好きでした、婚約破棄を受け入れます

たぬきち25番

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番外編 

お気に入り2000感謝SS【相互壁ドンの威力】

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※この物語の時間軸は、本編より若干進んでいるのですが、第六章が終わり、きりがよく、ネタバレも特にないので、公開致します。




本編とは違いコメディですので、『世界観を崩したくない』という方は、見ないことをおすすめ致します。


『大丈夫!!』という方だけどうぞ!!











――――――――――





 今日は、宝石の仕分けの仕事で、ランゲ侯爵家にお邪魔していた。

「シャルロッテ、そろそろ昼休憩にしないか?」

 ゲオルグに言われて、私は、宝石を確認するためのルーペから顔を上げて答えた。

「そうね。どう? エイド」

「はい。丁度、書類の確認が終わりました。ただ……俺は、午後からの仕事のために、この辺りを片付けて向かいます。先に行って下さい」

「手伝いましょうか?」

「すぐに終わらせるので、大丈夫ですよ」

 エイドの机の上を見ると、何なんらかの分類がしてあるように見えた。もしかしたら、下手に私が手伝わない方がいいのかもしれない。

「じゃあ、ごめんね、エイド。先に行っているわね」

「はい」

 エイドが片付けてくれるというので、任せることにして、私たちは食堂に向かうことにした。

 ゲオルグと2人で食堂に入ろうとしていると、エカテリーナが、丁度食事が終わったようで、入れ代わりに食堂から出てきた。

「あら、今から休憩? あ、そうだ。シャルロッテ。以前、あなたが読みたがっていた本を、書庫で見つけたの。今から少し時間はないかしら、私もこの後、王宮に行く用事があるから、きっとあなたが仕事が終わった頃には、ここにはいないと思うの」

「ありがとう、嬉しいわ。ゲオルグ、ごめんなさい、先に行って」

 私は本を借りるために、ゲオルグに先に食堂に行くように伝えた。

「書庫だろ? 私も行こう」

 すると、ゲオルグも同行してくれることになった。

「そう? じゃあ、3人に行きましょう?」

 こうして私たちは、ランゲ侯爵家の書庫への向かった。
 ランゲ侯爵家の書庫は、とても充実している。元々ランゲ侯爵家は、幅広い分野で活躍しているからか、戦略書や地形、防災、地質、土木、教育、農業など、本のジャンルも種類も豊富だった。

「え~と、この辺にあったのよね」

 エカテリーナが、本を探していると、私は、棚の上の方に見覚えのある恋愛小説を見つけた。

「あ……」

「どうした? これか?」

 私が立ち止まって、本棚の上に置いてあった本の背表紙を眺めていると、ゲオルグが本を取ってくれた。

「どうしたの~~? ああ、この本に興味があるの?」

 エカテリーナが、ゲオルグの取った本を覗き込みながら尋ねた。

「これ、以前にエマと、恋愛イベントを知ろうとして、この本の中に書かれていたことを、試したことがあったのよ」

 私の答えを聞いたエカテリーナが、目を輝かせながら言った。

「え? 何それ、面白そう。どういうこと?」

「ゲオルグ。貸してもらえるかしら?」

「ああ」

 楽しそうなエカテリーナを見ながら、私はゲオルグから本を受け取って、ページを開いた。

――――――――――――
 
 マリアは、背中を壁に押し付けられた。ジェームスは、マリアの顔の横に両手をついて、見下ろしなら、妖艶に微笑んだ。

「マリア、もう、逃がしませんよ」

マリアは、心臓が高鳴るのを押さえられなかったのだった。

――――――――――――

「ここなのよ。これがどうして恋愛イベントなのか、わからなくてやってみたの」

 すると、エカテリーナとゲオルグが、本を読んだ。

「それで? わかったの?」

 エカテリーナは、首を傾けなら尋ねた。
 エマと試したときには、それほど変わらなかった。
 だが、エイドと試した時には、心臓が跳ねた気がしたが、それが心臓の高鳴りなのかはわからなかったのだ。

「ん~~わかったような、わからなかったような……しっかりとわかったとは、言えないの。ごめんなさい」

 私が曖昧に答えると、エカテリーナがゲオルグを見て、ニヤリと笑った。

「じゃあ、ゲオルグ、やってあげなさいよ」

「……別に構わない」

 まさか、ゲオルグが引き受けてくれると思わなかったので、驚いてしまった。
 てっきり呆れられるかと思っていた。

「え? ゲオルグがしてくれるの?」

「ああ。もう一度、本を貸してくれるか?」

「う、うん」

 私がゲオルグに本を渡すと、ゲオルグは真剣に本を読んだ後に、「行くぞ?」と言った。

「お願いします」

 私が答えると、急にゲオルグが私の手を取ると、壁に私の背中を優しく押し当てた。

(え?)

 そして、両手を私の顔の横に着くと、美しく笑いながら言った。

「シャルロッテ、もう逃がさない」

 顔が熱いし、心臓が早い。どうしよう、とにかく……。

「……恥ずかしい」

「……かなり、照れるんだが」

 どうやら、ゲオルグと同時に同じ感想を持ったようだった。
 ゲオルグの顔も真っ赤になっていたし、私も真っ赤になっていた。

 とても恥ずかしくて、目を合わせられないが、これが心臓の高鳴りなのかは、わからない。

「どう? 心臓は高鳴ったの?」

「とても恥ずかしかったけど………これが心臓の高鳴り……なの……かしら?」

 するとエカテリーナの声が聞こえた。

「なるほど、断定できるほどではないのね。じゃあ、今度は、逆で試してみたらどうかしら?」

「逆って?」
 
 私が尋ねると、エカテリーナが本を見ながら言った。

「これは、見下ろしなら言ったのでしょ? ゲオルグを壁に押しやって、シャルロッテが見上げながら言ったらどうかしら?」

「なるほど……やってみてもいい?」

 私は、ゲオルグを見ながら尋ねた。すると、ゲオルグはあっさりと頷いて返事をしてくれた。

「ああ」

 今度は、ゲオルグが壁際に移動した。
 私はゲオルグの腰の横辺りに両手を着くと、ゲオルグを見上げて、言った。

「ゲオルグ、もう逃がさないわ」

 その瞬間、ゲオルグに抱きしめられていた。

「え?」

「ちょっと!! ゲオルグ何してるのよ!!」

 エカテリーナが、大きな声を上げると、ゲオルグが、はっとしたように私から離れた。
 そして、真剣な顔で私の両肩を掴みながら言った。

「シャルロッテ、これはダメだ。危険すぎる。可愛くて仕方なくて、理性が呆気なく崩壊して、抱きしめてしまった。シャルロッテ、いいか、絶対にこれは、私以外にしてはダメだ」

「あなたが一番危険でしょ?」

 エカテリーナが、ゲオルグの手を私の肩から外しながら言った。

「悔しいが、姉の言う通りだ。これは危険すぎる。恋愛イベントどころか、強力な媚薬だ。心臓が高鳴るどころか、破けるかと思った」

 そう言って、ゲオルグは、深呼吸をすると、急いで本を本棚にしまった。

「え、ええ。気をつけるわ」

「そうしてくれ」

 どうやら、これはマネをしてはいけないほど、危険なことだったらしい。
 私は、この恐ろしい結果を、エマにも報告しようと誓ったのだった。

 
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