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ゲーム開始時編
お姉様、見てください
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これは夢だろうか?幻だろうか?
それはまだ正式サービスが始まったばかりの大型VRMMOのゲームの出来事の一つ。その内容はこうだ。
『超不遇スキルだけでフィールドボスを単独撃破するプレイヤー!その名前は貴婦人ラクチェ!』
それはとんでもない宣伝文句を掲げた動画撮影者とプレイヤーであった。そのゲームは某ゲーム会社が売り出し中のVRオンラインゲームである。このゲームの情報を聞いたことがある人はこう言うだろう。
『とんでもないやりこみの出来るゲーム』
と。
それほどまでにリアルであり現実ではありえないことが出来るゲームだと。
しかし、戦闘難易度は格段にシビアであり熟練プレイヤーですら油断した一瞬で死に戻りさせられる様なモンスターが数多く出現するゲーム難易度に同じユーザーは賛否両論だった。とくにフィールドボスなど強制的に大人数で挑まないと勝てないぐらいにリアル。そのためゲームをする側からすれば「鬼畜」という声も上がるほどだ。
そのゲームの中でフィールドボスを単独で撃破?どんなチートを使えばそうなるんだよ、って噂にもなる。
その本題となる前に少しばかり同じ投稿者の動画を見てみるとさして特徴らしい特徴の無いプレイだけ。神業らしきところなどどこにも無かった。
閲覧数もチャンネル登録数も下の方、今度はどんな大法螺を吹いたのか、と。
その前に同じゲームの動画がもう一件上がっているな、それを見てみることにしよう。
『モンスターをトレインして町まで逃げ帰るプレイヤーを救出する人物現る!その名はラクチェ』
ふ~ん。ま、俺からすればトレインしてきたプレイヤーはその場で死ぬべきだと思う。だって、そんな大量にモンスターを引っ張ってきたらゲームの中では大問題だ。オンラインゲームなら尚更だろう。
そんな馬鹿な連中の尻拭いをするプレイヤーがいるとは、奇特なもんだ。
ポチッ、と。
気楽に動画再生のボタンを押す。
「なんだ、これ?」
動画の視線がプレイヤーになっている。何か理由があったのか急いで用意したのか、それは分からないが。
「(なんだ?このアニメ美人さんは?)」
このゲームではアバターを弄れるが大体は本人を参考にしていると聞いている。ある程度補正は入っているのかもしれないがとんでもない美人さんだった。紫色の髪と瞳、服装も同じ色を基本としている。
『これは生実況です。繰り返します。これは先ほど撮影したばかりの動画です』
動画撮影者の声が聞こえてくる。この手では合成音を使うのが普通だが自分で入れているようだ。
『では、動画をお楽しみ下さい』
すると、
『ガギャァァアッァ!!!』
まるで怒声のようなモンスターの声。ざっとこの距離からすると二百以上はいるみたいだな。
「はい!?」
二百体以上のトレイン!そこに映し出されているプレイヤーは一人しか存在しない。
「《土壁》」
ラクチェとか言う紫色の服を着たプレイヤーが何か呪文を唱える、すると逆三角形のようになり移動経路を制限する。
「《蔓地獄》」
すると地面から蔦のようなものがモンスターの足元から生えてくる。これは後方の魔術師だろうな。
「《火炎弾》」
そして本命の攻撃を放つ。何十発もの火の玉が敵に向かって降り注ぐ。ここまでなら魔術師の範囲なのだが、
「な、長いな・・・」
攻撃時間があまりにも長すぎる。相手は身動きが出来ないのに一方的に攻撃している、何でそんなにMPが続くんだ?それは数分間ひたすら続いた。
その後に、
「《金剛槍棘》」
金色の槍が地面無数に飛び出してきて一気に止めを刺しにきた。
「【酸弾雨】」
それでもなお生き残る相手には慈悲はかけない。まるで土砂を水で洗い流すかのようにモンスターの大群を消し飛ばしてしまった。
【パネェェェ!】
【これ、虐殺動画だわ】
【この人なんなの?】
【一方的な蹂躙】
【お姉様無双】
動画のコメントには無数の視聴者からのコメントが書かれていた。動画を投稿した日付を確認すると一週間以内なのに閲覧数は四十万を超えていたのだ。
こんな短時間でどうやったらこんな動画出せるんだ?いよいよ本題に移る。
『本人の同意を得て特別にスキルビルドを公開していただけました!』
その中身は「こんなスキル、ゲーム開始時に見たな?」そんな意見が圧倒的多数を占めている。いよいよ本題のフィールドボス攻略に移る。
相手は最初の難関の二番目の町への進路を塞ぐ熊型モンスターだった。AIの変更で熟練プレイヤーでも痛い目に合わされたと大評判である。
相手が近づく間に術を唱える。
【マジか?】
【火力、すごい】
【この人、βの時からいるんじゃないの?】
先の動画の中でもその術使いとしての腕前はすさまじいものだった。ところが
「なんだと!?」
MPの自然回復を待つ間に接近戦を仕掛けたのだ!
【ありえねぇ!】
【この人、両刀使いだ!】
【術使いの最新型は接近戦も兼備】
他の動画のプレイヤーに比べて動きはさして派手ではないが攻める時は攻め守る時は守る、最小限の動きで敵の動きを見切っていた。
「《呪印》」
ここでモンスターは状態異常を起こして見境無く攻撃し始める。それを待っていたかのように呪文の詠唱を始める。
ちょっとばかり長い詠唱だ。相手が状態異常を起こしているがそんなに無防備でよいのか?まだHPは半分以上あるぞ。
しばらくすると状態異常が切れたのか、プレイヤーに目標を定める。
【これはあかん】
【詰んだ】
【ここで終わりか】
攻撃が目前まで迫るがプレイヤーはそのままの状態だ。そこで動画は終わり・・・、誰もがそう思ったが。
「《炎清雀華》!」
凄まじい炎の一閃がモンスターに飛ぶ!強力な多段ヒットであの状況を一瞬で決着を付けてしまった。
【ありえんぜ、これはよ】
【お姉様大勝利】
【我が娘に欲しい】
動画コメントに無数の書き込みと閲覧数とチャンネル登録が一杯になる。ラクチェというプレイヤーが動画投稿者に優雅に一礼する。
「はぁ・・・、最近のゲームはすごいな」
一旦チャンネルから目を放して動画の内容を再度確認する。数回動画を確認したが動画撮影者本人が側にいたことは間違いないだろう。加えて修正は殆ど入っていない。つまるところ、ほぼリアルタイムで撮影していたのだ。こんな短い動画時間の中であのフィールドボスを倒している。
こりゃ、攻略情報の大幅な修正がされるだろうな。
数日後。
攻略掲示板は猛火のような大騒ぎであった。
何しろ動画の中で確認されているようなスキル構成など誰も試したことが無かった。選択するプレイヤーもいなければスキル上げを行うようなプレイヤーも確認されていなかったからだ。
当然、その動画の中のプレイヤーや動画投稿者にメールが来るのだが。
前者から、
『私はβ版の攻略情報を一切確認せずにプレイを始めました。嫌なことを言うプレイヤーに関わる気はありません』
そのようなメールだけが届いたそうだ。
後者からは、
『動画の中のプレイヤーは私の我侭な問題を快く引き受けてくれました。他者への情報公開は動画の中だけです』
そのようなメールだけが帰ってきたそうだ。
動画の中のプレイヤーも動画撮影者も不遇スキルであることなど一切気にせずゲームを楽しんでいる。何もかも攻略ばかりを優先したばかりにこの動画と関係者が正体不明なのだ。ならば偽者なのか?だが、その動画を運営が削除する気配は無い。これは現実なのだ。
大多数の攻略プレイヤーが阿鼻叫喚の渦に沈む一方、にわかに活気が出てくる某攻略サイト。何もこのゲームは攻略だけが全てではない。いろいろな方面で楽しむことが出来るとして不遇ジョブやスキルにも将来性があるのでは?そう考える者らが現れ出したのだ。
実際のところ『調教師』は最底辺の最底辺のジョブ、それなのに動画の中では一体も出ていない。
「動画の中のプレイヤーは一体も出していない。不遇ジョブでもこれだけの活躍が出来るしモンスターがいれば選択肢は大きく広がる!」
陰陽術、呪術など何の意味も無い無駄スキルだと思われていたが。
「短時間とはいえステータス異常を起こせる効果は強力だし陰陽術の火力も馬鹿に出来ない!」
そのように考えるプレイヤーも多く出てきた。
ここで一番重要性が出てきたのがLUKの数値である。今まではさしたる効果が見込めず明確な効果が出ていなかったが、
「LUKはアイテムのドロップ率や装備品の完成度に大きく影響します」
ほんの隅っこの隅っこに書かれていた無名の投稿者からの内容に注目が集まり出したのだ。
実際問題レアアイテムのドロップ率は低く設定されていて現物を拝んだものは殆ど存在しない、しないが、現物を持っているプレイヤーがいることが確認されたのだ。
質問すると、
「LUKの数値がアイテムのドロップ率や装備の完成品の性能に大きく影響することは確認済みだ」
そのような返事が返ってきた。
ここで問題はとんでもなく大きくなる。なにしろLUKに大幅な補正があるのは『調教師』などの弱小ジョブだけでありそのスキルもゲーム開始時にしか選べないのが殆どなのだ。圧倒的多数が攻略情報を頼りにゲームを開始したのに今になってその重要性が確認されるとは!
「はぁ?そのスキル所有者の存在、ねぇ。情報屋でも掴んでないネタをあたしらが知っている、とでも?大体お前らはテンプレのスキルを踏襲してるだろうが。今になってスキルを覚えなおす余裕なんて無いだろ。ゲームプレイは個人の自由だ」
ここで件のプレイヤーが返答を渋る。つまり、何がしかの情報は有しているが教える気は無いと言っているのだ。仕方がないので大規模ギルド設置に動いている有名プレイヤーの元に向かうことにした。
「あぁ、動画内の人物ですね。ええ、親しくお付き合いさせていただいてますよ。色々と助けられてばかりで」
この人物は動画内の人物とのパイプを持っている!プレイヤーの存在を聞き出そうとして、
「あなた達はどこまで馬鹿なのですか?動画の人物に直接向かおうなどと考えているのですか。自分らがゲームの内外で不遇ジョブやスキルなんてゲームプレイには邪魔だと言ってパーティの参加を徹底的に拒否していたくせに。今更になって改めれば元通りになるなんて虫が良すぎます!帰りなさい」
武器を即座に抜かれて追い返された。あの装備は確か情報だけが出ている装備のはずだが。数多くのプレイヤーと情報屋が動いたが関係者全員が拒否してしまう。
何しろ今まで「不遇ジョブやスキルなんて選択肢にならない邪魔な存在だ」などと声高に上げるプレイヤーが数多く存在していた。それなのに今になって手の平を返したところで手遅れだった。
大手攻略掲示板は大荒れであり「ジョブやスキルにテコ入れしました」そのような運営の情報を無視してβ版の攻略情報に頼りきりだったため大きく信頼を損なうことになる。
変わって台頭してきたのは「プレイヤーは自分の好きな方向でゲームを楽しめばよい」フリースタイルと呼ばれる独自に特化したスキルビルドの構築だった。
ラクチェという独自性に溢れるスキルスタイルが出てきた今だからこそ自分らしい自分のスタイルを目指すプレイヤーが数多くゲームに参入してくるのだった。
それはまだ正式サービスが始まったばかりの大型VRMMOのゲームの出来事の一つ。その内容はこうだ。
『超不遇スキルだけでフィールドボスを単独撃破するプレイヤー!その名前は貴婦人ラクチェ!』
それはとんでもない宣伝文句を掲げた動画撮影者とプレイヤーであった。そのゲームは某ゲーム会社が売り出し中のVRオンラインゲームである。このゲームの情報を聞いたことがある人はこう言うだろう。
『とんでもないやりこみの出来るゲーム』
と。
それほどまでにリアルであり現実ではありえないことが出来るゲームだと。
しかし、戦闘難易度は格段にシビアであり熟練プレイヤーですら油断した一瞬で死に戻りさせられる様なモンスターが数多く出現するゲーム難易度に同じユーザーは賛否両論だった。とくにフィールドボスなど強制的に大人数で挑まないと勝てないぐらいにリアル。そのためゲームをする側からすれば「鬼畜」という声も上がるほどだ。
そのゲームの中でフィールドボスを単独で撃破?どんなチートを使えばそうなるんだよ、って噂にもなる。
その本題となる前に少しばかり同じ投稿者の動画を見てみるとさして特徴らしい特徴の無いプレイだけ。神業らしきところなどどこにも無かった。
閲覧数もチャンネル登録数も下の方、今度はどんな大法螺を吹いたのか、と。
その前に同じゲームの動画がもう一件上がっているな、それを見てみることにしよう。
『モンスターをトレインして町まで逃げ帰るプレイヤーを救出する人物現る!その名はラクチェ』
ふ~ん。ま、俺からすればトレインしてきたプレイヤーはその場で死ぬべきだと思う。だって、そんな大量にモンスターを引っ張ってきたらゲームの中では大問題だ。オンラインゲームなら尚更だろう。
そんな馬鹿な連中の尻拭いをするプレイヤーがいるとは、奇特なもんだ。
ポチッ、と。
気楽に動画再生のボタンを押す。
「なんだ、これ?」
動画の視線がプレイヤーになっている。何か理由があったのか急いで用意したのか、それは分からないが。
「(なんだ?このアニメ美人さんは?)」
このゲームではアバターを弄れるが大体は本人を参考にしていると聞いている。ある程度補正は入っているのかもしれないがとんでもない美人さんだった。紫色の髪と瞳、服装も同じ色を基本としている。
『これは生実況です。繰り返します。これは先ほど撮影したばかりの動画です』
動画撮影者の声が聞こえてくる。この手では合成音を使うのが普通だが自分で入れているようだ。
『では、動画をお楽しみ下さい』
すると、
『ガギャァァアッァ!!!』
まるで怒声のようなモンスターの声。ざっとこの距離からすると二百以上はいるみたいだな。
「はい!?」
二百体以上のトレイン!そこに映し出されているプレイヤーは一人しか存在しない。
「《土壁》」
ラクチェとか言う紫色の服を着たプレイヤーが何か呪文を唱える、すると逆三角形のようになり移動経路を制限する。
「《蔓地獄》」
すると地面から蔦のようなものがモンスターの足元から生えてくる。これは後方の魔術師だろうな。
「《火炎弾》」
そして本命の攻撃を放つ。何十発もの火の玉が敵に向かって降り注ぐ。ここまでなら魔術師の範囲なのだが、
「な、長いな・・・」
攻撃時間があまりにも長すぎる。相手は身動きが出来ないのに一方的に攻撃している、何でそんなにMPが続くんだ?それは数分間ひたすら続いた。
その後に、
「《金剛槍棘》」
金色の槍が地面無数に飛び出してきて一気に止めを刺しにきた。
「【酸弾雨】」
それでもなお生き残る相手には慈悲はかけない。まるで土砂を水で洗い流すかのようにモンスターの大群を消し飛ばしてしまった。
【パネェェェ!】
【これ、虐殺動画だわ】
【この人なんなの?】
【一方的な蹂躙】
【お姉様無双】
動画のコメントには無数の視聴者からのコメントが書かれていた。動画を投稿した日付を確認すると一週間以内なのに閲覧数は四十万を超えていたのだ。
こんな短時間でどうやったらこんな動画出せるんだ?いよいよ本題に移る。
『本人の同意を得て特別にスキルビルドを公開していただけました!』
その中身は「こんなスキル、ゲーム開始時に見たな?」そんな意見が圧倒的多数を占めている。いよいよ本題のフィールドボス攻略に移る。
相手は最初の難関の二番目の町への進路を塞ぐ熊型モンスターだった。AIの変更で熟練プレイヤーでも痛い目に合わされたと大評判である。
相手が近づく間に術を唱える。
【マジか?】
【火力、すごい】
【この人、βの時からいるんじゃないの?】
先の動画の中でもその術使いとしての腕前はすさまじいものだった。ところが
「なんだと!?」
MPの自然回復を待つ間に接近戦を仕掛けたのだ!
【ありえねぇ!】
【この人、両刀使いだ!】
【術使いの最新型は接近戦も兼備】
他の動画のプレイヤーに比べて動きはさして派手ではないが攻める時は攻め守る時は守る、最小限の動きで敵の動きを見切っていた。
「《呪印》」
ここでモンスターは状態異常を起こして見境無く攻撃し始める。それを待っていたかのように呪文の詠唱を始める。
ちょっとばかり長い詠唱だ。相手が状態異常を起こしているがそんなに無防備でよいのか?まだHPは半分以上あるぞ。
しばらくすると状態異常が切れたのか、プレイヤーに目標を定める。
【これはあかん】
【詰んだ】
【ここで終わりか】
攻撃が目前まで迫るがプレイヤーはそのままの状態だ。そこで動画は終わり・・・、誰もがそう思ったが。
「《炎清雀華》!」
凄まじい炎の一閃がモンスターに飛ぶ!強力な多段ヒットであの状況を一瞬で決着を付けてしまった。
【ありえんぜ、これはよ】
【お姉様大勝利】
【我が娘に欲しい】
動画コメントに無数の書き込みと閲覧数とチャンネル登録が一杯になる。ラクチェというプレイヤーが動画投稿者に優雅に一礼する。
「はぁ・・・、最近のゲームはすごいな」
一旦チャンネルから目を放して動画の内容を再度確認する。数回動画を確認したが動画撮影者本人が側にいたことは間違いないだろう。加えて修正は殆ど入っていない。つまるところ、ほぼリアルタイムで撮影していたのだ。こんな短い動画時間の中であのフィールドボスを倒している。
こりゃ、攻略情報の大幅な修正がされるだろうな。
数日後。
攻略掲示板は猛火のような大騒ぎであった。
何しろ動画の中で確認されているようなスキル構成など誰も試したことが無かった。選択するプレイヤーもいなければスキル上げを行うようなプレイヤーも確認されていなかったからだ。
当然、その動画の中のプレイヤーや動画投稿者にメールが来るのだが。
前者から、
『私はβ版の攻略情報を一切確認せずにプレイを始めました。嫌なことを言うプレイヤーに関わる気はありません』
そのようなメールだけが届いたそうだ。
後者からは、
『動画の中のプレイヤーは私の我侭な問題を快く引き受けてくれました。他者への情報公開は動画の中だけです』
そのようなメールだけが帰ってきたそうだ。
動画の中のプレイヤーも動画撮影者も不遇スキルであることなど一切気にせずゲームを楽しんでいる。何もかも攻略ばかりを優先したばかりにこの動画と関係者が正体不明なのだ。ならば偽者なのか?だが、その動画を運営が削除する気配は無い。これは現実なのだ。
大多数の攻略プレイヤーが阿鼻叫喚の渦に沈む一方、にわかに活気が出てくる某攻略サイト。何もこのゲームは攻略だけが全てではない。いろいろな方面で楽しむことが出来るとして不遇ジョブやスキルにも将来性があるのでは?そう考える者らが現れ出したのだ。
実際のところ『調教師』は最底辺の最底辺のジョブ、それなのに動画の中では一体も出ていない。
「動画の中のプレイヤーは一体も出していない。不遇ジョブでもこれだけの活躍が出来るしモンスターがいれば選択肢は大きく広がる!」
陰陽術、呪術など何の意味も無い無駄スキルだと思われていたが。
「短時間とはいえステータス異常を起こせる効果は強力だし陰陽術の火力も馬鹿に出来ない!」
そのように考えるプレイヤーも多く出てきた。
ここで一番重要性が出てきたのがLUKの数値である。今まではさしたる効果が見込めず明確な効果が出ていなかったが、
「LUKはアイテムのドロップ率や装備品の完成度に大きく影響します」
ほんの隅っこの隅っこに書かれていた無名の投稿者からの内容に注目が集まり出したのだ。
実際問題レアアイテムのドロップ率は低く設定されていて現物を拝んだものは殆ど存在しない、しないが、現物を持っているプレイヤーがいることが確認されたのだ。
質問すると、
「LUKの数値がアイテムのドロップ率や装備の完成品の性能に大きく影響することは確認済みだ」
そのような返事が返ってきた。
ここで問題はとんでもなく大きくなる。なにしろLUKに大幅な補正があるのは『調教師』などの弱小ジョブだけでありそのスキルもゲーム開始時にしか選べないのが殆どなのだ。圧倒的多数が攻略情報を頼りにゲームを開始したのに今になってその重要性が確認されるとは!
「はぁ?そのスキル所有者の存在、ねぇ。情報屋でも掴んでないネタをあたしらが知っている、とでも?大体お前らはテンプレのスキルを踏襲してるだろうが。今になってスキルを覚えなおす余裕なんて無いだろ。ゲームプレイは個人の自由だ」
ここで件のプレイヤーが返答を渋る。つまり、何がしかの情報は有しているが教える気は無いと言っているのだ。仕方がないので大規模ギルド設置に動いている有名プレイヤーの元に向かうことにした。
「あぁ、動画内の人物ですね。ええ、親しくお付き合いさせていただいてますよ。色々と助けられてばかりで」
この人物は動画内の人物とのパイプを持っている!プレイヤーの存在を聞き出そうとして、
「あなた達はどこまで馬鹿なのですか?動画の人物に直接向かおうなどと考えているのですか。自分らがゲームの内外で不遇ジョブやスキルなんてゲームプレイには邪魔だと言ってパーティの参加を徹底的に拒否していたくせに。今更になって改めれば元通りになるなんて虫が良すぎます!帰りなさい」
武器を即座に抜かれて追い返された。あの装備は確か情報だけが出ている装備のはずだが。数多くのプレイヤーと情報屋が動いたが関係者全員が拒否してしまう。
何しろ今まで「不遇ジョブやスキルなんて選択肢にならない邪魔な存在だ」などと声高に上げるプレイヤーが数多く存在していた。それなのに今になって手の平を返したところで手遅れだった。
大手攻略掲示板は大荒れであり「ジョブやスキルにテコ入れしました」そのような運営の情報を無視してβ版の攻略情報に頼りきりだったため大きく信頼を損なうことになる。
変わって台頭してきたのは「プレイヤーは自分の好きな方向でゲームを楽しめばよい」フリースタイルと呼ばれる独自に特化したスキルビルドの構築だった。
ラクチェという独自性に溢れるスキルスタイルが出てきた今だからこそ自分らしい自分のスタイルを目指すプレイヤーが数多くゲームに参入してくるのだった。
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7つ目のスキルについてですが、初期設定時には【マスターテイマー】となっておりますが、チュートリアルの時、基本装備を装備した後のステータス画面では【マスターテイム】となっています。
あと、少なくとも「経験値」という言葉が使われている部分全て、「値」(正) が「地」(誤) になっています。
また、主人公が彼の姉からやり直すように言われた後のシーンの誤字です。
一つ目は、「っと、まずはモンスターをティムしないと」と主人公が言っていますが、「テイム」(正) が「ティム」(誤) になっています。二つ目はその次のナレーション文のところで、「最初の必須クエストはオンスターの好感度を上げて従わせることになっている」とありますが、「モンスター」(正) が「オンスター」(誤) になっています。
これで以上となりますが、第1話だけでもこんなにあるので、他の既出話の中にも誤字があると思います。是非ご確認ください。
ラクチェお姉さまに連絡可能な事に運営の本気を見た。
しかし、大手ギルドは新人待ちじゃなくてキャラリセットすればいいだけだと何故作中で気付かないのか。。。(でも多分後でやった)
。。。財布扱いと長時間拘束は止められない、数千万が稼げない所は修正欲しいかもなところ。
(億なら何とか)
ストーリーは面白いのでタイトル変えたほうが幅広く受け入れられると思う