39 / 50
宵の宴
しおりを挟む
見物人達もおおかた引き払ってしまった後、
露天等で手伝ってくれた地元商工会青年部の
メンバーと生徒会のメンバーでお疲れ様会。
いい加減酔いの回った誰かが先人を切って
踊り出せば、皆こぞって踊りに加わっていく。
若い綱吉達もそんな踊りの輪へ
引っ張り込まれ――――
各自何となく、2人ずつのペアになり
”動”から”静”に変わったBGMにのせて
チークダンス。
見かけ通りこういうダンスはあまり
得意そうでない魚屋の達央が、
片隅でひと息入れているめぐみの傍らに来て、
いいムードで踊っている綱吉&手嶌ペアを見て言う。
「ところでさ、あの2人ごっつう雰囲気ええけど、
デキとるん?」
「たっちゃんはどう思います?」
「そ~やなぁ……リュウちゃんは見た感じ結構
イケイケそうやけど、あのボーヤは今どきの
若いもんに珍しいくらいの超奥手そうに見える」
「ハハハ――それ、当たってますね」
「で、実際のトコどうなん?」
「たっちゃんのご想像にお任せします」
ちょっとでも動けばキスだって容易に出来て
しまいそうな、超至近距離。
綱吉より大体頭一個半分背の高い竜二は、
こんな風に体を密着させた恰好で立つと
必然的に綱吉を見下ろす事になる。
いつもならこんな状況は
”ムッキィィーッ”となってしまう綱吉だが。
目の前には手嶌の逞しく分厚い胸板 ――。
微風が掠める度、
手嶌の鼻腔を綱吉の甘い香りが刺激する。
(やべぇ……まじ、キスしたい……)
(どうしよ、心臓バクバク言ってるし、
口から飛び出ちゃいそう……)
手嶌も綱吉も、ことさらお互いを意識し過ぎて
交わす言葉もない。
高速ドラムのよう心臓はどんどんその
スピードを上げて高鳴る。
(うち、変やないかな?)
(俺、おかしくねぇかな……?)
手嶌は少しでも気持ちを落ち着かせようと、
俯いたが、今は逆効果だった。
俯いた事で鼻と綱吉の項の距離がググッと縮まり
仄かだった香りがダイレクトに伝わってきた。
(うわっ ―― マ、マズい……何なんだこいつ。
ま、まさか……)
動悸は激しさを増し ――
身体が小刻みに震え ――
冷や汗が額を伝う……
そんな手嶌の微妙な変化にいち早く気付いたのは、
一番近くにいた綱吉。
小声で手嶌に問う。
「手嶌さん、大丈夫?」
「(はぁ はぁ)……だい、じょうぶ、じゃない……」
「誰か呼んだ方がいい?」
手嶌の手が綱吉の横顔へすぅーっと伸びて
その頬を優しく撫でる。
「な ――っ! 何、すんだよ……」
羞恥に頬を染める綱吉の初々しさが手嶌の欲情を
より増幅させた。
かぁぁぁっと紅潮する顔を見られまいと綱吉は
少し俯いた。
「はぁはぁはぁ……ごめん……ツ、ナ……」
(もう、あかん。我慢出来ん……!)
手嶌は綱吉の頬へ当てている手をそのまま顎へ
スライドさせ綱吉の唇を導きながらそっと口付けた。
「んっ……」
軽い抵抗があったのはものの一瞬で、
綱吉は気持ちのこもった手嶌の優しい口付けに
いつしか心の緊張も解き、自分から口付けに
応えていく。
露天等で手伝ってくれた地元商工会青年部の
メンバーと生徒会のメンバーでお疲れ様会。
いい加減酔いの回った誰かが先人を切って
踊り出せば、皆こぞって踊りに加わっていく。
若い綱吉達もそんな踊りの輪へ
引っ張り込まれ――――
各自何となく、2人ずつのペアになり
”動”から”静”に変わったBGMにのせて
チークダンス。
見かけ通りこういうダンスはあまり
得意そうでない魚屋の達央が、
片隅でひと息入れているめぐみの傍らに来て、
いいムードで踊っている綱吉&手嶌ペアを見て言う。
「ところでさ、あの2人ごっつう雰囲気ええけど、
デキとるん?」
「たっちゃんはどう思います?」
「そ~やなぁ……リュウちゃんは見た感じ結構
イケイケそうやけど、あのボーヤは今どきの
若いもんに珍しいくらいの超奥手そうに見える」
「ハハハ――それ、当たってますね」
「で、実際のトコどうなん?」
「たっちゃんのご想像にお任せします」
ちょっとでも動けばキスだって容易に出来て
しまいそうな、超至近距離。
綱吉より大体頭一個半分背の高い竜二は、
こんな風に体を密着させた恰好で立つと
必然的に綱吉を見下ろす事になる。
いつもならこんな状況は
”ムッキィィーッ”となってしまう綱吉だが。
目の前には手嶌の逞しく分厚い胸板 ――。
微風が掠める度、
手嶌の鼻腔を綱吉の甘い香りが刺激する。
(やべぇ……まじ、キスしたい……)
(どうしよ、心臓バクバク言ってるし、
口から飛び出ちゃいそう……)
手嶌も綱吉も、ことさらお互いを意識し過ぎて
交わす言葉もない。
高速ドラムのよう心臓はどんどんその
スピードを上げて高鳴る。
(うち、変やないかな?)
(俺、おかしくねぇかな……?)
手嶌は少しでも気持ちを落ち着かせようと、
俯いたが、今は逆効果だった。
俯いた事で鼻と綱吉の項の距離がググッと縮まり
仄かだった香りがダイレクトに伝わってきた。
(うわっ ―― マ、マズい……何なんだこいつ。
ま、まさか……)
動悸は激しさを増し ――
身体が小刻みに震え ――
冷や汗が額を伝う……
そんな手嶌の微妙な変化にいち早く気付いたのは、
一番近くにいた綱吉。
小声で手嶌に問う。
「手嶌さん、大丈夫?」
「(はぁ はぁ)……だい、じょうぶ、じゃない……」
「誰か呼んだ方がいい?」
手嶌の手が綱吉の横顔へすぅーっと伸びて
その頬を優しく撫でる。
「な ――っ! 何、すんだよ……」
羞恥に頬を染める綱吉の初々しさが手嶌の欲情を
より増幅させた。
かぁぁぁっと紅潮する顔を見られまいと綱吉は
少し俯いた。
「はぁはぁはぁ……ごめん……ツ、ナ……」
(もう、あかん。我慢出来ん……!)
手嶌は綱吉の頬へ当てている手をそのまま顎へ
スライドさせ綱吉の唇を導きながらそっと口付けた。
「んっ……」
軽い抵抗があったのはものの一瞬で、
綱吉は気持ちのこもった手嶌の優しい口付けに
いつしか心の緊張も解き、自分から口付けに
応えていく。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる