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第2章 東京編
From ~ 和巴
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利沙と静流先輩にメールを送り、
嵯峨野書房にも連絡を入れた。
実は嵯峨野書房から薫さんの自伝を出版しないか?
というオファーを受けていて、その準備が着々と
進められているのだ。
そして、
クラシックバレエ『ジゼル』の設定をそのまま
現代劇にしたミュージカル『ジゼル』は、
東京を皮切りに福岡・広島・大阪・仙台・札幌、
そして再びスタート地点の東京というスケジュールで
日本列島縦断し計6大都市で順次公演予定で。
その結果如何で海外での追加公演もあり得るとの
事なので。
薫さんはバレエの個人レッスンの他に
英会話も始めた。
私もベラに発音を聞いてもらったり、
英語しか話さない日を決めて挑戦したりと
慌しく日々が過る。
利沙達はどうしてるかなぁ……。
電話しようと思いながら ―――
ながら・ながらで日々が過ぎ、いつの間にか*月。
隣のジュニの言葉は理解できるようになった。
今の私の英語レベルは7才児と一緒ってコト?
あっ! そういえば、静流先輩って、
10月結婚じゃないか?
私は、やっと利沙に電話をかけた。
『生きてた?!』
「うん、中々連絡できなくてごめん。
異動したんだって?」
『うん。本社の秘書課にね。要は体(てい)のいい
使いっ走りよ。酷いと思わない?』
「アハハハ ―― それだけ社長から頼りにされてる
って事でしょ」
『そっちの会社はどう?』
「ま、ぼちぼちやってます。
英語も何とか話せるようになってきた。でさぁ、
来月静流さんの結婚式じゃなかった?」
私達は結婚祝いのプレゼントを議論し、
何よりも ”ご当地土産”にこだわり、
・大定番 東京ばな奈
・あげもち屋の「パンチェッタあげ餅」
・代官山「LE LABO(ルラボ)」のフレグランス
そして、
Mrシャルマのお店でメード・イン・ジャパンの
ワインをギフトセットにしてもらい送る事にした。
「すっごぉい、こんな高級ワイン送るの?」
ベラが驚く。
「世話になってる人だし、
今度結婚して社長夫人になるから」
「どこの会社?」
「総合商社の各務」
「ふ~ん……なんで、
そんな人と知り合いなの?」
ベラが私を見る。
「親友のお姉さんなの」
「そっか」
(From ~ 東京 By利沙)
昨日、和巴からワイン他静流姐への贈り物が届き、
昼休みに彼女へ電話をかけた。
年末は2*日くらいにそっちへ行くと告げ
通話を切ると、最近お気に入りのワインバーの
オーナーさんから着信が入った。
「イエスっ!」
嬉しさで上ずる声を抑えて冷静に着信ボタンを押す。
「もしもし?」
『お久しぶりです、お元気でしたか?
中々お電話もメールもできなくて……』
「気にしないで下さい。お忙しいんでしょう?」
『忙しいといえば忙しいんですが……あの……
土曜のお昼は何かご予定がありますか?』
「いえ、ありません」
鼓動が速くなる。
『では、異動祝いもかねてランチにご招待したいの
ですが……』
やったぁぁぁぁ!!
「はい! 喜んで」
待ち合わせの時間と場所決めて通話を切る。
何着て行こうかなぁ??
大人の女しく、清楚にキメないと!!
私はクローゼットの物色を始めた。
この嬉しさ、誰に伝える??
ちょっと時間は早いけど……
和巴へモーニングコールだ!!
早速、私は和巴に電話をかけた。
数回の呼び出し音の後に和巴が出た。
『……はい』
「かずぅ? おっはよぉぉぉぉ!!!」
沈黙……
「あれっ……和巴?」
『……ちょっと待って』
あれあれ?
違う声だ……? 誰?
電話の向こうで、電話に出た子が和巴を
起こしている。
和巴の怒鳴り声がしてバタバタと騒々しい物音が
聞こえて。
和巴が話し出す。
『ご、ごめん! 寝てた!』
「いや……それは良いんだけどさぁ……
私『新しい彼氏』作れとは言ったけど
『彼女』作れとは言ってないよ?」
少し笑う。
『もぉぉう! 違う! あ、言ってなかったね。
ルームメイトなの』
「そうなの?」
『何故か、いつも私のベッドで寝てる』
私は笑い出した。
「かずって、ほんとにモテモテだねぇ?
ホントにルームシェアだけ?」
『ホントよ!……当分の間恋愛はこりごり……』
語尾を吐き出すように小さな声で言った。
「ワイン届いた。で、明日静流姐に渡す。
で! で! 聞いて聞いて!!」
『……なに?』
「詩音さんから電話があった! 土曜日ランチ!!」
『へぇ~、そりゃ良かったね』
和巴が笑う。
「嬉しくてさあ、
モーニングコールついでに電話した!」
『……朝の5時だよ』
和巴は笑ってる。
「あ、ごめん。マジ、嬉しくてさ……
じゃ、添い寝嬢と仲良く寝てね」
『寝らんわ!!』
和巴は笑いながら怒っていた。私も笑った。
*** *** ***
(From ~ 和巴)
利沙と通話を切るとベラが部屋から出てきた。
「あんたねぇ、人の電話……」
「ごめん、寝ぼけててさ、つい……、」
言いながら頭を下げる。
「……っつうか、人の布団に入ってくるな!」
少し笑いながら言う。
「だって、もう寒いじゃん?
つい人肌恋しくなってさ」
ベラは笑いながらタバコを吸い始めた。
ったく……ほんとに反省してんの??
「……もう、ひと眠りする。
ベラは今度こそ自分の部屋で寝てよ?」
ベラを置いて部屋に戻りベッドに入る。
新しい彼女とランチか……嬉しそうに話しちゃって!
嬉しすぎて抑え効かなくならなきゃ良いけど……
和巴は利沙を少し心配しながら眠った。
嵯峨野書房にも連絡を入れた。
実は嵯峨野書房から薫さんの自伝を出版しないか?
というオファーを受けていて、その準備が着々と
進められているのだ。
そして、
クラシックバレエ『ジゼル』の設定をそのまま
現代劇にしたミュージカル『ジゼル』は、
東京を皮切りに福岡・広島・大阪・仙台・札幌、
そして再びスタート地点の東京というスケジュールで
日本列島縦断し計6大都市で順次公演予定で。
その結果如何で海外での追加公演もあり得るとの
事なので。
薫さんはバレエの個人レッスンの他に
英会話も始めた。
私もベラに発音を聞いてもらったり、
英語しか話さない日を決めて挑戦したりと
慌しく日々が過る。
利沙達はどうしてるかなぁ……。
電話しようと思いながら ―――
ながら・ながらで日々が過ぎ、いつの間にか*月。
隣のジュニの言葉は理解できるようになった。
今の私の英語レベルは7才児と一緒ってコト?
あっ! そういえば、静流先輩って、
10月結婚じゃないか?
私は、やっと利沙に電話をかけた。
『生きてた?!』
「うん、中々連絡できなくてごめん。
異動したんだって?」
『うん。本社の秘書課にね。要は体(てい)のいい
使いっ走りよ。酷いと思わない?』
「アハハハ ―― それだけ社長から頼りにされてる
って事でしょ」
『そっちの会社はどう?』
「ま、ぼちぼちやってます。
英語も何とか話せるようになってきた。でさぁ、
来月静流さんの結婚式じゃなかった?」
私達は結婚祝いのプレゼントを議論し、
何よりも ”ご当地土産”にこだわり、
・大定番 東京ばな奈
・あげもち屋の「パンチェッタあげ餅」
・代官山「LE LABO(ルラボ)」のフレグランス
そして、
Mrシャルマのお店でメード・イン・ジャパンの
ワインをギフトセットにしてもらい送る事にした。
「すっごぉい、こんな高級ワイン送るの?」
ベラが驚く。
「世話になってる人だし、
今度結婚して社長夫人になるから」
「どこの会社?」
「総合商社の各務」
「ふ~ん……なんで、
そんな人と知り合いなの?」
ベラが私を見る。
「親友のお姉さんなの」
「そっか」
(From ~ 東京 By利沙)
昨日、和巴からワイン他静流姐への贈り物が届き、
昼休みに彼女へ電話をかけた。
年末は2*日くらいにそっちへ行くと告げ
通話を切ると、最近お気に入りのワインバーの
オーナーさんから着信が入った。
「イエスっ!」
嬉しさで上ずる声を抑えて冷静に着信ボタンを押す。
「もしもし?」
『お久しぶりです、お元気でしたか?
中々お電話もメールもできなくて……』
「気にしないで下さい。お忙しいんでしょう?」
『忙しいといえば忙しいんですが……あの……
土曜のお昼は何かご予定がありますか?』
「いえ、ありません」
鼓動が速くなる。
『では、異動祝いもかねてランチにご招待したいの
ですが……』
やったぁぁぁぁ!!
「はい! 喜んで」
待ち合わせの時間と場所決めて通話を切る。
何着て行こうかなぁ??
大人の女しく、清楚にキメないと!!
私はクローゼットの物色を始めた。
この嬉しさ、誰に伝える??
ちょっと時間は早いけど……
和巴へモーニングコールだ!!
早速、私は和巴に電話をかけた。
数回の呼び出し音の後に和巴が出た。
『……はい』
「かずぅ? おっはよぉぉぉぉ!!!」
沈黙……
「あれっ……和巴?」
『……ちょっと待って』
あれあれ?
違う声だ……? 誰?
電話の向こうで、電話に出た子が和巴を
起こしている。
和巴の怒鳴り声がしてバタバタと騒々しい物音が
聞こえて。
和巴が話し出す。
『ご、ごめん! 寝てた!』
「いや……それは良いんだけどさぁ……
私『新しい彼氏』作れとは言ったけど
『彼女』作れとは言ってないよ?」
少し笑う。
『もぉぉう! 違う! あ、言ってなかったね。
ルームメイトなの』
「そうなの?」
『何故か、いつも私のベッドで寝てる』
私は笑い出した。
「かずって、ほんとにモテモテだねぇ?
ホントにルームシェアだけ?」
『ホントよ!……当分の間恋愛はこりごり……』
語尾を吐き出すように小さな声で言った。
「ワイン届いた。で、明日静流姐に渡す。
で! で! 聞いて聞いて!!」
『……なに?』
「詩音さんから電話があった! 土曜日ランチ!!」
『へぇ~、そりゃ良かったね』
和巴が笑う。
「嬉しくてさあ、
モーニングコールついでに電話した!」
『……朝の5時だよ』
和巴は笑ってる。
「あ、ごめん。マジ、嬉しくてさ……
じゃ、添い寝嬢と仲良く寝てね」
『寝らんわ!!』
和巴は笑いながら怒っていた。私も笑った。
*** *** ***
(From ~ 和巴)
利沙と通話を切るとベラが部屋から出てきた。
「あんたねぇ、人の電話……」
「ごめん、寝ぼけててさ、つい……、」
言いながら頭を下げる。
「……っつうか、人の布団に入ってくるな!」
少し笑いながら言う。
「だって、もう寒いじゃん?
つい人肌恋しくなってさ」
ベラは笑いながらタバコを吸い始めた。
ったく……ほんとに反省してんの??
「……もう、ひと眠りする。
ベラは今度こそ自分の部屋で寝てよ?」
ベラを置いて部屋に戻りベッドに入る。
新しい彼女とランチか……嬉しそうに話しちゃって!
嬉しすぎて抑え効かなくならなきゃ良いけど……
和巴は利沙を少し心配しながら眠った。
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