得た感じにしている。

「おいおい、ここがどこだか分かってるのか?」

こちらに気が付いた男らがジロジロ見てくる。すかさず賄賂を渡す。

「こりゃあ、お客様でしたか。当店で夢のような時間をお楽しみください」

先ほど非道を働いたことなど見せず堂々とした雰囲気となる。そうして店の中に入る。

「派手だねぇ」

店の中はチカチカして眩しい。夜の世界ではこういうのが普通なのだろう。

「どれをしましょうか」

まずは一切金には手を付けず見に徹する。ここに来る前に情報は可能な限り仕入れてきたからだ。

1時間ほどゲームを見続ける。周囲からは「臆病者!」という野次も飛んでくるが勝つためには勝つための方法を踏まなくてはならない。

それを行ってからゲームに参加する、この前の賭博と同じブラックジャックだった。

それから2時間後、

「21」

「くっ、この野郎・・・」

親は明らかに怒っていた。

このゲームは単純に21に近い数字を出せば勝ちだがオーバーすればドボンとなる。そうなるとルールによる制約が利いて来る。子は21が出れば普通は勝ちだが親が同数なら親の勝ちになる。親がオーバーすれば子はその場で勝ち。また引いた枚数が多いほど掛け金が増える。

問題となるのはカードを分配するのが必ず親ということ。もしイカサマが入れば勝つのは不可能だが幸いにもこの親にはそうした技術など持ち合わせていないことを分かっている。だから単純に運の勝負になるが僕が持っている天運に勝てるスキルなどまずありえない。

もちろんそれだけでは手痛い負けもあるので【短時間記憶術】のスキルを修得している。スキルレベルに従い記憶できるものが増えるというあまり意味の無いスキルだがカードの位置を全て記憶できる余裕がある。どんなに細工してもカードの位置を全て覚えてしまえば負けなど来ることが無い。

そうして僕のすぐ傍にはコインが山のように積みあがっていく。それをさらに高いコインに換金しひたすら勝負を続けていく。

それから2時間後。

「よし、帰ろう」

僕は勝ち続ける勝負を切り上げて帰ることにした。

「テメェ、勝ったまま逃げる気か?」

ゴツイ男らが数人で囲い込む。

「あれ?ここでは客がいつ切り上げてもいいはずだよね。お店の従業員なら教育はされてるはずだと思ったんだけど」

「あいにくとなぁ、見過ごせない出来事ってのが世の中にはあるんだよ」

そいつらは店に持ち込めないはずの武器を持っていた。

「そっか」

「そうそう、こちらの言う」

「カモン!モンスター達」

僕は召喚スキルでモンスターを呼び出す。調べて分かったのだがここではモンスターの召喚は禁止されていない。普通の戦力ではこいつらには勝てないだろうが圧倒的なステータスを持つモンスターが相手では話は別。存分に暴れてもらおう。

「ヒィッ!?な、ななな、何でこんなモンスターが!」

「武器の持込が出来ないならモンスターを持ってくればと思ってね」

「この野郎!」

そうして客がいる中で戦闘が始まる。だが、こいつらのステータスはいくら高かろうと所詮NPC、僕が育てたモンスターに勝てるはずも無い。あっという間に制圧が終わる。

「レム、すまないけど隠れて付いて来ている人たちを呼んできて」

「知っていたのですね」

分かりました。そうしてレムは外に出て行く。

ここに来る前から隠れて付いて来ている人たちがいるのを理解していた。多分場合によれば口封じという意味もあるのだろう。レムは監視役兼暗殺者だった。いくら能力があろうとも初対面で信用しろなど不可能だよね。

店を制圧し客が一人も逃げ出さないように見張っているとあの女性親分がやってきた。

「お兄はん。こんなに早く店を潰す口実を手に入れるなんて。見込んだだけのことはあるわ」

「この嘘吐き。場合によれば知らぬ存ぜぬで逃げる計算を立てていたのに」

「それについては裏家業の暗黙の了解とでも答えるしかないなぁ。ほんなら、目的の物、確保せんと」

そうしてオーナーの部屋まで向かう。

「何だ?次はどこ・・・、!?」

「オーナーはん。しばらくぶりでんなぁ」

「な、なんで、お前がここに」

「お前はんの経営に他の親分からも怒りが出てなぁ。今夜限りで消えてもらうんや」

そうして連れて来た仲間らで捕縛してしまう。

「くっ!だが、俺を捕らえたとしても町長からの委任状を取り上げなければ店はいつでも再建」

「それの問題も解決済みやわ」

僕に合図を送る。前のクエストの時と難易度は殆ど同じ、いけるな。

すぐさま金庫の錠前を弄る。5分ほどで鍵は開いた。

「なぁっ!?」

オーナーは信じられないものを見たかのように仰天していた。

「これが町長の委任状かえ。えらく簡素な物やなぁ」

「それは!それだけは!」

オーナーからすれば命にも代え難い物だろう。

「安心なはれや。これを使ってうちらが奪い取ったものは全部元の持ち主に返したるわ。ついでにな、借金の清算を行う予定や」

「借金だと?」

「色々あるやろが。貴族などへの賄賂から理不尽に取り上げた金まで、それらこれらは全て町長に清算させるんよ」

「そんなことをしたら町長は追放されるぞ!」

「安心なはれぇ、次の町長は人徳厚き方や。以前から私腹を肥やしていたお前らを排除するよう裏の世界にも指令がだされておるんよ」

「・・・」

オーナーはもはや血の気が引いて死体のような色になっていた。

「ほんならこの店は今日でおしまいや。向こうに行ったらあんじょう気張って働いてや」

そのオーナーというNPCとそれに追従していた者らはすぐさまゲームから一斉に消え去ってしまう。ゲームだからいいんだろうけどこんなに一度に消えたら違和感を覚えるだろう。もっともこれは裏の世界のことなので表の事しかしらないプレイヤーには何の影響も無いわけだ。

町長の交代ということもプレイヤーの大半は知らないことになるのだ。

すぐさま他のキャラ達は証拠品の収集を始める。

「けっこう借金たまっとるなぁ、鉱山労働者増やして補填せんとあかんな。貴族への賄賂も回収させんと帳簿が火の車やわぁ」

この女親分にはネームは無い、だけど、それはまるで現実の人のように感じてしまう。

その違和感が本物かどうか確認するため、

「呪印」

女親分にスキルを使う。するとそれはまるで陽炎のように消えてしまう。するとシステム音声が聞こえる。

「『この人物はGM(ゲームマスター)です。一般プレイヤーは攻撃不可能です』」

「やっぱり」

「あんはん、見込んだ以上にやりおるなぁ。ほんまに」

その女親分は少し困ったような笑顔をした。すごい美人だなと、改めて思ってしまう。

「さっき確認したとうり、うちはGMや。以後見知りおいてや」

「なぜこんなことをしてるんですか」

普通はイベントの時しか出てこないと書いてあるが。

「まぁ、普通であればやな。ところが現実にはそうはいかんことも多いんよ」

システムの大幅改善に伴う不具合や調整、その他諸々のイベントやクエストの調整などに出張っているそうだ。

「このクエストが良くも悪くもその例や」

ゲーム開始時点では手が届かない大金に加え厳しいスキル条件、さらに賭博場での勝負の本質を見極められるのか?ゲーム製作者の中でも賛否両論分かれたそうだ。

「最近、海外のクライムアクションとかいうゲームに押されっぱなしでな、この国には過去に無数の名作を出した会社があるのに最近は利益追求ばかりで中身が伴わんゲームに大金を出しているんや」

そうしたゲームは簡単に見放されると。開発者たちは危機感を持っていたわけだ。

「だけども海外ゲームの気風を読めん連中や見よう見まねで改悪にしてしまう場合も多いし、このゲームではそうした分析も兼ねての発売や」

ユーザーへのサービス向上だけではなく、どうしたら互いに満足できるのか。そうした試験場でもあるわけだ。

「んで、うちらががんばっとるっちゅ訳、そこんところ理解しておいてや」

「クエストの進行で必ず会うキャラを使うのはどうかと思いますが」

「そこら辺は堪忍な、社長命令やよって」

「はぁ」

「こんなクソクエストこなすような輩は皆無と思って女親分として気楽にしてたんやけど」

「そりゃ、どうも」

「GMであるうちには一般プレイヤーのスキルを見る権利もあるんやけどアホみたいなスキル構成やな。βの時の攻略法が広く知れ渡っておるんにそれらこれら全部無視しとるし」

そりゃあ初心者ですから。

「正式サービスでは不遇スキルに大幅なテコ入れをしたんはプレイスタイルを自由にするための措置なんやけど、ようここまで徹底したもんや。まぁ、このぐらい特殊な構成でないとクリアは無理難題やけど」

「ゲームを開始してからも色々言われましたよ」

賞賛する人もいれば役立たずだと見下す人もいたな。

「今更になるんやけとネタ晴らしや。このクエストは単純に戦闘スキルを寄せ集めるだけではあかんし盗賊系スキルもかなり高うないとかならず行き詰るようになっているんよ。それに加えてクエストを進行させるためにはかならずギャンブルに強うないと負けゲームを仕組まれているという無理難題なんや」

真面目に攻略するのであれば相当な人数を集めないとクリアできない大人数PT必須のクエストであると。それを単独で突破するなど開発者は誰も想定していなかったそうだ。

「うちはこの方面のクエスト全般を受け持ってるんやけど正直クソいと嘆いていたんや。正体の分からん報酬のためにセコセコ働くなんて楽しいゲームの雰囲気ぶち壊しやと」

会社というのは第一に利益を上げないと次が作れないのだからそれも当然だと考える。

「うちは厄介者として窓際に追いやられたんやないか、そう思い始めた頃にあんさんが来たわけや」

「興味本位で来ただけだけなんですけど」

正直それだけである。

「『無知とは何も知らぬということ、だからこその強み』かや、以前社長らが言ってたことやけど攻略や効率など一切全て無視することで生まれる強さ、楽しさもあるんやな」

「何か言いましたか?」

「気にするなや、ただの独り言や」

「これでクエストは終了ですね」

「すまんが、にいさんにはもう少し付き合う必要があるんよ」

なんで?もうクエストの条件はクリアしているはずだ。

「クエストの中身をもうちょい深く考えれば分かるはずや、『町の賭博場を手に入れろ』がクエストの本題や。だけども、現在2つ目以降の町へのルートは誰も解放しておらへん。ここは表に出せる唯一の賭博場や。それの実権を手に入れること、それでようやく完了や。にいさんはまだそれを手に入れておらへんのよ」

「え?それって?」

「諦めなはれや。それもこれもクエストの報酬や、うちらの賭博は人知れずにやるタイプやがあんたのは表舞台に出せる本物や、もうしばらくしたら町長交代の報と共にこの賭博場の所有権を与えられるやろ」

「そんなぁ~!」

まだ成人前の僕が賭博場の所有者、だと?夢なら覚めて欲しかった。
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