アンフェア

NADIA 川上

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柊二との出逢い

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  実桜は雀荘から出たすぐその足で、
  いつもの習慣からか?
  エリア7へふらふらと舞い戻った。

  少し疲れて植木のブロックの上に座って
  煙草をふかしていると変なオヤジが声を
  かけてきた。


「―― キミ可愛いねぇ。お名前なんてぇの?
 おじさんと"2"でどぉ?」


  (ああんっ?? 
   このあたいにハメんのにたったの”2”だと?
   ざけんじゃねぇ、タ~コ)
 

  実桜はギロっと親父を睨んで煙草を
  靴でもみ消し、その場から歩き出した。


「おい、なんだ? "2"じゃ不服か? 
 しょうがねぇなぁ。じゃあ奮発して
 "3"出すからさぁ~。待てってぇ~」


  (へっ。奮発してもたったの”3”かよ。
   話しになんねぇな。エロ動画でも見て、
   1人でシコりな)


  無視して歩き続ける実桜の肩を、
  しつこく追い縋った親父がグイッと掴んだ。


「っるせぇな。酒くせぇ息で近づくんじゃねぇ」


  実桜はその手を振り払った。

  実桜は軽く振り払っただけなのに、
  親父はわざとらしくその場に派手に転倒する。


「あ、いたたたたた ―― やったなぁ。警察呼ぶぞ
 警察」


  と騒ぎ立てるオヤジ。
  周りに野次馬が集まってくる。

  実桜は"やべっ"と、足早にその場から
  立ち去った。


「こら待て、このくそガキ」


  そう言って親父はしぶとく実桜の後を追う。

  そんな2人のやりとりを1人の男が見ていた。
  髪を後ろに撫でつけ、白のスーツに黒いシャツ。

  煙草を道路に投げ捨てると2人の消えて行った方に
  歩き始めた。


  実桜は親父から逃げながら誘導されるよう
  ホテル街の方に入って行き、
  それに気づいた時には追いついた親父に
  腕をねじり上げられていた。


「ちょっ ―― なんだよ、おっさん。あたいは
 ウリなんてしねぇって」

「ちょっと可愛い顔してお高くとまってんじゃねぇ。
 お前ら顔で客選んでるんだろ。調子乗るんじゃねぇ。
 おじさんがたぁ~っぷりとこの中でお説教してやる
 からなぁ~」


  そう言って実桜は髪を引っ掴まれ
  ホテルの中に連れ込まれかけた。


  (やべぇ。理玖っ)


  実桜がそう思った瞬間、
  1人の男が親父の腕を掴んで地面に引き倒し、
  哀れ親父は地面とキスをしていた。

  その男は親父の後頭部を皮靴で踏みつける。

  いかにもコッチの人間じゃなさそうな男の姿に
  実桜は完全に絶句した。


「最近の子供は礼のひとつも言えないのか」


  そう言われ、実桜はハッとして頭を深々と下げて
  お礼を言った。


「あ、ありがとう、ござい、ました……」

「キミ、名は? 」


  そう言う男の顔を実桜はこの時、
  初めてじっくりと見た。


  (あれ ――っ、何か、何処かで会った事ある?)
  

「―― みお」

「ふぅ~ん……じゃ、まぁ、せいぜい浮浪児狩りに
 遭わねぇよう気をつけるんだな」


  男はそう言うと実桜に背を向け歩き出した。


「ま、待って! おっさ ―― 小父さん!」


  男は突然自分の後を追ってきたあたいを
  めっちゃ警戒してか? いきなりスピードアップ。

  人間って ”逃げるモノは追う” 習性、というか
  本能みたいなもんがあるんだ。

  全速力で男を追いかけた。

  そんな夜中の追いかけっこは、ちょうど交差点の
  辺りに差し掛かった頃、夜中の割りには途切れず
  流れてる車の群れのせいであたいに軍配が
  上がった。

  2人ヨレヨレになって、肩で荒い息をつく ――

  はぁ はぁ はぁ はぁ ……


「だ……だから……ちょっ、と待てっ、て、言った
 のに……」

「ふ、ふ、ふつう、いきなり、見知らぬ女、が、
 追っかけて、来たら、逃げる、だろ……」


  そう言って男はその場にしゃがみ込んで
  しまった。


「ア、ハハハ ―― そりゃそっか……ねー、顔、
 真っ青になってきたよ。だいじょーぶー?」

「あ、あぁ ―― い、いや、ちょっと気持ちが悪い
 ……で、キミは私に何か用かい?」

「ホントは抜いてあげるから小遣いくれない? って
 言うつもりだったけど……そんな調子じゃ無理だね」

「……抜く?」

「今さらとぼけないでよ。あの辺り一帯がそーゆう場所
 だってこと知ってて来たんでしょ」

「あ、申し訳ないが今ひとつ話しの意味が分からないの
 だが……」

「え ――っ、じゃあ小父さん、あそこへ何しに
 来たんよ」
  
「仕事の帰りだ。私はシティ(市)警察に勤めている」

「……んじゃ、改めて聞くけど、
 今晩小父さんちに泊めてくれない?」


  小父さんの真横にくっついて小声で囁いた。


「それなりのお礼はするよ」


  そう言いながら手は小父さんの股間へ。

  小父さんはハッとしてその手を払った。


「ごめん。こーゆうの嫌なんだったらもうしない。
 だから、今夜だけでもいいから小父さんちに
 泊めてよ」

「……ちょっと歩くよ。*丁目の交差点まで」

「――って、もしかしてバス通りの新築マンション?
 すっげー、小父さんって意外に金持ちだったり
 してー」

「いや いや、薄給の冴えないサラリーマンだよ」
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