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プロローグ
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*** *** *** *** *** ***
遠くにピアノの音が聞こえる。
あれは、あのメロディーはなんだろう。
あれは……そう、ビリー・ジョエルだ。
ビリー・ジョエルのオネスティ。
彼が大好きだった曲、そして俺も……
不思議だ、とジェイクは思う。
情事に耽っている時、
何故かこの曲がいつも頭の中を流れる。
透明感のある歌声と、
夢見るような甘いピアノの調べ。
それがこの悪夢のような現実から、
意識を反らせてくれるのだ。
現実はというと、
こうして欲望に塗れた中年男に、
後ろから貫かれているのだから。
見知らぬ男が容赦なく腰を打ちつけてくる。
「あっ……はぁっ ―― あっあっっ……」
「イイのかい? ジョン」
「んっ、んン ―― ああっ」
「もうイキそうかい? ん?」
男の息が荒くなる。
汗ばんだ肌を擦り寄せられて思わず目をしかめると、
感じていると勘違いしたのか、
興奮した男のイチ物が一段と大きくなった。
何でもいいから、早くイってくれ。
そう心の中で毒づいた瞬間、
男がくぐもった声を出して、ジェイクのナカで果てた。
「いやぁ、キミは最高だよ」
ベッドで気だるく横になったままのジェイクに、
男は満足そうな笑みをよこした。
「次はいつ会えるかな?」
「気が向いたらね」
「相変わらずツレないね。でもそんなところが
たまらないんだけどね」
そう言うと、下卑た笑いを浮かべる。
「じゃあこれ、ここに置いとくよ」
長財布から万札を3枚出すと、
ベッドサイドのテーブルへ置いて男は
去って行った。
まだ、あの曲が流れている。
エディ……
久しぶりに、彼の名を口に出してみる。
これが夢なのだとしたら、
いつか覚める日が来るのだろうか……。
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