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本編
10 糖度8&塩分濃度6(大変甘いですが、ちょっぴり涙の味がします)
しおりを挟むそれから私は一度も登校しないまま、今日は学院フェスティバルの日だった。
私は自宅のソファーの上で全くページの進まないまま本を読んでいた。
(今日は、とうとう学院フェスティバルの日だわ)
私は思わず呟いてしまった。
「はぁ~~ディラン様のロミエ、本物を見たかったな……」
「ごめんね」
すると部屋の入口からディラン様の声が聞こえた。
「えええ? ディラン様?!」
私が急いで立ち上がろうとすると、ディラン様が走って来て私の身体を支えてくれた。
「危ないよ。腫れが引いただけでまだ痛みはあるんだろ? ノックはしたんだけど、驚かせちゃったかな?」
(ノックの音きこえなかった!!)
ここ最近の私は自分でも呆れる程にぼんやりと過ごしていたのだ。ノックの音も聞こえなかったのだ。
「痛みはだいぶ治まりましたが……でも、どうしてディラン様が?! 劇はどうしたのですか?」
私がディラン様の腕にしがみつくと、ディラン様がゆっくりと私をソファーに座らせて腰を支えるように優しく抱き寄せて私の頭に頬をつけた。
「今年の劇は辞退したよ。ロミエは、ブルーノがしてくれることになってる」
「え? そんなことが?! みんなはそれでよかったのですか?」
するとディラン様は私の頭から頬を離して、今度は顔を覗き込んできた。
「ブルーノは今年、在学中にも関わらず史上最年少で上級騎士団試験に受かった。
今、王都でブルーノを知らない者はいないよ。
だから今年は僕より、ブルーノが演じた方が人気が出るよ。
それに結果的に僕たちでこの劇を演じなくてよかった」
「え?それは……どういう……?」
ディラン様は楽しそうに笑って、私のこめかみ辺りにキスをしながら言った。
「僕と君が演じるのに悲劇は似合わないだろ?」
ーー……悲劇は似合わない、本当に? 本当にそう思ってくれているのですか?
私は思わずディラン様の首の抱きついてしまった。
「え? キャメロン、ど、どうしたの?」
珍しいことにディラン様が慌てているが私にも全く余裕がなかった。
「ディラン様好きです。好きすぎます。好きすぎてつらいです。好きです。……好きなんです。本当に……」
私はディラン様の首に頭をつけながら言った。もう、この溢れ出るディラン様への感情を押さえるのは無理だったのだ。『好きです』とはたまに言っているのだが、私から抱きついたことはきっとほとんどないように思う。
私が何度も何度も好きだと繰り返しているとディラン様に抱きしめられた。
「ありがとう、僕も好きだよ」
ディラン様は私を腕に抱きしめながら、何度も何度も私の頭に頬をつけたりキスをしてくれた。
それが恥ずかしいのに嬉しくて、幸せなのに苦しくて、目からはいつの間にか涙が零れていた。
ーー……僕も好きだよ。
ディラン様はそう言ってくれた。
それが例え親愛の好きだったとしても。
家族のような好きだったとしても。
親友のような好きだったとしても。
戦友のような好きだったとしても。
ディラン様に好きだと言って貰えたことは私の一生の思い出になると思えた。
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