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第五章 チームお飾りの王太子妃集結、因縁の地にて
【番外編】お気に入り9000感謝SS
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お気に入り9000感謝ShortStory
フィルガルド殿下が合流するタイミングを待っていたら、お届けが遅くなってしまいました。
スカーピリナ国編は重たい雰囲気でしたので、
みんなでにぎやか(?)な雰囲気をお届けできればと思います。
どうぞ~~~!!
タイトル『部屋割りの思惑』
↓
STARTです!!
――――――――――――――――
船に到着してしばらくするとレオンたちも合流したので、私はみんなを休ませるために声を上げた。
「ねぇ、みんな部屋割りってどうする?」
その瞬間、なぜか空気がピリッと緊張するように張り詰めた気がした。
え? 何? 私、そんなおかしなことを言った?
私が首を傾けていると、フィルガルド殿下が私に向かってにこやかに微笑みながら言った。
「クローディア、私たちがこの船で一番良い部屋を使いましょう。そうすれば少しでも多くの者が一等客室を使うことができます」
フィルガルド殿下は王太子だ。レオンが王でなくなった今、殿下が一番いい部屋を使うのは納得だが……
「え? 私たち……?」
私はフィルガルド殿下に思わず聞き返してしまった。
フィルガルド殿下は優しいので、もしかしたら他の者にも良い部屋を使って欲しいと配慮しているのかもしれない。確か以前説明を聞いた時、この船のロイヤルスイートには従者用の個室が2部屋入っていると聞いていたので、私はそこで眠ればいいけれど……出来ればフィルガルド殿下とは別の部屋がいい。
「却下だ!!」
するとレイヴィンに通訳をしてもらったであろうレオンが声を上げて、私の顔を覗き込んで来た。
「クローディア、俺たちに変な気を遣うなよ。そこにいる指導係だって、お前がゆっくりと過ごせるためなら、5等客室でも喜んで受け入れるはずだ。もちろん、私もな」
ブラッドを見ると、ブラッドも大きく頷くと「そうだな」と答えた。
みんなの顔を見渡すと二人と同じだったようで「うんうん」と頷いてくれた。
私はみんなの好意に甘えることにして、フィルガルド殿下を見ながら答えた。
「どうぞ、フィルガルド殿下がロイヤルスイートをお使い下さい。私は他の客室で休みます」
するとフィルガルド殿下が切なそうな顔をした後に声を上げた。
「やはり……同室の許可はもらえないのですね……わかりました。ではロイヤルスイートはクローディアが使って下さい。私はその隣の部屋を使います」
フィルガルド殿下の言葉の後にすぐアリスが声を上げた。
「では、私はクローディア様と同室を頂戴いたします。そして、クローディア様の身の回りのお世話をさせていただくのと、あらゆる危険から……お守りいたします」
アリスの言葉にリリアも頷いた。
「そうですね。私はもちろん同室を頂戴いたします。アリスも暗器が使えるというのなら護衛もお願いいたします。武器を扱えるというのは初耳ですので、実力がわかりかねますが……」
リリアの言葉にアリスがにっこりと微笑んだ。
「今度、お相手いたしましょうか?」
リリアがそれはそれは美しく微笑みながら答えた。
「ええ。ぜひ」
なぜだろう、二人の笑顔が怖いと思うのは気のせいだろうか?
私が二人を見ながら少しだけ震えているとアドラーが声を上げた。
「恐れながら……ロイヤルスイートの両隣は、フィルガルド殿下がお泊りになられるような一等客室ではなく、側近用の二等客室となっておりますので、ロイヤルスイート内部の部屋をリリアとアリス殿が、両隣の部屋を私とラウルが使うというのはいかがでしょうか?」
アドラーの言葉に、レオンが声を大きくしていった。
「待て、私もクローディアの隣がいい。そして何かあればすぐに駆けつけられる位置にいたい。腕には覚えがある」
するとアドラーが微笑みを絶やさずに言った。
「レオン殿は、クローディア様を夜更けに突然訪問するという可能性もあります。現に一度、夜更けにクローディア様を訪ねていますよね?」
アドラーの言葉に、ジーニアスとラウルが声を上げた。
「夜更けにクローディア様の部屋に!? それは、レオン殿が隣というのは避けた方がいいですね」
「ええ。前科のある者をクローディア様の隣にすることはできませんね」
ん? レオンが夜更けに尋ねて来た?
前科?
なんか……凄い言い方だけど……
それにしても、いつだったかな?
もしかしてダラパイス国の辺境伯屋敷での話かな??
アドラー、よく覚えてたな~~。
私がアドラーのさすがの記憶力に感心しているとずっと沈黙していたブラッドが口を開いた。
「仕方ないな。では、私とガルドがそれぞれクローディア殿の隣の部屋になろう」
これまでブラッドの提案に異を唱える者はいなかった。
あのアドラーでさえ黙っている。
これは、ブラッドとガルドが隣で決まりだと思っていると……
「ブラッドが隣? それはダメだ、危険だ。それにブラッドが一等客室を使わなければ、皆が恐縮するだろう!? ブラッドは、クローディアとは違う階の一番離れた場所の一等客室だ!!」
フィルガルド殿下の真剣な言葉に、レガードも頷いた。
「私もフィルガルド殿下と、ブラッド様は一等客室をお使いいただくのが最適かと思います」
レガードがブラッドだけではなく、さりげなくフィルガルド殿下も一等客室を使うように誘導すると、レイヴィンが楽しそうに言った。
「そうですね~~公爵子息殿がある意味一番危険っぽいですからね~~~それに船では身を守るということも大切ですが、身の回りのことをお手伝いできる者が近くに居た方がいいのではないでしょうか? 私ながら、髪を結えますし、化粧もできますし、ドレスや宝石の知識も豊富ですし、美味しいお茶を入れることもできますので侍女殿の代わりになりますよ」
え? ファッション関係に強いだけじゃなくて、お茶まで美味しく入れられるの?
どうしてレイヴィン、そんなに女子力高いの??
レイヴィンの言葉に、ヒューゴが口を開いた。
「私が隣はどうでしょうか? 体調に異変があってもすぐに看病ができます」
そしてジーニアスも口を開いた。
「私なら何かあった場合の状況を細かく記録でき、それぞれの担当の者に伝えることができます」
二人の言葉を聞いてラウルが声を上げた。
「いえ、やはり護衛は近くに必要です。それに……夜這いという可能性を考えると、私が隣でお守りいたします」
真剣な顔のラウルに向かって、レオンが口を開いた。
「俺は、夜這いはしてないぞ!? とにかく、俺もクローディアの隣で賊やら夜這いから彼女を守りたい」
みんな一歩も引かない攻防の中で、ロウエル公爵がすっと威圧のある態度で口を開いた。
「ふぅ、愚かな。クローディア殿は長旅でお疲れなのだ。そのようなことに些末なことに時間を割いているなど下策だ。それほど夜這いが心配なら既婚者で爵位もない身軽な立場の私と、同じく既婚者のレナン殿のところの側近が両隣の二等客室を使えばよい。安心したまえ、スカーピリナ国の総司令官殿、ラウル副団長殿。私は耳がいい。それに腕はまだ落ちてはいない。彼女の部屋に夜更けに近づく者がいれば……成敗するとしよう」
元公爵の威圧に皆が一斉に静まりかえってしまった。
そんな中、ガルドが楽しそうに言った。
「そうですね……私も腕には覚えがあるので……夜這いなど不埒が輩を見つけたら……誰であろうとも全力で排除いたします」
ガルドの言葉に皆はさらに静かになった。
腕に覚えがあるって……この中に果たしてガルドに勝てる人がいるのだろうか?
「ふふふ、決まりですね~~さぁ、クローディア様お部屋に行きましょう~~」
アリスが私の荷物を持ちながら言った。
「そうですね。ようやく決まりましたね。それでは後の部屋割りは……お兄様、決まり次第教えて下さいね」
そしてリリアも荷物を持った。
「あ、荷物持ちますよ。私の部屋はクローディア様の隣ですので」
ガルドがリリアとアリスの持っていた荷物を持ってくれてた。
「では私もご一緒いたしましょう。クローディア殿、ずっと御多忙で心休まる時間もなかったのではありませんか? エル―ル国で疲れの取れる珍しい茶葉を手に入れました。そちらをお持ちしますので、ごゆるりと休まれて下さい」
ロウエル様が私の隣に立った。
私だけ先に休むのは申し訳ないが、なんとなく私はここにはいない方がいいと思った。
私はチラリと残されたみんなを見ながら口を開いた。
「みんな、お先に失礼します。アドラー、部屋割り決まったら教えてね」
そう言って、私はリリアたちと話をしながら部屋に移動したのだった。
その後の部屋割りは、高速で決まったとアドラーから報告を受けたのだった。
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