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共通ルート
1 ここはどこ、私はだれ?
しおりを挟む(今、何時くらいだろう・・。
天気がいいならそろそろ起きて、溜まった洗濯物をなんとかしなきゃなぁ~。
ああ。起きたいような、起きたくないような・・。
休日っていいよね・・。
シーツが気持ちいい。あれ?シーツ?)
気が付くと肌ざわりの良いシーツに包まれていた。
(これって?もしかしてシルク?なんで?あれ?家のシーツは、シルクのシーツじゃない!!)
慌てて目を開けると神戸の異人館も顔負けの豪華絢爛な部屋で、これまた大きなベッドの中にいた。
(は?)
急いでベッドから飛び起きた。
「え?ここ・・どこ?」
(あれ?私、旅行中だっけ??)
ベッドの横にたってキョロキョロと周りを見渡すと頭部に鈍い痛みを感じた。
(頭が痛い。二日酔い??
まさか、飲み過ぎて記憶なくした????)
状況がわからず立ち尽くした。
「あの・・・誰かいませんか・・・?」
無意識に口から出た言葉は、とても小さくて、シンとした室内に消えてしまった。
部屋を見渡すと扉を見つけた。ヨロヨロとした足取りで、扉に向かうと、鏡が見えた。
(あれは、鏡だよね。)
「は・・・・?」
鏡の中には、海外の映画でしかみたことのない美少女が不安そうな顔でこちらを見つめていた。
え?え?え?
金色の髪・・・?緑の目?
思わず、右手を上げてみると、鏡の中の女の子も片手を上げた。
「ええ~~~~~~~~~!!!!!」
こんな大きな声がでるのか?といくらいの大きな声で叫ぶと、
扉の前でバタバタと誰かが近づく音がした。
ドンドン。
「お嬢様、失礼致します。」
扉を叩くと同時に黒服の男性と女性が部屋に飛び込んできた。
高校の時の文化祭で着た執事服とメイド服をとびきり上品な生地で作った感じの服装だった。
「ここはどこですか?私はだれですか?」
口から出てきた言葉はあまりにも現実に使う場面があるとは思えないようなセリフだった。
目の前の男性と女性も大きく目を見開いた。
3人が無言で立ち尽くし、見つめ合うこと数秒。
最初に口を開いたのは男性だった。
「質問に質問で返すのは申し訳ないのですが、お嬢様、ご自分のお名前はわかりますか?」
「いえ・・。」
そう答えた途端、男性の顔色が真っ青になった。
「申し訳ございません。
旦那様にご報告致しますので、しばらくお待ち頂けますか?
その質問のお答えは旦那様からお伺い下さい。」
男性の言葉に声もなくうなずく。
すると、男性は背中をむけて女性の方を向いた。
その背中をぼんやりと見つめた。
(背筋がピンと伸びて、狂言師の方みたいな美しい姿勢だな~。
は!!それどころじゃない。姿勢がいいとか言ってる場合じゃない。)
「私は旦那様にご報告する。お嬢様を急ぎベッドへ。」
「畏まりました。」
男性は扉から出て行き、女性に話しかけられた。
「お嬢様、ベッドへお戻り下さい。
私が抱き上げてもよろしいでしょうか?」
「え?いえ、自分で戻れます。」
女性に付き添われて、言われるままにベッドに戻った。
ベッドの背もたれにクッションを置かれ、クッションにもたれかかるように座ると、女性が足元に布団をかけてくれた。
「ありがとうございます。」
お礼を言った瞬間、女性の表情がなくなった。
「あの、大丈夫ですか?」
心配になって声をかけると女性は、はっとしたようにこちらを向いて頭を下げた。
「申し訳ありません。
お嬢様、どこか痛いところはありませんか?」
「頭が少し痛いです。あの・・・。」
ドンドン。
「ベルナデット、入るぞ?」
話かけようとした瞬間・・。
ノックと同時に、ハリウッドスターのような男性が部屋に入ってきた。
まばたきする間もなく、男性はつかつかとベッドの横に座り、手をぎゅっと握ってきた。
「ベルナデット。
セバスから記憶が混乱していると聞いた。
私がわかるかい?」
「いえ・・・。」
「な・・・・!!!」
目の前の超絶美形の男性が悲しみの表情を浮かべたが、こちらはそれどころではない。
(わ!わ!!わ!!!ど、どうしよう。
こんな、顔のいい人に手を握られて、どうする私?
なにこれ?
どういうこと?サプライズ企画なの?
これ、どこかにカメラがあるの???)
「もうすぐ、医師がくる。
ああ、私の最愛の娘ベルナデット。
階段から落ちて、記憶を無くしてしまうなんて。」
慌てているうちに話が進んでおり、少し状況がわかってきた。
どうやら私は、ベルナデットという名前で、この美男子の娘で、階段から落ちて記憶を無くしてしまったらしい。
(ああ、この人の娘・・。
通りで鏡の中の少女が可愛いはずだよ。)
納得していると、はたと重大なことに気付く。
(あれ?私?平凡なOLだったよね?
えっと・・・名前は・・あれ?名前はわからない。
昨日まで会社で電話対応してたよね・・・?
あれ?どういうこと??神隠し??タイムスリップ??
何これ?え?え?ここってどこ?)
「あの・・ここはどこですか?私はだれですか?」
もう一度先程の質問を繰り返した。
「ここは、イリュジオン王国で、おまえは私の最愛の娘で、ベルナデット・アトルワ。
本当にわからないのかい?」
「はい・・・。すみません・・・。」
「ベルナデットが謝った!!
どういうことだ!ああ、ベルナデット!!
可哀そうに!!」
そう言うと、父親という男性に抱きしめられた。
(わ!抱きしめられて・・。
え?どうしよう!こんなイケメンに抱きしめられるって!!
照れる!!
でも幸せ!
・・・いや、落ち着け、私、喜んでる場合じゃない。
イリュジオン王国?そんな国あった??
わからない。もっと世界のこと勉強しておけばよかった。)
グ~~~~。
お腹の虫は本当に空気を読まない。
テスト中や大事な会議でお茶を出している時や、今のこの状況で鳴る。
勘弁してほしい。
「マリーすぐに食事の用意を。」
「はい。只今。」
セバスと呼ばれた男性が女性に向かって指示をだし、女性が部屋から出ていった。
先程から傍にいてくれた女性はどうやらマリーという名前らしい。
しかも、食事を準備してくれるらしい。有難い。
「ベルナデットは2日も眠り続けていたのだから、気にする必要はないよ。
フフフ。恥じらう姿は6歳でも立派な淑女だね。」
父親が片目を閉じて微笑んだ。
(ウインク!凄い。絵になる。
いやいや、それどころではないよ!
新事実!!
私は6歳???鏡で見た時は、10歳くらいかと思った!!
この子、いや、私・・・6歳なのか・・・。
随分、若返ったな。
昨日までは・・あれ?いくつだったかな?)
いつの間にか医師が到着し、記憶以外は問題ないとの診断を受けた。
部屋に運ばれた食事を取って、ベッドの潜りこみ目をつぶった。
精神的な疲労感で、まるで意識を失うようにその日は眠りについた。
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