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女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』その(28)龍太!シルヴィアに挑む。
しおりを挟む5年ぶりにシルヴィア滝田と向かい合った龍太は、あの時に感じたような圧倒的体力差は感じなかった。
あの時は中三の彼女に対して自分は小四であり大人と子どもと言っても良かったが、今の龍太はあの時のシルヴィアと同じ中三に成長している。
それでも、3度の格闘技戦で修羅場を潜ってきたからだろうか?眼光が鋭く怖いくらいの凄みを感じる。
そんなシルヴィアにも負けず、龍太も気合いの眼光を投げ返した。
スパーリングはそれ専用のフェイスガード、グローヴを付けて行われるが、
シルヴィアは「私はフェイスガードはいらない。龍太君、遠慮なしにどんどんかかってきなさい!」と言った。
「じゃ、僕もいりません...」
すると、道場師範から声がかかった。
「龍太! だめだ。決まりだから付けなさい。それから、滝田君、君の強さは承知だが、龍太は中学生といっても全日本U15ではビッグ3に入る男子だぞ。甘く見ない方がいいと思う。付けた方がいいのでは?」
「それは分かっています。あの堂島源太郎さんの息子さんですからね。だからこそ、その打撃を生身で受けてみたいのです。甘くみているわけではありません。私も遠慮なしにいきます」
スパーリングは始まった。
龍太はガンガン攻めた。
父もこのKG会空手出身でキックボクシングに転向した。
その関係でシルヴィアには5年前に胸を借りたことがある。
あの時は遊ばれただけだったが今は違う。勝てなくとも爪痕を残してやる。
シルヴィア滝田は女子空手界では最強だった。それも圧倒的に強く女子では相手がおらず、そのケンカ空手少女ぶりは成人強豪男子をも恐れさせる伝説の存在になっていた。
格闘技戦でも元幕内力士雷豪の顔面を破壊し、怪物キックボクサー村椿和樹からダウンも奪っている。
そんなシルヴィアと龍太のスパーリングを道場生達は固唾を飲んで見守っている。龍太はどこまで通用するか?
177cm 69kg のシルヴィアは大きかった。そこから繰り出す突きに蹴りは重く龍太は悲鳴を上げそうになった。
それでも龍太は逆に笑みを浮かべ決して下がらず前へ出た。
龍太の蹴りがシルヴィアの下腿部に決まった。続いて突きもその腹部に突き刺さった。かなり手応えがあった。
気が付くとシルヴィアは膝をつき顔をしかめている。ダウンである。
立ち上がったシルヴィアの顔色が変わった。龍太はじっくり構えた。
シルヴィア本気?のローキックが飛んできた。突きというかパンチというかフェイスガードに守られた龍太の顔面に何発も叩き込まれた。
フェイスガードの上からでも彼女のパンチは脳が揺れそうで意識が飛びそうになる。それもそのはずで彼女の父はボクシング元ライトヘビー級世界ランカーだったのだから。
そこへまた、シルヴィアのローキックが飛んでくると、それは連続で3~4
発決まった。シルヴィアは本気になっている。(やりすぎたかな?)
龍太は限界だった。
もう、立っていられない...。
一歩も前ヘ進めない。
だが。。。
ま、まさか!
足を引きずりながらも龍太は倒れない。シルヴィアは自分の目を疑った。
(こ、この少年は何なの?)
シルヴィアが驚いていると、龍太が足を引きずりながら一歩前に出てくる。ノーガードのシルヴィアの顔面に右ストレートが飛んできた。
信じられない目をしながらシルヴィアは再びダウン。それと同時に龍太も足を抱えながらその場に倒れ込んだ。
「ストップ!」
道場師範が慌ててスパーリングをストップさせた。これ以上やらせればケガは避けられないだろう。
道場生たちが声も出せずに見ている。壮絶なスパーリングであった。これは真剣勝負のようなものだ。
冷静になったシルヴィアが龍太の元にやってくると健闘を称えた。
「強くなったね、吃驚したわ。そのフィジカルの強さは柔道もやっている成果だね。龍太君は将来プロ格闘技の世界に行きたいそうだけど、いつかリングの上で戦う日が来るかもね? その時は総合ルールで戦いましょう。楽しみにしてるからね...」
「ありがとうございました。いつか必ずシルヴィアさんに挑戦します。まだまだ僕は強くなります。押忍!」
兄とシルヴィアのスパーリングをずっと見ていた麻美が、シルヴィアの元にやってくると何か言いたそうだ。
「あなたは龍太君の妹さんね。稽古を見ていたけど凄いスピードね。驚いたわよ。レスリングも強いんだってね?
あなた達兄妹はさすが堂島源太郎さんの子どもたち。将来が楽しみ...」
すると、麻美は嬉しそうに顔を上げるとシルヴィアに向かって言った。
「私も中学生になったらNFLSの入校テストを受けに行こうと考えています。最初は練習生だと思いますが、その時はよろしくお願いします。押忍!」
シルヴィアは、この女の子なら必ず受かるだろうな、と、思ったが、それには答えず笑顔を返しただけだった。
夏になると『G』主催の格闘技戦が行われる。その前に注目のカードが発表された。NLFS女子勢の男子対戦相手が中々見つからず苦労したようだ。
メインは、NOZOMIの挑戦権をかけたダン嶋原と村椿和樹の再戦。
NLFSはNOZOMIの対戦相手こそ見つからなかったが、NOZOMIの遺伝子を受け継ぐと噂の奥村美沙子が今度はMMAルールで男子選手と対戦する。この男子選手はデビュー戦となる。
それから、NLFS練習生である謎のムエタイ少女がキックボクシング男子選手と対戦する。この少女はまだ14才になったばかりの中学2年だそうだ。それを考慮しルールは両者ヘッドギア装着の12オンスグローブ、3分2ラウンドだけのエキシビションマッチ。
それから、あのシルヴィア滝田が総合ルールでのデビュー戦。
相手はMMAライト級でデビュー以来3連続KO勝ち中のファイター。
シルヴィアが総合ルールでどんな戦い方をするのか注目される。
ここで、過去の異性格闘技戦シュートマッチを振り返ってみよう。
5年前の堂島源太郎vsNOZOMI戦からそれは始まった。
○ NOZOMI(17) 女子柔術家
5RKO
☓堂島源太郎(35) 男子キックボクサー
不幸なことにこの試合で堂島源太郎は帰らぬ人となったのだ。
その後。
○ 真鍋俊之(25)男子ボクサー
2RTKO
☓ 桜木明日香(18)女子アマレス
○ 鎌田桃子(28)女子総合格闘家
判定
☓ ハリケーン羽生(36)男子プロレス
○ NOZOMI(19)女子総合格闘家
2RKO
☓ 村椿和樹(28)男子キックボクサー
○ シルヴィア滝田(18)女子空手家
3RKO
☓ 雷豪(34)男子元幕内力士
ここまでは、なんと女子の4勝1敗。
○ 小杉稔(46)男子アマレス
判定
☓ 奥村美沙子(16)女子柔道
○ 翔龍道(33)男子元幕内力士
1RKO
☓ シルヴィア滝田(18)女子空手家
○ NOZOMI(19)女子総合格闘家
1RKO
☓ ダン嶋原(22)男子キックボクサー
そして、NLFSの門出となった昨年の大晦日格闘技戦では。
○ ウルフ加納(27)男子プロレス
3RTKO
☓ 鎌田桃子(30)女子総合格闘家
○ 村椿和樹(30)男子キックボクサー
1RTKO
☓ シルヴィア滝田(19)女子空手家
○ 渡瀬耕作(38)男子総合格闘家
3RKO
☓ NOZOMI(21)女子総合格闘家
最初は女子勢の勢いに押されていた男子勢だったが、気が付けば男子の6勝5敗で勝ち越している。
やはり、ジワジワと男子の地力が勝ってきたようだ。その象徴的シーンが、
渡瀬の前に大の字で失神したNOZOMIの美しくも無残な姿であろう。
さて、この夏の大会はどうなる?
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