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理想と現実
しおりを挟む「慎さん……ちょっと痛いよ」
「あ、悪りぃ」
「心配事?」
「……イイヤ、何でもない」
リビングのソファに座り、
後からジェイクを抱きしめていた柊は、
知らないうちに強くジェイクを締め付けていた
らしい。
柊は目の前にある風呂上がりのジェイクの首に
吸い付いた。
「っ……首は止めて?」
「……どーして?」
「だって……服で隠せないし……」
「じゃあ、見えないとこならオッケーなんだね」
「わっ」
柊は、ソファの背もたれを倒しベッドにしてから
ジェイクを押し倒し、最近忙しくてご無沙汰だった
ことに気がついた。
ジェイクが一緒に暮らし始め早や3ヶ月 ――
クリスマスも正月も足早に過ぎ、
巷のカップル達の次なる興味は1年で最初の
大イベントに移りつつある。
優しく抱き締め直したジェイクにキスをしながら、
その日のリクエストを尋ねる。
「―― バレンタインは何したい?」
「何、って……普通は何するの? 俺、決まった相手
なんかいた試しないから分かんない」
「ふっ ―― じゃ、当日までのお楽しみって事で」
キスする角度を変え、どんどん深く濃厚なものに
してゆく。
「ん ―― んふ……んん……ふぁ」
次いでジェイクのTシャツをまくりその身体を
まさぐっていると、
「こ ―― ここでするの?」
「ああ、したい」
「……んぁ……」
「嫌か?」
「なんか、恥ずかしい……しん……さぁ……んぁ
―― 電気消して……あっ」
「なんで?」
「だって……ぁん……み、見えて、う……はぁ」
「今さらだな。お前の身体で知らない所はねーよ」
「!やぁ……ん」
柊はジェイクのアンダーウェアも全て
剥ぎ取った。
「足開け」
「……や……」
「開かないとヤれねーだろ」
「なら、電気……」
「ふ~ん面白い。我慢比べか?」
柊は電気は付けたまま、
ジェイクのふくらはぎを舐めた。
そして、徐々に上へ這い上がっていった。
ジェイクから力が抜けていくのが分かり、
すかさず足の間に身体を入れる。
「やっ……」
「俺の勝ちだな、諦めろ」
そして再び、舌が絡まるほどの濃厚なキスを
しながら、指をジェイクの秘部へ押し入れた。
「んっふ……んぁぁ……」
指の出し入れのスピードを上げると
ジェイクからは甘い声が漏れる。
「ふぁん……あぁ……んぁ」
このままジェイクがイクとこを見るのもいいが、
やはり今夜は自分の欲を早く出したい気持ちが
勝ったため指を抜いて、硬くなった自身を
ジェイクにゆっくりと挿入した。
「ああぁ ―― はぁ……はっ」
そしてジェイクの細い足を肩に掛けて、
出し入れを開始。
「ふぁ、ん、ん、んぁ、あ、あ……や……
おち、落ちる……」
「っ ――掴まれ……」
「んっ……ふぁ、あ、んぁ、慎……」
強弱を付けて久々の行為を楽しんでいたが、
そろそろジェイクも体力的にヤバそうになってきた
ため、ラストスパートをかけた。
「くっ……」
「んぁ、あ、あ、んぁ……ひゃ、あぁ、あ、だめぇ、
あ、イクっ ―― んんっ」
ジェイクの身体が弓なりにしなる。
「……もーちょい付き合えっ」
「ふぇ……ん、んぁ、ん、も、無理……」
「……っう……」
ジェイクのナカで排出された柊の白濁が
ゆっくり広がっていく ――。
*** *** ***
柊とジェイクが1階玄関エントランスホールから
出て来たのを、フロントミラーで確認し
運転席からその黒服男は降り立った。
それまで柊とごく普通に話していたジェイクが、
その黒服に気付いた途端、
表情を強張らせたのに、柊も訝し気になる。
「新しいセフレ?」
(オレってば、何気に睨みつけられてるけど、
こんな黒服のいかにもヤバそな男に
恨みを買った覚えはない)
「ま、そんなとこ」
黒服は無言でジェイクへ車の後部座席へ乗るよう
顎でしゃくった。
「何だよあいつ、喋れねぇのか?」
「意外とシャイなのかも」
(に、したって、いい加減ガン飛ばすの
止めてくれねぇかな。
さすがのオレもだんだん
腹が立ってきた……)
「―― ジェイク様、お早くお乗り下さい」
「おっ ―― 喋った……」
「さ、ジェイク様」
「今日はこちらの彼に送ってもらう、って言っても、
ダメなんだろうね」
「旦那様がお待ちですので」
都村家の使用人達は正親の事は”旦那様”
その父親、つまり都村家第1*代目当主・都村**
の事は ”御前様”と呼ぶ。
従って今回ジェイクを呼んでいるのは父・正親
という事になる。
ジェイクは柊に向き直った。
「じゃ、慎さん、昨夜はすっごく楽しかった」
「今朝も、だったろ?」
柊のそんな思わせぶりな言葉に、
初なジェイクはかぁぁぁっと頬を赤らめた。
柊はあの黒服に聞かれないよう、
ジェイクの耳元へ口を寄せ小声で囁く。
「用事が済んだら帰っておいで、今夜はジェイクの
大好物のおでんにしよう」
「やったぁ。じゃ、なるべく早く帰るね」
「―― ジェイク様」
「分かってるよっ」
「―― 慎さん……」
「ん? なんだ?」
「……あ、いや、何でもない」
一旦車に向かうが、すぐに引き返して
自分から柊に唇を重ね、熱い口付け。
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