アンフェア

NADIA 川上

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「は、はい……その時は、柊二を拐って何処まででも
 逃げます」

「ハハハ――!! はぁ~!でかしたぞ柊二、
 こいつぁめでたい。うちの幹部に久々誕生の
 可愛い嫁ごじゃ。おい時継、オカン呼んでくれ」


  そういうと、九条がオカン! 真琴! 
  と声を掛けた。

  は~い、と真琴さんの声が聞こえた。


「ハ~イやっと来たね、実桜ちゃん」


  そう言いにっこりと笑ってくれる真琴さんを見て、
  少しホッとした。


「姐さん、橘実桜です。どうぞよろしくお願いします」


  柊二の言葉に、姐さんと呼ばれた女性・
  九条英恵さんが私をじっと見る。
  そしてにっこりと笑った。


「マコちゃんから聞いてた通りに、ほんま可愛らし子
 やなぁ。まさか柊二がこんな若い娘連れて来るなんて
 思わへんかったわ。こちらこそよろしゅうにな、
 実桜ちゃん。わての事は”英恵さん”とでも呼んで」


  そう言ってくれる英恵さん。


「至りませんが、どうぞよろしくお願いします」


  と頭を下げた。


「オカンが受け入れるんならええ子やろ。マコちゃんの
 イチオシやしなぁ。柊二、お前も組の事だけやのうて
 絶対に守らなアカン人ができたんや、少しは祐太に
 勉強させぇよ。そんでお前も先のこと考えて、時継の
 跡を継げるように精進せぇ」


  ありがとうございますと柊二が頭を下げた。
  私も一緒に頭を下げる。


「ところであんたら何処に住むん? まさか事務所の上
 やないやろなぁ、柊二」


  英恵さんが腕組みをして聞いた。


「いえ、しばらくは今のままでお願いします」

「なんや、あんた。甲斐性ないんか?」


  柊二は苦笑いで頭を下げるだけだ。
        

「オカン、無理言うたらアカンわ。今、柊二が事務所に
 おらへんなったら大変やで。蒼汰や祐太ではまだ
 事務所は任せられへん。せやから事務所の上に
 住むちゅうのに賛成した。甲斐性がないのと違うぞ。
 柊二はそれなりに自分でちゃんと稼いどる」


  九条からの助け舟だった。


「そうか。蒼汰と祐太はまだアカンか。それなら
 柊二か祐ちゃんが組継ぐまでには2人を一人前に
 せなアカンなぁ。頼んだで柊二」


  はい! と柊二が返事をするが
  何のことかさっぱりわからない。


「ほな実桜ちゃんにも誰かつけるんか、時継」

「そうやなぁ。いつも柊二に付いてるんがマオに
 蒼汰か。基本的には家にいてないとアカンからなぁ。
 せやから出かける時には臨機応変で、今のところは
 ええんとちゃいまっか」


  分かりましたと柊二が返事をする。


「さぁ、ほんなら話は終わったな。柊二の嫁もやっと
 決まったし、今日はほんにめでたい。祝の膳じゃ。
 付き合って行けよ、柊二」

「はい、それではお言葉に甘えます」


  英恵さんと真琴さんが部屋から出て行った。
  後ろで控えていた男たちが座椅子を持ってきてくれ
  柊二と私は座った。


「それはそうと、お嬢の実家と養い親の件は
 どうしたんや?」


  実家は香港の林(リン)家、
  養い親は幼少期預けられていた養父母・
  迫田の家だ。


「あぁ、その事なら。まぁ組として出て行くまでも
 ないやろ。柊二が力貸したったらええ。それでも
 収まりつかなんだらこっちも助勢すしな」


  九条が言う。


「おう。それならお前達の好きにすればええ。
 あっちの方は話通ってるんか?」 


  会長さんが九条さんに聞いた。
  もう私には自分の事らしいのに、何のことやら
  全然わからない。
  柊二の顔を見るとお2人をじっと見ている。


「大丈夫や。先方にはハマの龍神がえらい頭に来とる
 言うといたわ。ビビってたぞ、あんまりいじめるな。
 せやけど全面的に協力するて言うてたわ。ここで
 ええとこ見せたいんとちゃうか。本家の若頭の
 助けになったていうたら、箔がつくやろ」

「わかりました。申し訳ありません、ご迷惑をおかけ
 します。それでは実桜の実家の現状などを
 調べます。養父の個人的な事も調べますので
 数日ください」


  よっしゃと九条が頷いた頃、料理が運ばれてくる。


「さぁさぁ、たんと食べてや。うちとマコちゃんが
 腕によりかけて作ったんやで。実桜ちゃん、
 苦手な物あるか?」

「いいえ、ないです。ありがとうございます」

「実桜ちゃんと柊二の婚約祝いだよ。たくさん
 食べてね。僕よりも食が細いくらいなんだから」

「ありがとうございます、すみません
 お手伝いもできなくて……」


  そう言う私に英恵さんが豪快に笑う。


「今のうちや。怪我が治ったらた~っぷりこき使うから
 覚悟しといてな~」


  お~、こわっ! と九条が言い、皆、爆笑した。
  温かく迎えいれられ心から感謝した。
                                      
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