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63 ある意味、因縁の再会
しおりを挟むその残るメンバーの1人は社屋の屋上で爽やかな初夏の風に吹かれながら、昼寝の真っ最中だ。
顔の上にストローハットを載せているのでその輪郭だけしか伺えない。
ズカズカとやってきた寺沢に足蹴にされもそもそ身じろぎした。
「っってぇな。何か俺に恨みでもあんのかぁ」
「三上専務がおかんむりだ。たまには給料分きっかり働けとさ」
「ハハ、お待ちかねの仔猫ちゃんが来たんだな」
と、半身起き上がった拍子に、顔へ載せていたストローハットがはらりと落ちた。
現れた顔はかなりのイケメンで、日本の男優・伊*剛*似の精悍な面立ちをしている。
「んじゃ、俺も勤労に励むとすっかな」
のっそり立ち上がって、堂々たる巨漢をゆさゆさ揺するように歩いて昇降口へ向かった。
能勢清貴28歳。
通称:キヨ。
海保(海上保安庁)の元潜水士という異色の経歴を持つメンバー。
ウェブデザインが得意。
また、祠堂高等学校始まって以来の問題児で、6年かかってやっと卒業した。
当然、絢音とも面識あり。
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
「あーぁ、やっと来た」
出入り口から現れたキヨを見て、呆れたような口調でめぐみが言った。
ここは最上階の食堂。
「ランチタイムにやっと出てくるなんて、まったくキミらしいや」
「いやぁ~、それほどでも……んで、そちらさんが期待のニューフェースちゃん?」
話しを振られた絢音はキヨに向けた視線を逸らす事が出来ず、箸で摘まんでいた鶏のから揚げをポトリと皿に落とした。
「あれっ、あやちゃん。どうしたの?」
「あやってば」
「あららぁ~、完全に固まってるよ……」
「ふふふ ―― そんなに俺との再会が嬉しいか」
その言葉に一同は驚く。
「え――っ ! 再会??」
「おぉ。俺と絢音は同じ中学出身なんだ。因みに高校も一緒だった」
「へぇー……世間て狭いもんなんだねぇ」
「って事で、絢音、久しぶりの再会を共に ――」
その言葉を遮るよう絢音は立ち上がり、ギュッと握りしめた拳をキヨの顎めがけて打ち込んだ。
ガコッ。
驚きで目がテンになる一同。
「っってぇ、何すんだよっ。絢音ぇ」
「あなたがいると知ったら転属したくなりました。お先に失礼します」
踵を返し、足早に出ていった。
「あー ―― キヨ。何となく想像はつくけど」
「お前、彼女に何したんよ」
「……」
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