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ゲーム開始時編
未成年の賭博場オーナー2
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ネームドを作成してからしばらく経つが経営には一切の問題は起こらなかった。プレイヤーの僕にはゲームを出来る時間に制限がある。だけど、ゲームの中の人にはそれが無いのだ。
あれから何度か挑戦者が来たがネームド達は全て追い払っている。そして、彼らは今日もカジノを盛り上げる。
「お客様、今日もキラのショーをお楽しみください」
キラは舞台の上でマジックショーをしていた。
単純にゲームだけに特化させても良かったのだがそれでは面白くないと考えて、日替わりでゲーム以外のことが出来るようにしたのだ。キラとオーウェンはマジックショーを、ベラルザとルウェインは劇の役者をしている。交代制にすることで空きが来ないようにしたのだ。
これが見事に当たり彼らを見るためだけに客が入るようになったのだ。でも、せっかくのカジノで遊ばないと面白くない。だけどもお金が無い。そうした人たちのためにレート制限を設けることにしたのだ。
レート制限をすると掛け金が10分の1になる、それ専用のコインも用意している。これぐらいまで下げれば数回は気軽にゲームを出来るし勝てばそこそこのお金になる。
実はレート制限をしていなければ入手不可能なアイテムも用意しようと考えているのだ。カジノにはコインと引き換えに入手不可能なアイテムが無数にある。そうなると店を拡張しないといけないし品物を安定して入手するルートを押さえておかないといけないが。
そう考えているとミカさんからチャットが届いた、何でも狩りにいくらしい。ここのところカジノの経営ばかり見てたから気分転換に行くことにした。
「なぁなぁ」
「何ですか」
「2番目の町にオープンしたカジノのことは知ってるか」
そりゃあオーナーですから。
「最初老人のオーナーが登場して『勝つのは容易い』って考えが大多数だったんだけどすぐさま変わっちまった。ルールは一般的なブラックジャックだがえらい強いんだ。あまりの隙の無さに『チートジジィ』とか『狂える老骨』だとか。悪評ばかりが先に行くようになったんだけど」
そんな話はすぐさま上がってたけど最近は中身が変わっちまったんだと。
「オーナーに勝負せずに単純に楽しむためならあそこ以上の場所はありえないってすぐに考えが改められた。ショーに料理にゲームだって見てるだけで面白いし」
そうなるように変えたからね。
「徐々にそうした考えが主流になりかけた時に四勇士だぜ。ありゃあ反則だよ」
どのように。
「NPCは所詮NPC、機械的な行動しか出来ないって考えが多いけど。日替わりでショーやゲームに出る4人の噂を聞いて行ってみたけど、たとえ機械的なものでも人を喜ばせるのにそんなに差は無いんだって思うように感じたよ」
「へぇ」
「キラは無邪気な子供、オーウェンは完成された紳士、ベラルザはお姫様、ルウェインは王子様、役作りがしっかり出来ていて見ていて飽きないよな」
ふむふむ。
「現実ではあそこまでされると無機質に感じるけどゲームの中なら醜い部分を見なくていいし。夢を見れるよな」
「そうですね」
「NPCだから出来ることは限られるけどよく作りこまれてるよ」
実際僕もあそこまでうまくいくとは思ってなかった。
「今はギルドの設立と3番目の町への攻略を進めてるけど、向こうにもあるのかなぁ。カジノ」
設定ではあるのだと思う。オーナーが誰かは分からないが。
「おっと、今は狩りに集中しないとな」
そうしてミカさんとの時間が終わると思ったのだがこの後に大問題が発生する。
「「カオル、カジノに行きますよ」」
強引に引っ張っていくライナさん、なんだか押しがいつもより強い。そしてミカさんもそれに同調する。
「どうしたんですか」
「カジノの換金できる品が大幅に入れ替わっているのです。品数限定の物もあるから急いで確保しないと」
「そうだな。カジノの品の中身が大幅に入れ替わってることは他の攻略組や情報屋に嗅ぎつけられるとまずい」
ちょっと前に品物を多数入れたのをもう聞きつけたようだ。
「低レートでも高レートでも有用なアイテムが数多いのです。カオルの能力で勝つのです」
「カオルのスキルなら敵なしだろ。四勇士やオーナーは別だがな」
自分のカジノで遊んでも利益は増えないんだけど。付き合いだから仕方が無いか。でも、嫌だなぁ。
「所持金はどれぐらいありますか」
二人揃ってざっと数字を出される。それから欲しいものを聞く。購入できるのは6割ぐらいだ。この際交流を増やしたいと考えていたのでそちらの生産者らとある程度の交流を条件につけて勝つことにした。
そうしてカジノに行く。
「よし、品物はまだありますね」
二人は入場料を払うといち早く必要な分だけコインに交換してアイテムを多数購入していく。ドロップ品などが多いがモンスターの力で化工した品も同じくらいある。それだけ品不足なのだろう。
そして最低限のコインを残してから、
「「さぁ!勝って来てください!」」
二人揃ってお願いされる。
おかしな話だがここで断ると関係にヒビが入ると考えて仕方なくカジノで遊ぶことになった。
2時間ほどで予定していた品物は全て購入し終え、
「はー、メチャクチャ勝ったな。これで資金に余裕が出来たよ♪」
「フンフーン♪これだけ在庫を確保していればしばらくはやりくりに困りません」
二人はとてもご機嫌だった。あれだけ荒稼ぎしたのだから当然だろう。「勝負を継続しろ」と横から言われたが反論して切り上げた。交流関係継続のためとはいえ自分の店を自分の手で潰しては意味が無い。
二人はカジノが無制限に金を持っているシステムが運営していると思っているようだが実際にはプレイヤーの手に委ねられていることは知らないだろう。
このままでは僕の能力を使って楽をするという考えが生まれてしまう、そう考えて以前会ったGMの女親分に相談に行くことにした。
「にいさん、また来てくれはったんやね」
さしたる苦労もなく再会する。彼女はこの方面のクエストを進める上で必ず会うよう設定されているが中身は人間である。しかもゲームを運営している側の立場だ。そうした部分で相談するのには最適の人物だった。
ただ、この言葉遣いは素なのか演技なのかは分からないが。
「経営しているカジノの評判はもう耳にはいっとるよ、えろう手を入れて評判はすごくいいわ」
会ったことは無いが裏の親分達も以前とは違うまともな経営をして周囲に金を流してるので手を下す必要は無いと判断し大人しくしているそうだ。この手の人は出てくると騒動になるという問題もあるのだろうが。
「ゲーム運営側もこれだけ客を楽しませる模範的な施設は無いと判断して好意的に受け止めとるわ、ゲーム製作に関わっとる身としては喜ばしいことやわ」
「実は、そのことで相談したいことがあって」
「? なんや、八方丸く収まった立派な経営なのに不満あるんか?」
苦労を重ねて実力でもぎ取ったカジノの経営権をどうにかしたいのかと。
本音を隠さずに話すことにした。
30分後。
「なるほどなぁ。有力な攻略組と親しくつきおうてるがどうも最近にいさんに頼りがちになっている、頼られるのは嬉しいんやがおんぶに抱っこになりかねないからどうにかしたいと」
「そうなんです」
「にいさんは若い上に経験も不足してるんなぁ、嫌なら嫌と断ればええのに。なまじ真面目なプレイヤーやからこその悩みやな」
「はぁ」
「二人は女やろ、男ならな『俺に不満を言わせようものなら別れろ』って言えるぐらいの気構えで生きなあかんで。それが男の生き様であり誇りだと、うちは思うんよ」
「年上の女性にそんなことは」
言うのはとても難しい。
「とはいえ、せっかく評判の良いカジノを潰すのは惜しいし、オーナーが女の言動に左右されてはゲームの中とはいえ問題やな。よっしゃ」
うちが手を打ったると。
「どうするのですか?」
「プレイヤーの名前はタケミカヅチにライナ、これで間違いないなぁ」
はいと答える。
「あの2番目の町に出入りしているプレイヤーは全て把握してるんよ、ちっと熱を冷ましてやらんとな」
後のことは任せとけと。
それからしばらく後。
「姉御、やっぱ盗賊系のスキルはそう簡単には上がりませんぜ」
「やっぱりなぁ、使用回数が多いんで5人に無理して覚えさせたんだが」
タケミカヅチはまったく成果が上がらないスキルの愚痴を言う。カオルと別れてから盗賊スキルを覚えるメンバーを選出しスキル上げをさせているのだが結果は損失ばかり。ひたすら回数を重ねるだけではなく成功回数のあるので時間がかるのだ。町のNPCにするという方法もあるのだがバレると好感度が下がり品物を売ってもらえなくなるデメリットが大きい。
様々な方法を試しているのだが上手くいかない。
「ミカ、そちらのほうはどうですか」
ライナがやってきた。
「ライナか。こっちにきたってことはそっちも同じか」
「ええ、結果は芳しくありません」
向こうも同じ状態のようだった。
「初期クエストを受ける条件にすら手が届いてない、というか、ここまで難しいクエストが初期にあるのはおかしいと思い始めたところさ」
「こちらもです。専属的にやる連中もいますが」
二人揃って悩む。
「アイテムの名前に関係するのは今のところあのカジノだけだ。ってことはこのアイテムはそうした方面の繋がりを持つための物だとは分かる。分かるが」
「条件がまだ開始してわずかでは」
「だよな」
「するとカジノをプレイヤーが所持できると考えるのがスジなのですが」
そうなると越えられない壁が見えてくる。これまでの歴史でゲームに登場してきたカジノはデフォルメされていて万人向きであり低年齢でも受け入れやすい。しかし、このゲームに存在しているカジノは外国の大規模カジノのような絢爛豪華かつショービジネスの要素を全面的に取り入れている。
実際に行ってみたがとても仮想ゲームの中とは思えない作りでありNPCなどもそれ相応の服装をしている。冒険者の設定であるプレイヤーは「田舎者」と思うしかないほどだ。
二人は方向こそ違うが名前が挙がる攻略組である、でも賭博に関してはさしたる知識も経験も無い。
モンスターを倒したり素材集めなどは出来るがギャンブルなど素人なのだ。
それもそこらで気軽にやるようなものではなく金のかかった施設と道具をふんだんに使ったような場所で平常心など保てるはずが無い。
どうかんがえても勝負になるはずが無かった。
「オーナーや四勇士の勝負の風景は短いながら動画にありますが付け入る隙が見つけられません」
「こっちもそっち方面の人材なんてどこにもいないよ」
オンラインゲームにもカジノとかはあるが普通そんな遊びなどしない。
頭を悩ませていると、
「タケミカヅチとライナ、やな」
仲間らに相談しようとするととんでもない美女が近づいてきていた。
「「あなた、誰」」
「少しばかり余人を交えずに話をしたいんよ。受けてくれるかや」
これはそこらにいるNPCではないと判断し仲間は全て遠くまで行くよう指示を出す二人。
「あなたは、普通のNPCではありませんね」
こちらから話すのではなく向こうから話しかけてきた、外見も完全に違う。
「素性を明かせば裏世界の顔役、そう思ってかまへんよ」
「それが何の用件でしょうか」
「ゲーム運営側から忠告を与えにきたとでも言おうかの」
「「っ!」」
これはNPCではなくPC、それもゲーム運営側からの人物だと判断した。
「お二人は攻略組として活躍してなはる、それはそれで嬉しいんやけど。ちっとばかりゲーム規則を見直すべきやとおもうての」
「「ゲーム規則?」」
確かに、開始する時に目を通したが飛ばした部分もある。
「『ゲーム内において自由意志を尊重するために他者を拘束束縛することを禁ずる』って一文があるやろ。お二人は少しばかり他者を所有物と見なしている行動が見受けられるでの、そのことがゲームをする上での楽しみを減らしておるように思うての」
「「それって」」
言葉にこそ出さないが間違いないだろう。
「頭の中に真っ先に浮かぶ人物がおるやろ、その方は誰よりも早くお二人を悩ませているクエストをクリアした、その結果をもって新しい要素をゲームの中に開放したんや」
もうおわかりやろ?と。
「お二人やそれ以外のプレイヤーにはクエストを突破すればそれ相応の報酬を用意させてるんやがあくまで二番目や、時間はかかるやろうけど諦めずがんばってや」
「「・・・」」
「そんで本題に入るんやけど。かの方は裏世界での評判も良くての、色々と便宜を図っておるんや。その本人が軽く愚痴を漏らしての。たわいない話なのじゃが効率ばかり追求しておるプレイヤーには悪いんやが、ちっとばかり緩んだネジを締める必要が出てきたんよ」
「「私達もですか?」」
「現時点での判断としては接触しておるのかあやふやになるが今後の行動次第ではそれに見合う対応となるな。文句は受け付けぬぞ。なにしろプレイヤーは今後も無数に来る予定でおるのじゃからな」
一人二人アカウントを強制凍結させて消しても問題にはならないと。
「運営側のサポートや監視は人知れずじゃが確実に行われておる。証拠を握られてるのに勝てる道理もなかろうよ」
つまり、どう勝負しようが勝てないと言っているのだ。
「こちらが言いたいことはゲームの中でも現実でも人付き合いには礼儀があり節度をもってやれということだけじゃ、後はそちらで判断されると良かろう。要件はそれだけじゃ」
「「・・・また、会うことは出来ますか」」
「うちはこの方面のクエストをこなす関係上絶対に避けて通れないよう設定されておる。あとはお前さんら次第じゃ」
そうして美女は去っていった。
「あれ、間違いなくカオルのことですよね」
「って、ことはカオルは」
それ以上は口に出せない。出そうものなら即座に来るべき人が来る。
「ここ最近は便利すぎて連れ回しすぎたからなぁ」
「そうですね」
都合の良いNPCと勘違いしている部分は反論できない。
「カジノから出る時嫌そうな顔もしてたしな。そりゃあそんな立場にいたらそうなるよな」
「そうですね。もう少しカオルの言い分も聞くべきでした」
大人しく気弱な性格だから引っ張っていたのだがこんな忠告が来るということは運営側も重要なプレイヤーに位置づけているのだろう。
「どうすっか。カオルがいないとアイテムドロップが格段に難しくなるぞ」
「頻度は減らすべき所は減らし言い分も出来るだけ聞きましょう」
カオルにばかり負担をさせていたので猛反省する。あと、カジノには出来るだけ誘わないと誓う。そうして二人はまた攻略に頭を悩ませることになる。
あれから何度か挑戦者が来たがネームド達は全て追い払っている。そして、彼らは今日もカジノを盛り上げる。
「お客様、今日もキラのショーをお楽しみください」
キラは舞台の上でマジックショーをしていた。
単純にゲームだけに特化させても良かったのだがそれでは面白くないと考えて、日替わりでゲーム以外のことが出来るようにしたのだ。キラとオーウェンはマジックショーを、ベラルザとルウェインは劇の役者をしている。交代制にすることで空きが来ないようにしたのだ。
これが見事に当たり彼らを見るためだけに客が入るようになったのだ。でも、せっかくのカジノで遊ばないと面白くない。だけどもお金が無い。そうした人たちのためにレート制限を設けることにしたのだ。
レート制限をすると掛け金が10分の1になる、それ専用のコインも用意している。これぐらいまで下げれば数回は気軽にゲームを出来るし勝てばそこそこのお金になる。
実はレート制限をしていなければ入手不可能なアイテムも用意しようと考えているのだ。カジノにはコインと引き換えに入手不可能なアイテムが無数にある。そうなると店を拡張しないといけないし品物を安定して入手するルートを押さえておかないといけないが。
そう考えているとミカさんからチャットが届いた、何でも狩りにいくらしい。ここのところカジノの経営ばかり見てたから気分転換に行くことにした。
「なぁなぁ」
「何ですか」
「2番目の町にオープンしたカジノのことは知ってるか」
そりゃあオーナーですから。
「最初老人のオーナーが登場して『勝つのは容易い』って考えが大多数だったんだけどすぐさま変わっちまった。ルールは一般的なブラックジャックだがえらい強いんだ。あまりの隙の無さに『チートジジィ』とか『狂える老骨』だとか。悪評ばかりが先に行くようになったんだけど」
そんな話はすぐさま上がってたけど最近は中身が変わっちまったんだと。
「オーナーに勝負せずに単純に楽しむためならあそこ以上の場所はありえないってすぐに考えが改められた。ショーに料理にゲームだって見てるだけで面白いし」
そうなるように変えたからね。
「徐々にそうした考えが主流になりかけた時に四勇士だぜ。ありゃあ反則だよ」
どのように。
「NPCは所詮NPC、機械的な行動しか出来ないって考えが多いけど。日替わりでショーやゲームに出る4人の噂を聞いて行ってみたけど、たとえ機械的なものでも人を喜ばせるのにそんなに差は無いんだって思うように感じたよ」
「へぇ」
「キラは無邪気な子供、オーウェンは完成された紳士、ベラルザはお姫様、ルウェインは王子様、役作りがしっかり出来ていて見ていて飽きないよな」
ふむふむ。
「現実ではあそこまでされると無機質に感じるけどゲームの中なら醜い部分を見なくていいし。夢を見れるよな」
「そうですね」
「NPCだから出来ることは限られるけどよく作りこまれてるよ」
実際僕もあそこまでうまくいくとは思ってなかった。
「今はギルドの設立と3番目の町への攻略を進めてるけど、向こうにもあるのかなぁ。カジノ」
設定ではあるのだと思う。オーナーが誰かは分からないが。
「おっと、今は狩りに集中しないとな」
そうしてミカさんとの時間が終わると思ったのだがこの後に大問題が発生する。
「「カオル、カジノに行きますよ」」
強引に引っ張っていくライナさん、なんだか押しがいつもより強い。そしてミカさんもそれに同調する。
「どうしたんですか」
「カジノの換金できる品が大幅に入れ替わっているのです。品数限定の物もあるから急いで確保しないと」
「そうだな。カジノの品の中身が大幅に入れ替わってることは他の攻略組や情報屋に嗅ぎつけられるとまずい」
ちょっと前に品物を多数入れたのをもう聞きつけたようだ。
「低レートでも高レートでも有用なアイテムが数多いのです。カオルの能力で勝つのです」
「カオルのスキルなら敵なしだろ。四勇士やオーナーは別だがな」
自分のカジノで遊んでも利益は増えないんだけど。付き合いだから仕方が無いか。でも、嫌だなぁ。
「所持金はどれぐらいありますか」
二人揃ってざっと数字を出される。それから欲しいものを聞く。購入できるのは6割ぐらいだ。この際交流を増やしたいと考えていたのでそちらの生産者らとある程度の交流を条件につけて勝つことにした。
そうしてカジノに行く。
「よし、品物はまだありますね」
二人は入場料を払うといち早く必要な分だけコインに交換してアイテムを多数購入していく。ドロップ品などが多いがモンスターの力で化工した品も同じくらいある。それだけ品不足なのだろう。
そして最低限のコインを残してから、
「「さぁ!勝って来てください!」」
二人揃ってお願いされる。
おかしな話だがここで断ると関係にヒビが入ると考えて仕方なくカジノで遊ぶことになった。
2時間ほどで予定していた品物は全て購入し終え、
「はー、メチャクチャ勝ったな。これで資金に余裕が出来たよ♪」
「フンフーン♪これだけ在庫を確保していればしばらくはやりくりに困りません」
二人はとてもご機嫌だった。あれだけ荒稼ぎしたのだから当然だろう。「勝負を継続しろ」と横から言われたが反論して切り上げた。交流関係継続のためとはいえ自分の店を自分の手で潰しては意味が無い。
二人はカジノが無制限に金を持っているシステムが運営していると思っているようだが実際にはプレイヤーの手に委ねられていることは知らないだろう。
このままでは僕の能力を使って楽をするという考えが生まれてしまう、そう考えて以前会ったGMの女親分に相談に行くことにした。
「にいさん、また来てくれはったんやね」
さしたる苦労もなく再会する。彼女はこの方面のクエストを進める上で必ず会うよう設定されているが中身は人間である。しかもゲームを運営している側の立場だ。そうした部分で相談するのには最適の人物だった。
ただ、この言葉遣いは素なのか演技なのかは分からないが。
「経営しているカジノの評判はもう耳にはいっとるよ、えろう手を入れて評判はすごくいいわ」
会ったことは無いが裏の親分達も以前とは違うまともな経営をして周囲に金を流してるので手を下す必要は無いと判断し大人しくしているそうだ。この手の人は出てくると騒動になるという問題もあるのだろうが。
「ゲーム運営側もこれだけ客を楽しませる模範的な施設は無いと判断して好意的に受け止めとるわ、ゲーム製作に関わっとる身としては喜ばしいことやわ」
「実は、そのことで相談したいことがあって」
「? なんや、八方丸く収まった立派な経営なのに不満あるんか?」
苦労を重ねて実力でもぎ取ったカジノの経営権をどうにかしたいのかと。
本音を隠さずに話すことにした。
30分後。
「なるほどなぁ。有力な攻略組と親しくつきおうてるがどうも最近にいさんに頼りがちになっている、頼られるのは嬉しいんやがおんぶに抱っこになりかねないからどうにかしたいと」
「そうなんです」
「にいさんは若い上に経験も不足してるんなぁ、嫌なら嫌と断ればええのに。なまじ真面目なプレイヤーやからこその悩みやな」
「はぁ」
「二人は女やろ、男ならな『俺に不満を言わせようものなら別れろ』って言えるぐらいの気構えで生きなあかんで。それが男の生き様であり誇りだと、うちは思うんよ」
「年上の女性にそんなことは」
言うのはとても難しい。
「とはいえ、せっかく評判の良いカジノを潰すのは惜しいし、オーナーが女の言動に左右されてはゲームの中とはいえ問題やな。よっしゃ」
うちが手を打ったると。
「どうするのですか?」
「プレイヤーの名前はタケミカヅチにライナ、これで間違いないなぁ」
はいと答える。
「あの2番目の町に出入りしているプレイヤーは全て把握してるんよ、ちっと熱を冷ましてやらんとな」
後のことは任せとけと。
それからしばらく後。
「姉御、やっぱ盗賊系のスキルはそう簡単には上がりませんぜ」
「やっぱりなぁ、使用回数が多いんで5人に無理して覚えさせたんだが」
タケミカヅチはまったく成果が上がらないスキルの愚痴を言う。カオルと別れてから盗賊スキルを覚えるメンバーを選出しスキル上げをさせているのだが結果は損失ばかり。ひたすら回数を重ねるだけではなく成功回数のあるので時間がかるのだ。町のNPCにするという方法もあるのだがバレると好感度が下がり品物を売ってもらえなくなるデメリットが大きい。
様々な方法を試しているのだが上手くいかない。
「ミカ、そちらのほうはどうですか」
ライナがやってきた。
「ライナか。こっちにきたってことはそっちも同じか」
「ええ、結果は芳しくありません」
向こうも同じ状態のようだった。
「初期クエストを受ける条件にすら手が届いてない、というか、ここまで難しいクエストが初期にあるのはおかしいと思い始めたところさ」
「こちらもです。専属的にやる連中もいますが」
二人揃って悩む。
「アイテムの名前に関係するのは今のところあのカジノだけだ。ってことはこのアイテムはそうした方面の繋がりを持つための物だとは分かる。分かるが」
「条件がまだ開始してわずかでは」
「だよな」
「するとカジノをプレイヤーが所持できると考えるのがスジなのですが」
そうなると越えられない壁が見えてくる。これまでの歴史でゲームに登場してきたカジノはデフォルメされていて万人向きであり低年齢でも受け入れやすい。しかし、このゲームに存在しているカジノは外国の大規模カジノのような絢爛豪華かつショービジネスの要素を全面的に取り入れている。
実際に行ってみたがとても仮想ゲームの中とは思えない作りでありNPCなどもそれ相応の服装をしている。冒険者の設定であるプレイヤーは「田舎者」と思うしかないほどだ。
二人は方向こそ違うが名前が挙がる攻略組である、でも賭博に関してはさしたる知識も経験も無い。
モンスターを倒したり素材集めなどは出来るがギャンブルなど素人なのだ。
それもそこらで気軽にやるようなものではなく金のかかった施設と道具をふんだんに使ったような場所で平常心など保てるはずが無い。
どうかんがえても勝負になるはずが無かった。
「オーナーや四勇士の勝負の風景は短いながら動画にありますが付け入る隙が見つけられません」
「こっちもそっち方面の人材なんてどこにもいないよ」
オンラインゲームにもカジノとかはあるが普通そんな遊びなどしない。
頭を悩ませていると、
「タケミカヅチとライナ、やな」
仲間らに相談しようとするととんでもない美女が近づいてきていた。
「「あなた、誰」」
「少しばかり余人を交えずに話をしたいんよ。受けてくれるかや」
これはそこらにいるNPCではないと判断し仲間は全て遠くまで行くよう指示を出す二人。
「あなたは、普通のNPCではありませんね」
こちらから話すのではなく向こうから話しかけてきた、外見も完全に違う。
「素性を明かせば裏世界の顔役、そう思ってかまへんよ」
「それが何の用件でしょうか」
「ゲーム運営側から忠告を与えにきたとでも言おうかの」
「「っ!」」
これはNPCではなくPC、それもゲーム運営側からの人物だと判断した。
「お二人は攻略組として活躍してなはる、それはそれで嬉しいんやけど。ちっとばかりゲーム規則を見直すべきやとおもうての」
「「ゲーム規則?」」
確かに、開始する時に目を通したが飛ばした部分もある。
「『ゲーム内において自由意志を尊重するために他者を拘束束縛することを禁ずる』って一文があるやろ。お二人は少しばかり他者を所有物と見なしている行動が見受けられるでの、そのことがゲームをする上での楽しみを減らしておるように思うての」
「「それって」」
言葉にこそ出さないが間違いないだろう。
「頭の中に真っ先に浮かぶ人物がおるやろ、その方は誰よりも早くお二人を悩ませているクエストをクリアした、その結果をもって新しい要素をゲームの中に開放したんや」
もうおわかりやろ?と。
「お二人やそれ以外のプレイヤーにはクエストを突破すればそれ相応の報酬を用意させてるんやがあくまで二番目や、時間はかかるやろうけど諦めずがんばってや」
「「・・・」」
「そんで本題に入るんやけど。かの方は裏世界での評判も良くての、色々と便宜を図っておるんや。その本人が軽く愚痴を漏らしての。たわいない話なのじゃが効率ばかり追求しておるプレイヤーには悪いんやが、ちっとばかり緩んだネジを締める必要が出てきたんよ」
「「私達もですか?」」
「現時点での判断としては接触しておるのかあやふやになるが今後の行動次第ではそれに見合う対応となるな。文句は受け付けぬぞ。なにしろプレイヤーは今後も無数に来る予定でおるのじゃからな」
一人二人アカウントを強制凍結させて消しても問題にはならないと。
「運営側のサポートや監視は人知れずじゃが確実に行われておる。証拠を握られてるのに勝てる道理もなかろうよ」
つまり、どう勝負しようが勝てないと言っているのだ。
「こちらが言いたいことはゲームの中でも現実でも人付き合いには礼儀があり節度をもってやれということだけじゃ、後はそちらで判断されると良かろう。要件はそれだけじゃ」
「「・・・また、会うことは出来ますか」」
「うちはこの方面のクエストをこなす関係上絶対に避けて通れないよう設定されておる。あとはお前さんら次第じゃ」
そうして美女は去っていった。
「あれ、間違いなくカオルのことですよね」
「って、ことはカオルは」
それ以上は口に出せない。出そうものなら即座に来るべき人が来る。
「ここ最近は便利すぎて連れ回しすぎたからなぁ」
「そうですね」
都合の良いNPCと勘違いしている部分は反論できない。
「カジノから出る時嫌そうな顔もしてたしな。そりゃあそんな立場にいたらそうなるよな」
「そうですね。もう少しカオルの言い分も聞くべきでした」
大人しく気弱な性格だから引っ張っていたのだがこんな忠告が来るということは運営側も重要なプレイヤーに位置づけているのだろう。
「どうすっか。カオルがいないとアイテムドロップが格段に難しくなるぞ」
「頻度は減らすべき所は減らし言い分も出来るだけ聞きましょう」
カオルにばかり負担をさせていたので猛反省する。あと、カジノには出来るだけ誘わないと誓う。そうして二人はまた攻略に頭を悩ませることになる。
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そこから、話しは急展開を迎える……。
親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します
miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。
そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。
軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。
誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。
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