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続き
しおりを挟む食事もそろそろ終わろうという頃、
ジェイクのスマホに慎之介から着信が入り、
ジェイクは急いで化粧室に向かった。
「もしもし?」
『楽しんでるか? 食事』
「うん、もうお腹いっぱい。はち切れそう……」
ジェイクの言葉に慎之介は笑った。
『何時頃、迎えに行こうか?』
「仕事はもう終わった?」
『あぁ。あともう少しで終わる』
「じゃあ、終わったら電話して?
こっちも大体食べ終わってるし、店があるから
もうすぐ皆帰ると思うんだ。俺はその後に大地と
ちょっと会うから」
『あぁ、あいつ、携帯番号を変えたって言ってたぞ?
真面目にやってるのか?』
「うん。俺にも連絡あったよ。何でも、携帯、
水たまりに落としちゃったらしい」
『そうか……じゃあ、会社を出る時に電話するよ』
「あ、ねぇ。慎さんはご飯まだだろ? 例のおでん屋
にでも行く?」
『今日は行かない。さっさと面倒事終わらせて、
ジェイと2人きりになりたいから』
その言葉に少し赤面する。
「分かった……じゃあ、待ってるね」
通話を切ったジェイクは、
慎之介の『2人きりになりたい』という
言葉を思い返し、更に顔を赤らめた。
2人になって、何をするんだ?
……ナニをするんだよね?
ま、久しぶりだから慎さんが逸る気持ちは分かるし
俺も一緒だけど……
まず風呂に入って、身体をキレイにして……って!
ああぁあ! 今から妄想してどうするっ! 俺。
でも、そうなる事は仕方がないわけで……
電話でしかしてないし、直接触られたら……あぁ!
いかんいかん!!
席には皆んな居るのに!
妙な妄想して顔赤いままじゃ怪しまれるじゃん!
両頬を叩いて席に戻ると、
「誰からだったの?……って、顔が赤いぞ。
どうかした?」
忍が不思議そうな顔をしてジェイクを見た。
「え? あぁ、今になって冷酒の酔いが回ってきたん
だよ。電話は大地からだった。もうすぐこっちに
つくって」
「そっか。あいつも頑張ってるんだな」
「うん。色々迷ったけど、やっぱ働いてみて本当に
良かったって、言ってた」」
ジェイクは皿に残ってる料理をたいらげた。
「(それ)にしても ―― ここの料理美味いね」
呟いたジェイクに、
「遅すぎ。食い終わった後に言うなよ」
あつしが笑う。
「アハハハ ―― そっか」
ジェイクも笑いながら梅酒を飲み干した。
*** *** ***
藤乃家御一行様の乗ったワゴンタクシーを見送り、
ジェイクは大地に電話をかけた。
『もしもし? 食事会は終わった?』
「うん。今、どこにいる?」
『スタバ』
「わかった。向かうよ」
大地との電話を切り、慎之介に電話をかける。
(あー、忙し……)
「もしもし? 今から大地と合流するけど、
慎さんも一緒に会っとく?」
『いや今は止めとくよ。反抗期まっただ中に親父と
顔合わせてもいい気はしないだろう』
「あいつ……反抗期なの?」
『気がつかなかったか? ま、遅かれ早かれ誰でも
通過する道だ。大人しく嵐が去るのを待つよ』
「そうだね」
『で、お前は今道頓堀のどこら辺にいる?』
「スタバにいるよ。じゃあ、戎橋に着いたら
電話してよ。向かうから」
そう待ち合わせを決め通話を切り、
スタバ店内へ入ったジェイクに、
「こっちこっち」
大地が手を振っていた。
「おまたせ」
「カフェラテでよかったでしょ」
「おぉ、サンキュ」
「ジェイ、実はさぁ……」
大地はその後の絢音との進展と、自分達の交際が
彼女の親にバレた事、そのせいで彼女の行動が
監視されるようになってしまった事を詳しく
話し始めた。
「……やっぱ ”自分のした事にちゃんと責任が
もてるなら、いいんじゃね?” なんて、たきつける
ようなこと言って悪かったな」
「ううん。全ては自分が決めた結果だし、彼女との事は
成るべくしてこうなったんだと思う。だから、彼女と
自由に会いづらくなったのは辛いけど後悔はないよ」
「ふふふ……随分と、強くなったな」
「ん、もう17だしね ―― あ、携帯番号変えた事、
一応親父にも連絡したんだけど、何て言ってた?」
「慎さんは何で変えたのかが気になるみたい」
大地は暫く考えて、
「……元カノの電話攻撃が酷くて変えた、
って事にしとこうか?」
「あ~~あ。可哀そうにぃ、沙希ちゃん。
すっかり悪役?」
「だって、それ以外思いつかな ―― ってか、なんで
ジェイクが沙希のこと知ってるワケ??」
「ふふふ……ナイショ」
「あぁ~~っ!! リーク元はおふくろだな」
ジェイクに慎之介から着信が入る。
「もしもし? 着いた?」
『ああ』
「オッケー、ちょっと待ってて」
通話を切ったジェイクは、
「じゃあ、俺行くな。たまには藤乃家にも顔出せよ」
「分かった」
大地に手を振り、
慎之介の待つ場所まで全速力で走り、
車の助手席に乗り込んだ。
「―― っお待たせ」
息を切らして笑むジェイクに慎之介も笑う。
「走ってきたのか? そんなに俺に会いたかった?」
「うん……物凄く会いたかった」
ニヤリを笑うジェイクの手を握り、
「じゃあ、参りましょうか? 2人きりの場所へ」
慎之介が嬉しそうに笑み、
握っているジェイクの手の甲にキスをして、
車を発進させた。
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